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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十九章

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笛を吹くモノの正体3

「……ひとまず生きてはいるようだな」


 死体をこんなふうに保管しておくことはないだろう。

 生きたままどうにかしようとして封じられている。


 ならばまだ助ける希望はある。


「一気に突破してダンジョンのボスを狙うぞ」


 数は減ってきたような感じもするが、まだまだゾンビマウスは襲いかかってくる。

 時間をかけると子供たちがどうなるか分からない。


 まずは笛を吹いているボスと見られる相手を倒すことを優先しようと、ビクシムはゾンビマウスを倒しながら前進する速度を上げる。

 近づいていくと笛を吹いているものの姿が見え始めた。


 丘の上には大きな切り株があった。

 そして切り株の上に笛を吹く黒いモンスターがいる。


 ゾンビマウスが出てきたので、てっきりそういう系統のモンスターなのかなと思っていたが違った。

 うっすらと見える姿はネズミとは大きくかけ離れていて、どちらかといえば人にも近い。


 ただ黒い。

 暗いからではなく、全身真っ黒なのである。


 頭には二本のツノが生えていて、腕は枝のように細い。

 黒くて、人のような形をしたモンスターは、切り株の上であぐらをかいて横笛を吹く。


「なんだかあれ……」


「悪魔みたいだな……」


 黒い姿を見て、ジケとライナスは同じものを思い出していた。

 かつてジケとライナスは悪魔に誘拐された。


 その時に悪魔と対峙して戦うことになったことがある。

 人にも近いが、人とは違う黒い姿をしていた悪魔と、笛を吹く黒いモンスターは似ている。


 それどころかほぼ悪魔である。


「笛の音に誘われた客人ではなさそうだな」


「しゃべった!」


 黒いモンスターは笛を吹くことをやめるとゆっくりと口を開いた。

 喉から出すようなしわがれた声は確かに人の言葉を成していた。


「悲しいものだな。いつから人というものは笛の音を分からなくなるのか。たかだか十年という刹那にも近い時間が彼らの何を変えてしまうのか」


「やはりアイツは悪魔だな」


 笛を吹くモンスターも聞いたことがないが、しっかり話すモンスターも聞いたことがない。

 たまに人語を真似るものはいるけれど、覚えた短い言葉を同じく繰り返すしかできないものである。


 対して黒いモンスターは流暢に話した。

 もはや疑いようもない。


 悪魔である。


「なんだってこんなところに悪魔が……」


 ボスの正体が悪魔であることは分かった。

 しかしなぜ悪魔がダンジョンのボスをしているのか分からない。


 悪魔もモンスターの一種であると考えられているが、一般的なモンスターとは違う。

 ダンジョンには謎が多いけれども、ダンジョンが悪魔を生み出した話はジケもビクシムも聞いたことがなかった。


「何か異常があるようだな。事情は気になるが……聞き出している余裕もないな」


 いつの間にかゾンビマウスに囲まれている。

 何をしているのかを聞き出したいが、悪魔を捕まえて話をしているような状況ではない。


「お前ら、周りのネズミは任せてもいいか?」


「任せてください!」


「ふっ、良いところはくれてやるよ」


「気をつけてくださいね」


 ビクシムは悪魔を相手にすることになり、ジケたち三人でゾンビマウスと戦うことにした。


「悪魔か……また面倒な相手だな……」

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