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軽い因縁8

「今から向かえば余裕で赤尾祭にも間に合うだろう」


「……どうしますか?」


 キノレはあくまでもジケに従うようでニコリと笑ってジケのことを見ている。


「行こうか、赤尾祭」


 今はジケだけじゃない。

 ユダリカもいるしユディットもいる。


 みんなで乗り込めば一人ぐらいは優勝することもできるかもしれない。

 仮に優勝できなくともお祭りで人が集まるならツテぐらいは見つけられるかもしれない。


 上手くいけば優勝しなくてもナルジオンに直接会う機会だってあるかもしれない。


「手伝ってやると言ったのにただ赤尾祭に送り出すだけなのは約束を果たしたことにはならない。だから案内をつけてやろう。これで協力はしたということにしてもらう」


「情報感謝する」


「ふん……明日にでも行くといい。お前の顔など見たくないから早く行け」


 ダシュドユは嫌そうな顔をして出ていけと手を振る。


「ふっふっ……それではいきますか」


 ナルジオンに繋がるかはまだ分からないけれど希望は見えた。

 一定程度の目的は果たしたので家に帰ることにした。


 雪かきをした疲れも残っているので次の移動にも備えねばならない。

 イェロイドたちは取引があるので残ってジケたちはダシュドユの家を出る。


「あの人とは何があったんですか?」

 

 雪の間を歩きながらキノレにダシュドユとの関係を聞いてみる。


「昔少し……ボコボコにして差し上げたのですよ」


「ボ……」


 思ってもみなかった言葉が出てきてジケはちょっと驚いた。


「昔から秘密通路を使った取引はトシュウ族が独占してきました。けれども人間との取引の利益は他から見ても魅力的なのです。ゲツロウ族はかつてトシュウ族から取引を強奪したのです」


 ザクザクと雪を踏みしめ歩きながらキノレはダシュドユとの因縁について話してくれた。


「私としては誰が取引相手だろうとかまわないのですが、これまで取引したこともない相手がちゃんと取引などできるはずもなく……無茶な要求などをして商人を困らせていました」


 ゲツロウ族は人間との取引を狙ってトシュウ族を攻撃し、取引を奪ってしまった。

 しかし長年取引を務めてきたトシュウ族のように上手く取引なんてできるはずがない。


 ゲツロウ族はこれまでの慣習を破壊するような要求を商人たちに出して、従わなきゃ暴力までちらつかせた。


「流石に取引の破壊は見過ごせませんからね。私が仲介に乗り出したのです」


 そんな時に秘密通路による取引を黙認していたキノレが商人たちの嘆願を受けて動き出した。


「なんやかんやとありまして……当時ゲツロウ族でも期待の若手であったダシュドユと戦いまして。顔がパンパンになるほどボッコボコにいたしました」


「パンパン……」


「ボッコボコ……」


「その後もまた手を出そうとしてきたので顔の形が変わるほどに殴って差し上げまして……最後に決闘までいたしました。三戦三勝……これが私の戦績でございます」


 なんやかんやとは何があったのか謎であるが、キノレはダシュドユと戦ったらしい。

 これまた何があったのか謎であるが、ダシュドユはキノレに手ひどくやられたようだ。


 結局三回戦って三回ともキノレに負けた。

 これがキノレとダシュドユの中にある因縁なのであった。


 やっぱりキノレはただの大人しい執事ではなく、ただの大人しい騎士ではなかったようである。

 朗らかにボッコボコなど口にするキノレの様子にユダリカの方も驚いていた。


「ふっふっふっ……昔のことですよ」


 キノレは怒らせない方がいいな。

 ユダリカはそんな風に思ったのであった。

今日からカクヨムの方でカクヨムコンに出していた作品をのんびりこちらに転載していくことにしました。

カクヨムコンに出せるように10万字、50話ぐらいはあるのでのんびりお付き合いください。


作品は

【原初のネクロマンサー〜いかにして死霊術は生まれ、いかにして魔王は生まれたか〜】


【神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~】


【ヒールが痛いとパーティーを追い出されたヒーラーは痛み無効の獣人少女とのんびり出来るところを探します】


【回帰した俺だけが配信のやり方を知っている~今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~】


という四作品です!

読んでブクマや星お願いします!

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