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未来を守るんだ3

 もうそんなにお金もないので何をしても厳しいことに変わりはない。

 ならばさっさと行動する方がいい。


 腹が空く前にできるだけ移動しちゃおうというのがジの本音である。


「俺は最後まで諦めない。


 絶対に生きて帰るぞ!」


「おー!」


 再びみんなの意思を一つにして移動を開始する。


「でだ。


 お前一体何やってんだよ?」


「何ってなんだよ?」


「貴族の女の子と友達になって、あんな食いもんポンと買ってくる金を稼ぐって何やってんだよって聞いてんだよ」


「んあー……実はな、スライムって凄いんだよ」


「スライムがぁ?」


 人の魔獣を見下したり馬鹿にしたりするのは良くないことだけどジだって最初泣いていたほどなのに使えるものなのか。

 今回については嫌で泣いていたのではないけど他にスライムに会って号泣するなんて理由他には思いつかない。


 リンデランとウルシュナと出会ったのはフィオスが直接関係しているもんでもないけど、リンデランなんかはフィオスが活躍した場面もあるし関係ないこともないか。


「バカにしたもんじゃないぞ。


 いやどんな魔獣でもこれから生きてくる時代が来るんだよ」


「なんだそりゃ?」


 今はまだ魔獣といえば戦力であり、人にとっての魔力供給源である。

 直接な強さと魔力だけが注目されがちだけどそうではない時代が訪れるのである。


「まあ今は俺もちょっと仕事してんだよ」


「へぇ、貧民雇ってくれるとこなんてあんのか?」


「まあ優しい人でな」


 半ば無理矢理雇わせたに近いけど最終的には納得済みで雇ってくれているし最近問題続きで休みがちでも許してくれるから優しいっちゃ優しい。


「あとはなんだっけ、あのおっさん……ジの師匠とか言ってた。


 いつの間に弟子入りなんてしてたんだよ」


「そりゃお前に負けてらんないからな」


「ちぇっ、俺の方が強くて稼いでやるつもりだったのによ」


 唇を尖らせるラ。

 でも本気で拗ねたようには見えない。


 遊ぶ時もどんな時も前を走っているのはラだったはずなのに、いつも気づいたらジの背中を追いかけている。

 届いてこえられると思っていたらまたいつのまにか遠く離れている。


「俺もお前に負けねぇからな」


 でも常に目標であり続けてくれるジのことは尊敬している。


「でも女関係は勝てる気がしねえな……」


 チラリと女性陣を見る。

 空腹も満たされて多少緊張が解けた女の子たちは少し会話をする余裕も出てきた。


 最初に泣き出してしまった女の子を慰めるようにしながら歩いている。

 

 ラはエが1番可愛いと思っていた。

 あっけらかんとして明るくてよく笑い、貧民街で暮らしていても小汚さに埋もれることもない。


 けれどリンデランやウルシュナだったり王城で色々な人を見て見識が狭かったことを知った。

 それでもエはすごく可愛いことは確かなのだけど色々な女性や女の子がいた。


 ジはちょっと前にリンデランと妖しい雰囲気にもなっていた。

 エもなんだかんだジのことを気にかけているし、いつの間にかアユインともなんだか距離を詰めている。


 そういえばリアーネとか言ったお姉さんもジに構っていた。

 これに関してはジに勝てる気が一切しない。


 多少の嫉妬はあるけどここまで圧倒的な差があると素直に認めざるを得ない。


「いや俺だって別にそんなつもりはないんだけどな……」


 特にモテたいとか思ったことはないしモテているとも思っていない。

 過去では女性の手も握ったことがなかったので今回ぐらいはお付き合いをしてみたいとは思う。


 むしろ過去では結婚までして見せたのはお前の方だぞ、とジは思う。

 同じ展開を迎えるのかは分からないけど今回も同じ様にするなら心から祝福してやろうとは考えている。


 そのためにもここは生き延びなきゃいけない。


 少しばかりゆるい雰囲気ではあるけど一応魔物の痕跡は見ているのでちゃんと魔物との遭遇は避けられている。


「ちなみにお前どの子が好みよ?」


 男が集まればこんな話題は常である。

 ラも意識したことなかったけれど周りの男子がそんなことをちょいちょい言うもんだから色々考えたり意識してしまったこともある。


 ジとはこんな会話したことがない。

 ちょうどジの周りには様々なタイプの女の子がいる。


 どの子が好みなのかふとラは気になった。


「どの子ってなんだよ」


「いや色々いんじゃん?


 まあどんなタイプが好きかなーってさ」


 ラ的には個人名を吐いてくれれば1番良いけど周りの環境が悪い。


 ピタリと女の子たちの音量が少し下がり、2人の会話に耳を傾ける。


「どんなタイプが好きか……あんま考えたことないな」


 顎に手を当てて考える。

 女性陣が聞いているとも知らずにジは真面目にどのような女性がいいのか思い描いてみる。


 リンデランやエが大人になった姿を思い浮かべたり、もっと抽象的に特徴を考えてみたりする。

 一瞬、ほんの一瞬だけ懐かしい顔が思い浮かんだりした。


「やっぱり俺がどんな子がいいとか言えるような立場にないよな……」


「何いきなりネガティブなモードになってんだよ」


 考えているうちに訳わかんなくなってきた。

 そもそも貧民街で暮らしている奴がこんな女性がいいとか言える立場になんかないだろう。


 勝手に落ち込んでいくジ。

 何もしなくて女性の手も握ったことがないのではなくて何かしたこともあった上でそうであったことを思い出してしまった。

 

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


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