56話 再戦
「その金の目は!」
「お前もこの目を狙ってるのか?」
「ふふふ…ふはっはっは! とんでもねぇものを見つけちまったな! 室田の首と金の目の2つを持って帰るか!」
その時、俺は悪魔の仮面の男の身体中が少しずつ大きくなってきている気がした。
『なんだ、あいつの身体に何が起きている。やるか、やるなら今しかない。この間に地力の風を身体に溜め込んだ。ストームモードで一気に押してく!』
俺は身体から大量の風の性質を出し身体に纏った。そして俺は速いスピードで悪魔の仮面の男に急接近した。右手に風を溜めて殴ろうとするが、相手は全く動かない。
『俺のスピードについていけてねぇのか? この一撃で終わらせてやる!』
「風奏重力波!」
その瞬間、男は俺に目で睨みかけた。
「当たるかよ、そんなもん。」
『ドンッ!』
俺は急に弾き飛ばされてしまった。
「何が起きたんだ!」
壁にぶつかると、気づいたら目の前に男がいた。男は拳を握り俺に振るってくるが、後藤が飛び出し、金剛石破壊で弾いた。
「させるかぁ!」
「お前も昨日ぶりだな。俺はお前の能力は嫌いだ。」
その後も後藤はダイヤモンドバーストで押していくが避けられるか弾かれてしまう。
「当たれ! 当たれ!」
「そんなんじゃ当たらないぞ!」
男は右手を前にかざして後藤も弾き飛ばされてしまった。吹き飛んだ後藤は俺にぶつかった。
「おぉ、次は当たったか。あのすり抜ける能力は右目が青くなってる時にしか発動しないのは分かっている。」
仮面の男は2人に飛びつき頭を掴み地面に叩きつけた。
「ぐはっ!」
「お前らでは俺に太刀打ち出来ない!」
「くっそぉぉぉ!!」
後藤は男の手をすり抜けて右側に立った。
「金剛石破壊!」
『バゴーーーンッ!』
男は後藤のダイヤモンドバーストをもろに食らった。風圧で砂煙がたっていて、そこからは大きな羽の様な物が見えた。
「凄まじい威力、それに良い能力だな。すり抜けられるしその威力の攻撃、まさにトップエージェントの卵だ。だが、俺には効かなかったみたいだな。」
男の右半身は黒く、大きくそして翼で後藤のダイヤモンドバーストを防いでいた。その半身の姿は悪魔だった。
「っ!? 俺のダイヤモンドバーストを……こんな簡単に。」
悪魔の男は翼で後藤を突き飛ばした。
「蓮っ!」
「くっそ、どけっ! 風神の拳!」
俺は風神の拳の風圧を悪魔の男の腹に当てて空中へ飛ばした。
「お前は風の性質か。恵まれた能力だな。」
俺は飛び上がり悪魔の男に向かっていくが、男はまた右手を前にかざして俺を弾き地面に叩きつけられた。
「ぐっ……これじゃあ近づけない。」
上を見上げると、全身黒くなっていて翼も生えている。俺はこの姿が信じられなかった。
「これが人間の姿なのか……」
「俺に恐怖を抱いているのか? やはりお前は絶対俺に勝てない。なぁ、蓮。」
「なんで俺の名前を!?」
「さぁな。とりあえず室田の首を……」
「硬化……」
「後ろ!? いつの間に!」
「鉄硬拳!」
『ガンッ!』
悪魔の男は地面に叩きつけられ地面が割れた。そこに来てくれたのは総合格闘部隊副隊長の三井さんだった。
「三井さん!」
「小原、大丈夫か!?」
悪魔の男はゆっくり右手を上げ三井さんに向けた。
「陸空彈!」
三井さんに見えない何かが飛んでいった。それは激しい風圧によって見えていた。
「三井さん、逃げてください!弾き飛ばされます!」
三井さんは対抗するかのようにアルファマインドを発動し、両目を青く光らせた。
「空間移動!」
『ブンッ!』
気づけば三井さんは悪魔の男にまたがっていた。
「あれが三井さんのアルファマインドの能力……すげぇ。」
俺も三井さんの強さを目の当たりにして驚きを隠せなかった。それは悪魔の男も同じだった。
『な、なんだ、何が起きた……俺の陸空彈を避けたのか? いいや、角度的には完全に当たっていた。俺のワープの様に空間を移動したとしか説明がつかない!』
三井さんは右手を硬化して拳を振るった。
「鉄硬拳!」
「やばいっ!」
三井さんは悪魔の男の腹を力いっぱい殴った。地面は割れてしまいその振動は本部のエージェント達にも届いていた。
『ズドーーーーンッ!』
「ん? なんの音だ!?」
「敵の襲来か!?」
「本部の外からだ!」
三井さんに殴られ悪魔の男の腹には穴が空いていた。男は全く動けずにいた。すると、急に三井さんが吹き飛ばされた。
「ぐっ、なんだ。手もかざさずに飛ばされるのか……しかも、今ので右腕が折れちまった……」
三井さんを吹き飛ばした後、悪魔の男はゆっくり立ち上がった。先程よりまた少し身体が大きくなっている気がした。そして腹には空いた穴も少しずつ再生してきている。
「今のは流石に焦ったな……少し力入れてやるしかねぇな……」
その姿は完全な悪魔だった。身体が大きくなった為、着ていた黒い服の上半身は破れていた。それに悪魔の仮面を被っている。男は大きく深呼吸して一歩ずつ俺に近ずいてきた。
「蓮、お前の目玉をくり抜いて室田の首を取りに行く。」
俺は地力性質を身体に溜めていた。
「なんでお前が俺の名前を知っているのか分からないが、俺が狙いなら戦うしかない!」
俺はアルファマインドを発動して低く構えた。
『さっきは突然の戦闘だったから地力性質を完全に溜める事ができなかったけど、今なら万全の状況だ。』
悪魔の男は右側に小さな黒い空間を創り手を入れた。すると俺の右側から黒い空間が出現し、男の手が出てきて俺の首を強く掴んだ。
「首をへし折ってやる!」
「ぐっうぅっ!っ!!」『完全体ストームモード!』
『グシャ!』
ストームモードの風圧で悪魔の男の右手は吹っ飛んでしまった。俺の身体には凄まじい程の風が纏っている。
「マジかよ、腕が飛んだよ。すげぇな。こりゃあ一発殴られただけでも致命傷だ。」
男は飛んだ腕をすぐに再生させた。
「再生出来ないほどにバラバラにしてやるよ!」
俺は悪魔の男に向かって飛んで行った。拳に風を溜めて飛ばすと、男は右手をかざして陸空彈を飛ばし、お互いがぶつかり合うと弾け飛んだ。その瞬間空間が歪んだ感じもした。
「このまま行ける!」
すると、先程三井さんの鉄硬拳の衝撃でエージェント達が何人も駆けつけた。
「あれは七魔神の!」
「皆でやるぞ!」
「少し下がっててください!」
俺の声は届かずに約10人程のエージェントが一斉に男に飛びかかった。
「蓮ごと一網打尽にしてやる! 最大質量、陸空彈!」
『ドガーーーンッ!』
半径100メートル程が全て吹き飛んだ。本部の一部も損傷してしまった。俺や後藤や他のエージェントも吹き飛んでしまった。
「これだけの規模で皆飛んじまったのか。蓮も気絶してんじゃねぇか、情けねぇ。ホントに弱い所は変わらねぇな。」
悪魔の男は俺に近づき目玉をほじくろうとしていた。
「悪いがお前の光を貰うぞ。」
その時……
「おいおい、なんの騒ぎだ!? あーあ、やっちゃってるね、誰がこんなことを、建物がぶっ壊れてんじゃん。これ修理代すごいよぉぉ。」
そこに来たのは金子さんだった。
「え、またお前? しかも、小原の目を取ろうとしてたろ?」
「同感だ、またお前か。ホントに呑気な奴だな。」
金子さんは周りを見渡した。
「やってくれたねぇホントに。マジでやらないと気が済まないってか?」
『こいつは呑気な奴だが、確かに強いのは知っている。気を抜かずに……』
男が瞬きした瞬間、既に目の前にいた。
「二重威鉄拳!」
『っ!? 速い!』
金子さんは男の腹を力いっぱい殴った。




