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第四話……傭兵契約

 私は街へ向かって歩いていた。

 街には小さな領主の館もあるらしく、商店もそこそこ賑わっているらしかった。


 ……が、しかし、街道を歩いていると、三人連れの男たちに出くわした。

 相手は盗賊ではないかと、私は身構える。


 私は危険な一人旅。

 いまさら考えると、不用心と言っても過言ではなかった。



「おい、にいちゃん止まれ!」


「……はい?」


 三人の中でもっともゴツイ男が声を掛けてきた。

 見た目は安い皮鎧に身を包んだ流れ者といった感じだった。


 皮鎧といえば、安価で悪いイメージがあるが、熟練した冒険者も好む鎧だ。

 油断は大敵であった。



「何か用ですか?」


 私は丁寧に問うた。


「身構えなさんな。用ってのはな、一緒につるまねえか? ってことだ。お前の形も傭兵くんだりだろ? 一緒にやらねぇか?」


 どうやら私の身ぐるみを剥ごうというのではないらしい。


 話を聞いてみると、どうやら彼らはこれから雇い主を探しに行くらしいのだ。

 傭兵は仲間が多いと、その分雇われる率があがるらしいのだ。



「いいですよ。私の名前はロバート。よろしくお願いしますね!」


「ああ、俺の名前はケインズ。こっちの二人は同郷のアインとハティだ。仲良くやってくれ!」


「よろしくお願いしますね」


「「こちらこそ!」」


 流れの荒くれ者かと思っていたが、話してみると様子が違った。

 アインは法学者を夢見るインテリ。

 ハティは帳簿を学ぶ商人志望だと分かった。



「皆さん夢があるんですね?」


「いやあ、俺だけが夢が無いのよね! 俺は学がこれっぽちもねぇからよ!」


 この中で頭目格のケインズが頭をかく。

 彼は話してみると明るい人だ。

 少し小太りで、恰幅の良さも相まって、馴染みやすい男であった。

 ……それも又、稀有な才能というモノだろう。



「あれがジェスターの街の灯だ!」


「奇麗ですね!」


 私達が街に着いたころには、どっぷりと日が暮れており、街の入り口の城門には篝火が焚かれていた。



「通っていいぞ!」


「ご苦労様です!」


 城門の入り口の衛兵には、袖の下として銀貨一枚を渡すと、にこにこ顔で通してくれた。

 ジェスターの街は比較的治安がいいらしく、夜であってもいくつかの商店が開いていた。



「いらっしゃい。何名様ですか?」


「四名だ。あと厩を貸してくれ!」


「ようございます。お一人様につき銀貨一枚です」


 小柄で頭の薄い宿屋の親父の前で財布を出し、各自で銀貨を前払いで払う。

 硬いベッドの上に腰を掛け、四人で夜が更けるまで話し込んだ。


 ちなみに、このジェスターの街の近くで、近々戦争があるらしい。

 ケインズたちは、そのうわさを聞きつけての街への来訪とのことだった。




☆★☆★☆


――翌日。


 私達は街の高台にある領主の館に出向く。

 城と言うにはこぢんまりとした館だが、粗末な防御設備は整った建築物だった。



「面をあげい!」


「ははっ!」


 私達はリーダーであるケインズを先頭に領主様に拝謁。

 身なりも中身も流れ者の分際だが、領主であるジェスター男爵に騎士の礼をとった。



「……この度は拝謁の栄誉に賜りまして……」


「堅苦しい挨拶は良い。用は何じゃ!?」


 礼を尽くそうとしたら、意外なことに億劫がられる。

 仕方なしに用件を簡潔に述べることにした。



「こちらで兵士のなり手を募集していると聞きまして……」


 こう切り出すと、家宰の風な家臣が進み出てくる。



「こちらも手元が厳しくてな。家臣としては雇えぬぞ! 傭兵契約で良いか?」


「ははっ、構いまえぬ!」


 羊皮紙の契約書には歩兵3名に弓兵1名と書かれた。

 ちなみに私は弓兵扱いだ。

 馬上騎士なら雇い賃があがるらしいが、私の馬は軍馬では無く荷馬であった。



「これでよいかな?」


「結構でございます!」


 私達は別室で羊皮紙にサインを施す。

 契約では30日の雇用。

 賃金は日払いで行われ、一日の日当は銀貨6枚とのことだった。




☆★☆★☆


――その日の午後。


「ひまだなぁ……」


「ですねぇ」


 契約を終えた我々は、再び街の雑踏へと紛れこむ。

 正規兵では無いので訓練の用が無いのだ。

 すぐに戦役があるというわけでもないらしく、街は平穏そのものだった。



「親父、しばらく厄介になるぞ!」


「有難うございます!」


 私達は宿屋に戻り、宿屋の主人に一か月分の宿代を払った。

 領主様より契約金の前払いがあり、それを遣ってのことだった。



「些末ではございますが……」


「これはありがたい。感謝するぞ!」


 商人見習のハティの交渉により、一か月一括払いにしたところ、五日分の宿賃をまけて貰えた。


 後で聞いたのだが、アインの教養により、領主様との契約も良いものになったらしい。

 私は、傭兵家業も腕力だけじゃないのだなと深く感じ入ったのであった。


 私達は昼は街に出てぶらぶらし、夜は宿の二階の部屋で、各々武器を磨いた。

 ケインズは大きな斧を獲物とし、アインやハティは普通の剣といった具合だった。


 私は弓兵とのことで雇用されたが、剣も念入りに研いだ。

 矢じりも買い足し、矢の本数を出来るだけ揃えることに力を注いだのだった。


――そして、10日後。

 領主様から参集の命令が下った。


☆★☆


お読みいただき有難うございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いかにも、これからが本番……って感じですね。 そして、黒鯛さんだけに、この世界もまた何かヒミツを抱えているのでしょうな……。 今回の連載は、その深奥にまで迫って下さることを期待してますぜ…
[一言] 早速山場か!?
[一言] 早くも招集がかかりましたか。
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