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【第十八章完結】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第十六章

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呪われた白い子5

「フィオス!」


 女の子の会話を盗み聞いてはいけない。

 ただ聞こえてしまうものはどうしようもない。


 ジケはフィオスをギュッと顔に押し付けると、そのままプルプルしたボディーを伸ばして耳まで持っていく。

 フィオスの体越しに聞こえる音はかなり遠くなった。


「ハビシン、こんなに胸おっきかったっけ?」


「最近ちょっとね……」


「部屋の隅に俺がいること忘れてるな」


 それでもほんのりと会話が聞こえてしまう。

 聞いてはいけない女の子の会話。


 ジケは心を無にして、何かが見つかるのを待つ。


「ウヒャ!?」


 ツーッと何かが背中に触れて、くすぐったさにジケは声をあげてしまう。


「エ、エニ?」


「呼んでも反応ないから」


 エニは悪い笑顔を浮かべてジケの背中に指をはわせていた。

 何回か呼んでいたのだけど、心を無にすることに成功していたジケは呼ぶ声が聞こえていなかった。


「くすぐったいだろ?」


「聞いてない方が悪いもんね」


 エニが視線を向けるとトシェパとハビシンも頷く。

 まだ会ったばかりなのに、仲良くなるのが早いものである。


「それで何かあったのか?」


 三人相手では分が悪い。

 ジケはさっさと話題を変えることにした。


「何もないよ? 怪しいところなんてなくて綺麗な体」


 ハビシンが顔を赤くする。

 いかに女の子同士とはいっても体を見られるのは恥ずかしかった。


「そんなはずないんだけどな……頭とか見たか? それに……」


 ジケはチラリとハビシンを見る。

 念の為ハビシンは服を脱いだままシーツを体に巻き付けている。


「尻尾とか」


「尻尾?」


「髪かき分けてみたり、尻尾の毛の中とかもみてくれよ」


「確かにそこまでは見てないけど……」


「一応だ。何もなければそれでいいんだし」


 体を調べろと言われたから調べた。

 でも頭皮や尻尾の根元までしっかりと調べてはいない。


「ひゃう! そ、そこミミ……くすぐったい……」


 ジケがまた隅を向いて、ハビシンの体をエニとトシェパで確認する。

 髪を掻き分けて頭皮まで見るのだけど、ミミに触られてハビシンはくすぐったそうに体をよじらせる。


「頭は何もないね」


「次は尻尾だね」


「ひゃう! トシェパ! もっと丁寧に触ってください」


「こうかな?」


「……ん! も、もう!」


 見ないように魔力感知も切っている。

 ジケは目を閉じたままフィオスで耳を塞ごうと手を伸ばすが、どこにもフィオスがいない。


「ひゃあ!? つ、冷た……なにこれ?」


「フィオス? 驚かせちゃダメでしょ」


「いないと思ったら……」


 どこに行ったのかと思ったらフィオスはエニたちの方にいた。

 フィオスがお尻に触れて、ひんやりとした感触にハビシンが驚いていた。


「何してるの?」


 フィオスはそのままハビシンの尻尾に触れる。


「その……くすぐったいんだけどぉ……」


 ハビシンは尻尾の根元が触られるくすぐったさをシーツを掴んで耐えている。


「あれ? 何かあるよ?」


 ハビシンの尻尾がくねくね動いて、エニは根元に何かがあるのを見つけた。


「フィオス、やめてあげて」


 プヨプヨとしたフィオスが触っていると、かなりくすぐったいようでハビシンは顔を真っ赤にしていた。

 エニはフィオスを抱きかかえるとジケの頭に乗せる。


「何これ?」


 トシェパがハビシンの尻尾を確認すると何か輪っかのようなものが付けられている。


「な、なに? 自分じゃ見えないから……」


 ハビシンが体をくねらせて見ようとしても自分の尻尾の根元は見ることができない。


「こんなの付けてたの?」


「そんなの知らないよ……」


 ハビシンは手を伸ばして尻尾に触れる。


「本当だ……なんかある」


 指先に固いものが触れる。

 ハビシンの尻尾の根元には大きな指輪のようなものがはめられていた。


「いっ!」


「ハビシン!? 大丈夫?」


 ハビシンは尻尾の輪っかを取ろうとした。

 軽く引っ張った瞬間全身に激痛が走って、ハビシンは涙目になる。


「痛い……何これ……」


 特に外せなさそうなものにも思えないのに、尻尾にくっついてしまっているかのようだ。


「怖い……」


 軽く引っ張っただけなのに、尻尾だけでなく全身に痛みがあった。

 知らないものが尻尾につけられていることも含めてハビシンは恐怖を感じていた。


「……ジケ、変なのあったよ」


「本当か? じゃあ……んん!?」


「まだ振り向いちゃ、ダメ」


「分かったけど急に頭を押さえられると厳しいな……」


 振り向こうとしたジケの頭をエニが押さえる。

 危うく首をやってしまいそうだった。


「もうちょっとそのままね」


 ジケが中途半端な首の角度のままエニは離れていって、ガサゴソと音が聞こえてくる。


「いいよ」


「ああ、そういうことね」


 振り返るとハビシンは服を着ていた。

 異常なものが見つかったのは尻尾である。


 尻尾さえ出ていればよく、全身裸である必要はどこにもない。

 だから服を着たのである。


「ジロジロ見ないでよ……?」


 獣人の服の作りは特殊でちゃんと尻尾が出せるようになっている。

 しかし服を着た状態では尻尾の根元は見えない。


 だから今は少しだけズボンを下げて尻尾を出していた。

 尻尾だけ出しているとはいっても根元はお尻のすぐ上だ。


 ハビシンはジケに見られることが恥ずかしくて首元まで赤くなっている。

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