表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第十九章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1073/1286

呪いを解け!7

「木箱か?」


 呪いの魔道具かもしれない。

 触れないようにとシャベルで慎重に土をどかす。


 出てきたものの材質は木、形は四角い箱のようである。

 呪いの魔道具には見えないなとリアーネは思う。


 シャベルの先で軽く叩いてみると中が空洞のような音がする。


「それで壊してみてよ」


「呪われ……ないよな?」


「呪われても治してやるって」


「そこは呪われないって言ってくれよ……」


 アコアンを倒したジケも穴の中の木箱を覗き込む。

 土に埋まっていた割にはまだ真新しく見える。


 埋められてからさほど時間が経っていないようだ。

 ジケに言われてリアーネは渋い顔をした。


 呪いなんてあまり信じていなかったが、町の状況を見れば呪いは確かに存在することはリアーネでも分かる。

 多少の不安を覚えつつ、シャベルで突いて木箱を壊す。


「これはなんだ?」


「獣人の証……だね」


「獣人の証?」


 箱の中には金属の札が入っていた。

 真ん中に牙や爪、ミミや尻尾などを模したような模様が彫ってある。


 さらにその上から黒い液体で読んだこともない文字が書いてあった。

 黒い液体の文字は微妙にうごめいていて、気味の悪さを感じさせる。

 

 ジケには札の模様もなんだか分からないが、ピコは知っていた。


「獣人は色んなところにいるからね。人の町にもいることがある。でもわざわざ人前でミミや尻尾を見せられないから、そんな時に仲間だって証を見せるんだ」


 獣人は色々なところに散らばっている。

 時として人の中に紛れ込んで生活している人もいる。


 同族に会えば嬉しいこともあるし、獣人だと明かして語らいたい時もあるだろう。

 しかし町に紛れる獣人は、基本的に周りに獣人だとバレないように溶け込んでいる。


 ミミや尻尾などの分かりやすい特徴を見せれば獣人だと確認しやすいけれど、どこで誰が見ているか分からないところでミミや尻尾を晒すことはできない。

 そんな時に使われるのが獣人の証である。


 獣人らしい特徴をモチーフにしてデザインされた獣人のマークは、はるか昔に考えだされ、今では獣人であることを示すシンボルとなっている。

 獣人の身体的特徴を隠したままでも、獣人の証を見せれば獣人であると相手に伝えられるのが獣人の証である。


「それを利用して呪いの魔道具にしたのか……」


 獣人たる証を呪いに利用するなんて酷いことをするものだ。

 ただ獣人の証を利用したから獣人に呪いが効きやすくなるのかもしれない。


「……獣人の皆さん、ごめんなさい!」


 ジケはフィオスを解除した剣を振り下ろして獣人の証を叩き割った。

 するとうごめいていた黒い文字が動かなくなり、感じていた妙な気持ち悪さがなくなった。


「な、なんだ!?」


「あっ! まだ決着ついてないのに!」


 呪いの魔道具が効果を失うと同時に、トラノスとマクベアが気を失って倒れる。

 急な戦いの終わりにユディットとユダリカも驚いている。


 ユディットはトラノスを追い詰めていたが、ユダリカは少し劣勢だった。

 口では戦えるようなことを言っていたけれども、あのまま戦い続けていたら結末がどうなっていたかは分からない。


「二人とも無事か?」


 戦いの結果に納得いかなくも気絶してしまったものはしょうがない。

 ユディットもユダリカも上手く立ち回っていたが、トラノスとマクベアも強いので怪我などする可能性は否めない。


 まだ戦いは続くのでしっかりと状態を確認しておく。

 今は赤尾祭の最中でもなくエニがいる。


 怪我してるなら治してもらえる。


「私は平気です」


「……ちょっとだけ脇腹、痛いかな」


 ユディットは大きな怪我もない。

 一方でユダリカはためらうように服をまくった。


 マクベアの攻撃がかすめて、脇腹の一部が紫色になっていた。

 強がって、なんともないと言おうとした。


 だけど脇腹が痛んだままだと、これから足を引っ張る結果にもなりかねない。

 みんなに迷惑をかけるわけにはいかないので、素直に報告した。


「エニ、頼む」


「ん、分かった」


 エニがユダリカの脇腹を治療する。

 その間にジケが周りを見回すと、見える範囲でも倒れている人がいた。


 獣人の証の利用した魔道具の呪いに強く影響を受けていた人たちは、呪いが止まったことで反動を受けたようである。

 呪いの魔道具を破壊すれば呪いが止められる、ということは立証できた。


「次は西だな」


 南の呪いの魔道具は破壊した。

 北と東にはそれぞれナルジオンとグルゼイが行ってくれているので、ジケたちは西に移動することにした。


「あの二人は大丈夫でしょうか?」


「心配ないと思うけどな。むしろ襲いかかってしまう獣人の方が心配だ」


 倒れる獣人の間を走り抜ける。

 ナルジオンがどれほど強いのか知らないけれど、獣人ナンバーワンの実力は伊達じゃない。


 グルゼイだってジケが心配するようなことはないだろう。

 逆にこの二人に襲いかかってしまった獣人が無事に済むのか心配してしまう。


「……また呪いの影響を受けた人が増えてきましたね」


 南側はすっかり静かになっていたが、西に向かうにつれてまた正気を失った獣人が増えてきた。

 もうみんなボロボロになっているのにそれでも争いを続けている。


 本当に武器を持たずに殴り合いで解決する感じでよかったと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ