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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十七章

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問題発生1

「だーかーらー! これはね、ピコちゃんが生み出したものなのよ!」


「ジケんところで作ったやつだろ?」


「だからこれはこのピコちゃんのおミミを参考にして作られた、いわばバージョンピコちゃんなのだよ!」


「何してんだ?」


 ジケも色々やることはある。

 ずっといてもいいですよ、なんてリンデランは言うが、流石にやらなきゃいけないことは行ってやらねばならない。


 なのでシェルハタはヘギウスに預ける形にして、ジケはちょいちょい様子を見に行くことにしていた。

 リンデランとウルシュナとしてはジケが結構来てくれるから嬉しそうである。


 そしてピコも友達が増えて嬉しいらしく、よくジケについてリンデランとウルシュナに会いに来ている。

 リンディアとミミフードについてちょっとしたお話をして戻ってくると騒がしかった。


 ピコがミミフード片手に何かを主張しているようだ。


「ピコちゃん納得いかないよぅ!」


 ピコはプリプリと怒っている。


「だってピコがこれ作ったの自分だって言うから」


 ウルシュナは肩をすくめる。

 話のあらましはこうだ。


 リンデランとウルシュナがミミフードを持っていたのでピコは得意げに自分が作ったのだとドヤった。

 しかしリンデランはともかくウルシュナには信じてもらえなかったのである。


「なんというか……」


 答えるのが難しいなとジケは思った。

 作ったのはピコではない。


 ただベースにあるのはピコのミミではある。

 その点からするとピコが生み出したとはいってもいいのかもしれない。


「一つ言っておこうか」


「なに?」


「そのミミフードはピコモデルって名前だ」


「えっ、そうなの?」


「ドヤァ」


 ピコちゃん、ドヤ顔。

 フードにミミがついたミミフードはミミフードが商品名である。


 けれども実はミミフードだけが商品名ではない。

 獣人にも色々なミミの形をした人がいる。


 そこでジケが色々なタイプのミミのミミフードを作ってみたらどうかとシェリランに提案した。

 現在試作中ではあるものの、ミミフードもピコのミミを参考にしたものだけではなくなっているのだ。


 そのためにピコのミミを参考にしたミミフードはピコモデルと命名されているのであった。


「そう、このピコちゃん、我こそはー! ミミフードの生みの親である天才美少女なのさー!」


 尻尾を激しく振りながらピコはミミフードを高く掲げる。


「でもなんで急にそんな話に?」


「ミミフードって大人気なんですよ?」


「あー……」


「うちのお店でも買えなくて……私のところに手に入らないかって来るぐらいですから」


 そもそもこんな話になったきっかけは、今何が流行っているのかと話題が出たからだった。

 アカデミーではミミフードが流行している。


 もちろんリンデランとウルシュナが身につけていたことから始まるものだが、これがまた手に入らないと貴族の女の子たちをヤキモキさせている。

 なぜなら生産を請け負うリンディアの方が生産数を絞っているからだった。


 ブームはなるべく長く続く方がいい。

 みんなが同じものを一斉に手にしてしまえば目新しさなど無くなって、すぐに飽きられてしまうだろう。


 しかし今は別のミミのモデルも制作が進んでいる。

 少しずつ作って、みんなが離れそうな時に新しいモデルを出してまた目を引くのだ。


 そうしてちょっとずつみんなの中にミミフードを浸透させていって、最終的に目新しさがなくなる頃にはみんながミミフードを持っているのが一般的なことになるレベルで広めてしまおうというのである。

 さすがはリンディアだとジケも舌を巻く。


 ここまで服飾関係で業界を牽引してきただけはある。

 今日リンディアにあったのもその話をしてきたからだったのだ。


 ただ生産が絞られているということは手に入る人が限られるという話でもある。

 実はジケのフィオス商会にもミミフードを求めて人が押し寄せていた。


 リンデランのところにもなんとかヘギウス商会からミミフードを回してもらえないか、なんてお願いに来る人もいたのである。


「でもこれ可愛いですよね。ピ、ピ、ピコちゃんだ!」


 シェルハタもミミフードを身につけている。

 ミミフードだけではなくピコちゃん音頭も気に入っているようだ。


「ピコちゃん的にはピコちゃん音頭も広まるべきだと思うのだけどね……」


 ピコは腕を組んで真剣な顔をしているけれども、さすがにそっちのブームは仕掛けられない。


「まあそのうち広まるかもな」


「私もそう思います!」


 多分無理だろうなと思いながらのジケの言葉にシェルハタは自信満々に同調する。


「そういえばソコイは?」


「何か用事があるとかで外出していますよ」


 シェルハタを守るのだとソコイは基本シェルハタの近くにいる。

 ただ情報屋としての仕事があるのか時々ふといなくなる。


 アルゼンもいるし、安全なヘギウス家にいる限りはそんなに気を張ることもない。

 いなくとも大きな問題ではないし、ソコイなら何があっても上手くやるだろうと心配はしていない。


「特に問題はなさそうだな」


「もう……行っちゃうんですか?」


 とりあえずみんなの確認だけ。

 そんなつもりで顔を出したのだけど、リンデランがそっとジケの服を掴む。

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