62話 緊急事態
赤鬼は殴り飛ばされた。
『気配を感じた!? いいや、絶対にそれは無い……そういえば、さっきから風の感じが変だ。』
俺は赤鬼の元へ近ずいて行った。
「エージェントはいかなる状況でも覆す能力や状況判断が必要だ。」
『なんだ……小原さんの体が風の性質で覆われている。触れるだけで指が切れそうだ。』
「流石に上技だけじゃ倒せないな。
じゃあ小原さん、なんで自分が本部に来たか教えてあげますよ。」
赤鬼は右脚を前に一歩踏み込むと、身体中が真っ赤に染まっていった。
「倭国拳法極技形態・赤鬼!」
「さっきとは全く違う。神経尖らせて集中しないと。」
「さぁ、覚悟してください!」
そう言うと赤鬼は俺の頭上に瞬間的に移動し右足を振り下ろした。
「上か!?」
『ズドーーーンッ!』
地面は砕け、俺は周囲の風で感知しギリギリ避けることができた。
『危ねぇ……今のは流石にヤバかったな。』
すると、赤鬼は右の拳を強く握りしめた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! 極技・暁憼!」
拳が真っ赤に染まり右腕の筋肉が増強すると血が吹き出していた。赤鬼はそのまま俺目掛けて拳を振るってきた。だが俺は足を止めその場に立ち尽くした。
「そんな技使わせねぇ。」
俺は右目のアルファマインドを使った。
「能力停止!」
赤鬼はその瞬間元の姿に戻った。
「え……どういうこと……」
赤鬼は勢いのまま地面に倒れ込んだ。右の腕は出血や内出血をしている。俺は赤鬼の元へ近づいた。
「そんな痛々しい技使うな! そんでもって俺の勝ち!」
赤鬼は笑っている俺の顔を見て思った。
『な、なんだ今のは……あれがアルファマインドの能力……。俺の極技形態・赤鬼を停止させた……意味が分からない!』
「その腕、治療してもらえ。じゃあ、一緒に仕事しする時によろしくな。」
俺が歩いて帰ろうとした時、赤鬼は俺に向かって口を開いた。
「小原さん!」
「ん? なんだ?」
「俺のライバルになって下さい!」
「はぁぁー!? 何言ってんだお前!!」
「もう少しで俺、勝てそうでしたよね!? 紙一重でしたよね!? だったらライバルでいいですよね!?」
「全っ然紙一重じゃない! こんなことになるんだったらお前を完膚なきまでに叩きのめすんだった!」
「じゃあ今やりましょうよ!」
「あぁ! やるか!?」
「そこまでにしとけ。」
金子さんが来て仲裁に入った。
「金子さん、どうしてとめるんですか!?」
「緊急事態だ。本部に通報が入った。歌舞伎町で大暴れしている人物が現れた。既に6.7人が殺害されている模様だ。」
「なんでそんな大切な事を言ってくれなかったんですか!?」
「よく周りを見ろ。」
俺が周りを見ると、そのに集まっていたエージェント達は既にその場からいなくなっていた。
「お前こそ周りが見えてないな。もう本部から6人のエージェントを派遣した。他の場所でも同様な事が無いか捜査中だ。」
「なんだ、早いですね!」
「とりあえずお前たちは待機だ。」
「はい!」
「はい!」
俺と赤鬼はとりあえず部屋に戻ることにした。
「決着はまだ着いてないからな!」
「分かってますよ! 次こそはちゃんと仕留めるので!」
「言ってくれるじゃねぇか!」
すると、本部全館にサイレンが響き渡った。
「ん? なんだ?」
「緊急事態。歌舞伎町から応援要請が出た。」
「え、なんだって!? まだ派遣されてから10分も経ってないはずだぞ!」
「今から呼ぶ6名は至急歌舞伎町に迎え。総合格闘部隊、金子、三井、小原。警剣部隊、掛橋、桜木、吉田。」
「俺の名前だ。すぐに行かなきゃ!」
すると赤鬼は口を開いた。
「小原さん! 自分も行かせてください!」
「ダメに決まってるだろ!」
前から金子さんと三井さんが走って駆けつけてきた。
「小原、行くぞ!」
「はい!」
赤鬼はまた口を開いた。
「自分も行かせてください!」
「だから、ダメって言ってるだろ!」
「分かった。」
そう言ったのは金子さんだった。
「金子さん!」
「来てもいいが、影で隠れていてくれないか。俺たち6人が本当にまづい状況になったらまた応援要請を出してくれ。なんせ本部のエージェント6人をこんな短時間で片付けるやつだからね。んま、俺たちが行くってことはもう応援要請は無いけどな! じゃあ行くぞ!」
「ありがとうございます!」
そして赤鬼も加えた7人で歌舞伎町に向かうことになった。歌舞伎町まではすぐ着く距離であったため、走って現場まで向かった。途中俺は気になるメンバーを見つけた。
「三井さん。」
「なんだ?」
「あの桜木って人と吉田って人。警剣部隊の人ですよね?」
「あぁそうだ。桜木は警剣部隊の副隊長、吉田は有力候補ってところだな。俺たち3人と同じだ。あと、あの赤鬼って新人、なんで来てるんだ?」
「三井さん気にしないでください。応援要請要因です!」
「よし、そろそろ着くぞ。」
警剣部隊隊長の掛橋さんがそう言うと7人は立ち止まった。
「ここからは東と西に別れよう。総合格闘部隊は西。俺たち警剣部隊は東を行く。金子さん、よろしくお願いします。」
「おうこっちは任せろ!」
警剣部隊の3人は東へ向かった。俺たちも西へ向かって少しすると、人が逃げてくるのが見受けられる。
「助けてぇー!」
「何が起きてるの!」
「お前らこっちみたいだ。それと赤鬼。」
「はい!」
「今すぐ警剣部隊に要請しろ。」
「分かりました!」
赤鬼は東へ行った警剣部隊の方へ走っていった。総合格闘部隊の3人も人が逃げてくる方へ行くと、先程派遣されたエージェントが倒れていた。
「おい! 大丈夫か! 前田か!」
そこに倒れていたのは総合格闘部隊の隊員だった。3人はその姿を見て理解が出来なかった。
「どうなってんだこれは……」
身体の大半が黒い色や白い色で覆われている。
「皮膚が壊死しているのか? この白いのは癌か?」
「癌、ですか?」
「いや分からない。そして、前田は死んでる。」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
奥から叫び声が聞こえて3人は走っていった。すると、そこに居たのは1人のエージェントだった。そのエージェントは左手を謎の人物に握られていて左手は完全に黒く壊死している。
「おいなんだよあれ!」
左手から全身に白い物が伸縮していき、そして皮膚や筋肉や骨なども壊死していく。そして左手が崩れ落ちた。
「あぁ、また死んじゃった。エージェントって大した事ないんだな。」
「おいおい嘘だろ。あいつ子供じゃないか?」
身長は150センチ程度で黒い服を着てフードを被っていて顔がよく見えない。
「またエージェントが来たみたい。今度は強いのかなぁ。」
「三井、小原。これだけは言っておくが、あいつには触れられるな。そしてその条件だと、俺たち総合格闘部隊には厳しいけどな。」
謎の子供は3人に向かってに走ってきた。
「なんとか遠隔攻撃をするんだ! 小原!」
「はい!」
俺は拳に風を集め相手にいくつも飛ばした。だが、動きが機敏で簡単に避けられてしまう。
「あいつ、すばしっこいな!」
すると、手が伸びてきて俺の皮膚に触れそうになった。
『そんなのってありかよ……』
「ふふっ、まず1人……」
「空間移動!」
『ズドンッ!』
三井さんは腹横を蹴飛ばし謎の子供は吹っ飛んで行き、建物の中に突っ込んだ。
「小原、何をやっている。」
「すみません! 」
だが、すぐに謎の子供は建物から出てきた。
『あの目、アルファマインドか。それにさっきの瞬間移動みたいなヤツは能力か。少しはやるみたいだね。』
また走って向かってきた。すると、腕が2本生えてきて4本になった。
「バケモンかよ!」
「死ね! 死ね! 死ねー!」
その4本の腕を伸ばして3人を襲った。
「なんなんだよこれ!」
「くっ、逃げるので精一杯だ!」
3人はアルファマインドを使ってスピードを上げても逃げるのが精一杯だった。すると、金子さんと俺を追うのを辞めて三井さんを全ての手で追い始めた。
「ちっ、面倒だな。空間移動!」
「こっちか!」
三井さんが逃げた先に1本の手があった。
『こいつ、俺が移動した先を予測したのか!?』
「捕らえた……」
その手は三井さんの右足を掴んだ。
「這い蹲れ、癌流毅。」
「ぐああぁー!」
三井さんの右足が白くなってきている。
「三井!」
「三井さん!」
『スパンッ!』
すると、三井さんの右足を掴んでいた右下の腕が切り裂かれた。要請で来た掛橋さんが刀で一太刀して駆けつけてくれた。
「すまん、遅くなった。」




