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51話 悪魔

「か、金子さん、その目……」


「あぁ、言ってなかったか? 俺もアルファマインドを持っているんだ。見てろ小原、これがお前の上司だ。」


金子さんは左手の拳を強く握り、右手で握っていた男の左足を自分の方へと引いた。


「俺は金になんかならねぇよ!」


「まずいっ!」


金子さんは左拳で男の腹を殴り地面に叩きつけた。


二重威鉄拳(ブラッシュウェーブ)!」


『バシンッ……ズドンッ!』


叩きつけた後、後から伝わった力で半径50メートルほどの地面が砕けていった。俺も巻き添いを避け空へ飛んだ。


「金子さんのあの攻撃、普通じゃない。本当に敵じゃなくて良かったぁ。」


その後、男は大量に吐血しながら動けなくなっていた。


『吸収できない程の膨大な力……迂闊(うかつ)に近づいたのが失敗だった……』


俺も金子さんと合流し、男の前まで来た。


「その吐血量、胃と肝臓が破裂したな。このまま苦しんで死ぬか、情報を吐いて楽に死ぬか、どちらか選べ。お前は今まで人を殺して金を稼いでいた罪人だ。死ぬのは当たり前だ。どっちにするんだ?


「七魔神の情報か? 俺はアイツらの仲間じゃねぇから別にいいけどな。」


「7人全員の情報を知っているのか?」


「あぁ、だが1人新人が入ったらしいんだ。そいつの情報は良く分からねぇ。」


「分かる範囲で教えろ。」


「1人は七魔神のリーダーであり、七魔神で最も強いケテルという男だ。特徴は蛇の仮面だ。コイツの強さは、実際のところ誰も知らない。」


「そいつがエージェントの首に賞金をかけた黒幕の可能性も高いな。」


「他には状況を入れ替える能力のロギ、ピエロの仮面だ。狼の仮面のリュンヌ。影を操る黒い仮面のシャッテン。白い仮面の怪人無限面相のアルセーヌ。」


「あと、情報では6人で動いていたようだが、あと一人はどうなっているんだ?」


「それなんだが、残りの1人は日本にいる。日本のどこかにな。そいつは気をつけろ、人間であるが人間ではない。」


「どういうことだ?」


「それはいづれ分かる。残りの1人、悪魔の仮面を被った新人は日本人だ。」


「日本人!?」


その時、空から黒い物体が降ってきた。


『ズドーンッ!』


「ぐっ! なんだ!」

「あれは!」


風圧で吹き飛ばされた2人の目には信じられないものが降ってきていた。その姿はまるで悪魔のようだった。黒い身体をしていて、横の長さが全部で4メートル程の翼が生えており、悪魔の仮面を被っている。体長は2メートルを超えており、金子さんが倒した男の顔を踏み潰し殺した。


「生き残りはここにいたのか。あのエージェント2人がこいつをやったのか。手間が省けたな。 」


そして、悪魔の仮面の男は俺の事をじっと見た。


「っ!? アイツ、蓮!? はっはっはっ、そうか、アイツもエージェントになったのか。また今度殺してやる!」


悪魔の仮面の男は金子さんが倒した男を掴み空へ飛んでいった。


「なんだったんだ。」


「金子さん、今のは七魔神のメンバーじゃないんですか?」


「あぁ、悪魔の仮面を被っていたしな。間違いないだろう。」


「ここからどうします?」


「旅行はやめだ。今から急いで新宿まで帰るぞ。このことを署長に伝えないといけないしな。」


「はい。」


俺と金子さんは急いで新宿まで帰ることにした。


「帰りは俺が運転して行くよ!」


「げっ! 本当ですか? ちょっと心配なんですけど!」


「大丈夫だ! 観光して運転少しうまくなったんだ!」


「あー! だから車の後ろの部分が凹んでたんですね!」


「うん、そーそー! って、ウソだろ!」


「あ、知らなかったんですか?」


「気づかなかった。って、そんなことより、この特訓で地力性質は完全にマスターしたのか?」


「完全にかどうかは分かりませんが、一応コツは掴みました!」


「地力性質を使うと全然違うだろ? お前は止まって風の性質を取り込んでいたけど、いざ戦いになったら動きながら取り込むことも必要になってくるんだ。それもこれから練習していかないとな。」


「なんか難しそうだけど、やるしかないですね!」


2人は新宿本部に着くと、そこには三井(みつい)さんがいた。


「金子さん、大丈夫でしたか?」


「あぁ! 全然平気! ってか、大した事無かったからね!」


金子さんはそう笑いながら言っていたが、あの男が大した事ない訳ではなく、金子さんが強すぎると俺は思っていた。


「あと、悪魔の男の話しは後でする。それと小原、お前は少し休め。休み無しで地力性質の特訓をしたからな。3日休養を取れ。」


「本当ですか!?」


「でも、地力性質の感覚を覚えておくように日常生活でも意識して過ごしてくれ。」


「はい!」


そしてそんな俺たちを本部寮の窓から見ている人がいた。


「おい、(いやし)! 蓮が帰ってきたぞ!」


「ほんとに?」


俺が寮の部屋に戻った時、部屋の前に清水さんと癒が立っていた。


「おぉ! 2人とも1週間ぶりくらいか?」


「そうだな! じゃあ癒、後は1人でいいな?」


「え、うん……」


そう言うと清水さんは部屋に戻っていき俺と癒の2人きりになってしまった。


「蓮、久しぶりだね……」


「んまぁ、1週間ぶりだな! どうしたんだ?」


癒は顔を赤くし下を向いた。


『え、俺何かしちゃったかなぁ。ってかこの状況どうしよう……』


「あの、蓮……」


「ん?」


「明後日って、空いてるかな……」


「うん! 空いてるよ!」

『これはまさか!』


「2人でどこか行かない?」


『キタァーーーーー!』

「行く!」


「…………」

「…………」


「なんでそんなに元気いいの?」


「いいや、特訓が上手くいってさ、今凄く機嫌がいいんだ!」


俺はもちろん特訓が上手くいっていたからではなく、癒にデートを誘われて舞い上がっていた。


「じゃあ、また明後日ね……」


「う、うん!」


癒は走って部屋へ帰っていった。癒は部屋のドアを勢い良く開けそのままベットへ飛び込み、それを見た清水さんがビックリした表情を浮かべた。


「ビックリしたぁ。どうだったんだ?」


「OK貰っちゃった……」


「よかったなぁ!」


「うん、でもどうしよう。デートなんて……」


「大丈夫だ! 蓮なら大丈夫……あいつ、癒に何かしたらぶっ殺す!」


そしてもう1人、浮かれてる人がいた。


「やべー、癒とデートはやべー。」


俺は脳内お花畑だった。


「ってか、明後日ってことは、今日は12月22日だから……え、まじ! クリスマス!? まさかエージェントになってクリぼっちを回避するとは!」


部屋に戻ると山ちゃんと後藤がいた。


「久しぶりだな! 2人共元気そうじゃないか!」


「久しぶりだ! お前を見てたらくよくよしてられなくてね!」


「特訓行ってきたんだよな? 成果はあったのか?」


「もちろんだ! 今度見せてやるよ! っていうか聞いてくれよ!」


俺は癒にデートに誘われたことを2人に話したくて仕方がなかった。


「えー!」

「えー!」


「声がでかい! いいだろ?」


「くそっ! 蓮に先越されるとはな!」


「後藤も頑張れや!」


「なんだその上から目線は!」


「実際デート誘われてるし? 上から目線でもよくない?」


「蓮、最近では犯罪率も上がっているし七魔神の動向も気になるから気をつけろよ?」


「あぁ! 任せとけ!」


時間が経つのは早く、あっという間に明後日のデート当日の日の朝になった。


「服OK。髪OK。靴OK。顔は……完璧。」


俺は寮の外で癒を待った。


「おまたせ。」


癒は暖かい格好をしていてとても可愛かった。


『げっ! 可愛い! 今からこんな子とデートすんのかよ!』

「全然待ってないよ! じゃあ行こうか!」


2人は一緒に駅まで向かうが、初々しさがとてもあった。

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