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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十六章

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呪い、カエル2

「私よ、通して」


「あっ、ハルフさん。どうぞ」


 呪いカエルさんは部族会の集まりに参加するような部族長が集まっている観客席の方に向かっていく。

 関係者以外は立ち入れないようになっているが、ハルフはナルジオンの妻である。


 当然ながら関係者なので入ることができた。

 相変わらず呪いカエルさんは何か目的があるように跳ねていく。


「ハルフ、来たのか?」


「ええ、体調が良くなったので」


 ハルフは体調不良ということになっていた。

 そんなハルフが急に来たものだからナルジオンは驚いた顔をしている。


 部族長用の観客席には部族長やその家族しかいない。

 当然部族長ともなれば実力のある人しかいないのに誰も呪いカエルさんには気づかない。


 奇妙なものだと思いながら横目で呪いカエルさんの行方を追いかける。


「ん?」


「あの人は……」


「ピコちゃんも知らない」


 呪いカエルさんはオオグマのそばにいるフードを被った男の背中に飛びついた。

 フードの男は一瞬背中が重たくなって振り向いたけれど、特に背中まで確認することはなくて呪いカエルさんには気づかなかった。


 そういえば知らない人であるとハルフは思った。

 フードを被っていて顔はよく見えないものの、オオグマの近親者にあんな雰囲気の人はいない。


 主要な獣人の情報が頭に入っているピコも男の顔には見覚えがなかった。

 ただ知らない人がいてもおかしくはない。


 町に住んでいない部族もいるし、時折外の世界に修行に行っている人もいたりする。

 だけどもどうして呪いカエルさんはフードを被った男の背中にひっついたのかが気になった。


「むむ?」


 呪いカエルさんが上手く見えないとピコはそーっとフードの男の後ろに移動する。

 ハルフにくっつくようにして入ってきたものの、ピコは関係者ではないので目立たないようには気をつける。


「黒い……霧?」


 呪いカエルさんがカパッと口を開いた。

 すると呪いカエルさんの口から黒い霧のようなものが出てきて、フードを被った男の体に吸収されていく。


「んん〜? なんだろねぇ?」


 なんだか怪しい気配がするなとピコは思った。


「どうした?」


 フードを被った男がふらついてオオグマが視線を向けた。


「いえ……なんだか急に体の調子が……ぐふっ!」


「マクミズネ!?」


 フードを被った男が急に血を吐き出した。

 そのまま膝をついて床に倒れる。


「ふええっ!?」


 思わぬ急展開に流石のピコも驚いてしまう。


「……なんだ!? おい、誰かフェデミーを呼んでこい!」


 病気だとしても異常な吐血であった。

 触れていいものかすら分からなくて、ひとまず医者であるフェデミーを呼びに行かせる。


「……何が起きている?」


「分からないわ。でもあの子が何かしたみたい」


 ナルジオンがこっそりハルフに話しかける。

 ピコは呪いカエルくんが黒いものを吐き出していたのを見ていたが、ハルフたちから見えていなかった。


 見ていたところで何をしていたのかはわからなかっただろう。


「この騒ぎに乗じて抜け出して会ってこい」


「そうするわ。ピコ、行くわよ」


「えっ! あっ、はいです!」


 ハルフとピコが来た直後に問題が起きた。

 そのことを関連づけて騒ぎ立てる人はいないだろうが、面倒は避けるべきだ。


 ついでにこの状況はなんなのかナルジオンとしても知りたい。


「何があったんですか?」


 慌ててフェデミーが走ってくる。

 フェデミーの横を通り過ぎてハルフとピコは部族長の観客席を抜け出す。


「でもジケ君戻ってるかな? ……ピコちゃんアイ!」


 技名っぽく言っているがただ見回しているだけである。


「いるかしら?」


「んーーーー」


 ピコの細めがうっすらと開く。

 会場には人が多い。


 まだ家から出てきていない可能性もあるし、ここにはいないかなと思いながらとりあえず探す。


「あっ、いた!」


「あら、目がいいわね」


 会場の中でフードを被った人がいる。

 基本的にフードを被って観戦している人はいないので、意外とそう思って見るとフードは目立つものである。


「行きましょうか」


 ピコとハルフはジケたちとの合流を目指して移動する。

 ステージ上では相変わらず女性たちが戦っていて、応援もかなり熱が入っている。


 部族長の観客席で起きた騒ぎに気づいている人もいないようだ。


「ピーコだ!」


「……そこは誰だ、じゃないのか?」


 そっと後ろから近づいたピコは両手でジケの目を覆い隠した。

 目を隠して誰か分からなくする遊びは時々やるものだけど、ピコだと宣言してはなんの意味もない。


「ねぇ、ピコちゃん頑張ってると思わない?」


「うん……まあ、かなり手伝ってくれてるよな」


 本来ピコは情報屋であり、ジケに雇われて情報を教えるためについてきている。

 いつの間にかジケのお仲間的になっているが、実際そこまでしなくてもいいのである。


「なんだ? 追加報酬でも欲しいのか?」


「……そうかも」


「そうかも?」


「ちょっとだけ……褒めてほしいな」


 お金かなと思っていたけど、意外な追加報酬のお願いだった。

 ピコが目から手を離したのでジケが振り返ると、少し頬を赤くしたピコのミミが横に広がるようにペタリと畳まれた。

お知らせ

小説三巻発売とコミカライズ一巻について!


小説版スライムが5月20日に発売となります!

嬉しい報告ではあるのですが一つだけ残念なことも。


それは小説版は今回電子のみでの販売となります。

私の力不足で書籍を継続することができませんでした……


予約は開始しているのでよければ電子版でも買ってくださいね!


そしてコミカライズもようやく発売となります!

こちらの方は紙の本にもなりますので是非とも買っていただけると嬉しいです!


発売日は6月14日。

実はこの発売日は私の誕生日でもある奇跡なのです!


コミカライズだけでも続けて、パムパムとか絵になったところ見たいのでよければ予約してご購入いただければ今後もコミカライズ続くかもしれません!

誕生日のお祝いだと思って予約購入していただければ嬉しいです!


Amazonなど書籍を扱っているサイトで予約できることは確認済みですのでお願いです!


正直小説の方は続刊が厳しいと思いますが安心してください。

webの更新は続けます!


これからもジケとファオスの物語は続きます。

よければこれからもお付き合いください。


小説電子版は5月20日

コミカライズは6月14日

予約して購入していただけると次に繋がりやすいのでお願いします!


いつも読んでいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
コミック楽しみです webの方も 楽しんで読まさせて頂いてます ジケ君とフィオスの活躍をこれからも楽しみにしてます 本もKindleも両方買いますとも 笑 
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