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6話 実力確認試験開始!

俺は後藤と負けたらエージェントを辞めるなんてふざけた約束をしてしまったことを今更後悔していた。


「やべぇよ翔! なんで分かったなんて言ったんだろ! 前にアイツに一瞬でやられたんだぜ!?」


「もう勝つしかないね。とりあえずアルファマインドのコントロールの練習をしなきゃ。山本に頼んでみなよ。」


俺は山本の部屋に行った。


『コンコン』

「小原だ!入っていいか?」


『ガチャ』

「どうしたんだ?急に。」


俺は小原の部屋に翔と一緒に入っていった。すると、2mはある巨体があった。部屋の前には『山本・矢部』と書いてあった。矢部はとても怖い顔をしていた。すると翔が、


「あ、清水さんにやられてた矢部君だ。」


「それを言うな!どうせ俺は弱いですよ。何をやってもダメだ。昔からそうだ。そもそも人生で1回も女の子と話したことも無いのに戦えったって無理って話だろ?……」


「なにあいつぶつぶつ言ってんだ!?」


「悪いな、アイツ巨体の割には内気な性格なんだ。そんで、どうしたんだ?」


俺は後藤との事を山本に話した。


「なるほどね。それでアルファマインドのコントロールをしたいって訳か。アルファマインドは発動回数を重ねれば(おの)ずと発動が安易になっていくんだ。俺はそれしか言えないね。」


「なら明日から手伝ってくれないか!? マジで俺の人生かかっちまったんだ!」


「うん。分かった。」


「ありがとう山ちゃん! あ、俺のことは蓮って呼んでくれ!」


「俺は翔って呼んでくれ!」


「俺は山本(やまもと) (りょう)……山ちゃんでいいよ。アイツのことは(げん)ちゃんって呼んでやってくれ。矢部(やべ) 源蔵(げんぞう)って言うんだ。」


「よろしくな源ちゃん…」


「本当に1人前のエージェントに俺なんかがなれるのか?ってかなんでエージェントになったんだろ。こんなに気が弱い俺が…」


「まだぶつぶつ言ってんのかよ!」


とても個性溢れる人達がいっぱいいる。皆凄くて皆面白い。俺は着々と仲間を増やしていった。一方その頃、演習場には後藤がいた。


『ドカーンッ!』


岩や壁を破壊していた。


「ハァハァハァハァ…」


「佳ちゃーんもう部屋に戻ろうよー。」


「うるせぇよ。戻りたいなら先に戻ってていいぞ、東吾(とうご)。」


「分かったよー。部屋で待ってるよー。」


『クソッ! 小原の奴、絶対に辞めさせてやるからよ!』


『ドカーンッ!』


後藤はひたすら障害物を壊しまくっていた。


〜次の日〜


「よし、今日も頑張ろうか!」


「山ちゃんは本当に真面目だなぁ。朝なのにこんなに気合い入ってるなんて。」


「諒ちゃんは朝6時に起きてるんだ。朝の体操で俺も起こされるんだ。」


「お前、矢部だけに『諒ちゃん』って呼ばせてるのかよ」


「諒ちゃんって呼んでいいのは俺だけの特権なんだ。

なぁー諒ちゃん!」


「んまぁ、とりあえず行くぞ。」


俺たちは部屋同士の4人で演習場に向かっていくと。


『ガチャ』


奥の部屋から2人出てきた。出てきたのは清水さんともう1人の相部屋のメンバーだった。清水さんは睨んだ様な目付きでこっちを見ていた。


「ひぃぃ!怖ぇよ!」


「矢部、そんなにビビんなって。」


俺たちの隣を通り過ぎていった。


「山ちゃん、隣の子、誰か知ってるか? 可愛くなかったか!?」


「あの子は特別医療エージェントだ。治癒(ちゆ)能力を持つ特異体質なんだ。ジエーネの中でもホントに貴重な存在だ。」


俺はあの子が少し気になっていた。見た感じあまり目を合わせない人で、内気な性格なのかと判断していた。


演習場に着くと俺たちは特訓を始めた。俺は山ちゃんと、翔は矢部と組手を始めた。午前中は自由に誰とでも組手をしていい決まりだった。俺はひたすら山ちゃんの攻撃を受け続けた。


『ズバズバズバズバズバズバズバズバ!』


気が狂うほどに攻撃を受けた。すると、またあの時の感覚が身体に走った。左目も金色に輝いていた。


『きたっ!』


「蓮、実際に動いてコントロールしてみろ!」


俺は山ちゃんに言われた通り動いてみるとやはり動きが速くて空回りしてしまうけど少しずつ慣れていった。


「攻撃してみろ!」


俺は山本ちゃんに向かって風伝波を放った。


『ズドーン!!』


威力がまるで違う。山ちゃんは瞬時に避けたが、風伝波が速すぎて左腕に切り傷を追っていた。


「蓮、スゲーよ!マジで!」


俺はそれを何回も繰り返しアルファマインドの能力と発動に慣れていった。矢部は相変わらず翔にやられていた。


すると隣から、『ドカーンッ』と音が聞こえた。見ると、特大の岩が粉々になっていた。砂煙(すなけむり)が舞っていて、その中には後藤がいた。後藤はこちらを凄い形相(ぎょうそう)で睨んでいた。もう戦う準備は出来ていると言わんばかりの青く輝いた目だった。


そんなシビアな関係が続いて半年が経った。夏も終わり秋に入って涼しい風が吹いていた。入寮から半年経つと、最終試験の前の実力確認試験というのが行われる決まりがある。それはトーナメント式になっていた。両腕を怪我していた加賀もピンピンしていて、笑顔すら見られた。


俺は3回勝つと後藤と当たるトーナメント表だった。決戦が始まると俺と後藤はアルファマインドを使わずに3回ずつ勝ち上がった。


「次、小原と後藤!」


「ついに来たな。」


翔がそう呟いた。


「佳ちゃーん、頑張れー。」


『東吾の奴うるせぇんだよ。』


俺と後藤は睨み合っていた。後藤の左目は既に青くなっていた。俺も緊張のあまり、アルファマインドが勝手に発動されていた。


「始め!」


その瞬間、


『スパンッ!』


2人が接触した。2人とも凄いスピード感だった。攻撃しては避けられ、攻撃されては避けの繰り返しだった。瞬き1つ許されないくらいに。それは見ている周りの皆にも緊張感が伝わっていた。指揮官エージェントも見ているだけで手に汗握る戦いだった。


『クソッ!コイツ俺の動きに着いてきているのか!? いや、それどころか俺が少し押されているか!?』


「風伝波!」


後藤は瞬時に避けてカウンターを繰り出す為に拳を大きく振りかぶった。右の拳が輝いていたいた。まるでダイヤモンドに覆われているようだった。


金剛石破壊(ダイヤモンドバースト)!」


『ドカーンッ!』


俺は避ける事に成功したが、威力が強すぎてその風圧で吹き飛ばされた。後藤は体内中でダイヤモンドを生成することができる特異体質だった。そのダイヤモンドは体内から放出され、10秒程酸素に当たると(ちり)になってしまう。俺はやっとの思いいで地面にしがみついた。


『あれを受けたらアルファマインドの身体でもヤバそうだな。』


「次は俺が行くぜ!俺だってスゲェ技持ってるんだ!」


そう言うと右手を強く握りしめ、拳を振るった。


大風伝波(だいふうでんは)!」


3メートル級の風伝波を繰り出した。地面をえぐりながら後藤に近ずいていった。


「こりゃヤベぇな。あれをやるか。」


大風伝波が当たる寸前、そっと両目を閉じた。一呼吸置くと両目を強く見開いた。右目も青く輝いていた。


「アルファマインド! 能力発動!」


『ズドーンッ!!』


大風伝波が後藤に直撃した。

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