49話 悪魔の仮面の男
俺が地力性質の特訓をしている間も、七魔神の動きは続いていた。
「皆さん、これからどうします?」
「俺たち以外の賞金首狙いの生き残りが各国に居るみたいだな。そこでだ、自分達の母国にいる賞金首狙いの生き残りを始末しろ。ついでに賞金首を連れてきてもいいぞ。」
「え、いいの!?」
「金は欲しいからな。それに、新入りの日本人の実力も見てみたい。」
「前回のキングエージェント戦でデイルさんが殺されちゃって、まさかデイルさんに次ぐ悪魔の仮面を被るのが日本人とはね。」
すると、悪魔の仮面の男が他の5人へと近づいていった。
「俺が弱いって言うのか、ならここで殺し合うか?」
「調子に乗るな日本人が。このメンバーに入ったからには殺し合いは無しだ。お前にも任務をしっかい遂行してもらう。期待しているぞ。」
すると、悪魔の仮面の男は真っ暗な空間を開き、闇へと消えていった。
「悪魔の能力は移動には便利そうですねぇ。」
「あいつは母国の日本に向かったな。リュンヌはドイツを、アルセーヌはフランスを、ロギはカナダを、シャッテンはアメリカを、そして俺はギリシャ周辺だ。狗擁羅は今度全員で日本に迎えに行くか。」
「はい、ケテルさん!」
「了解しましたよ、リーダー。」
仮面の男達は各自母国へ向かい動き始めた。悪魔の仮面の男も空間を移動し日本へ到着した。移動した先は名古屋駅の建物の上だった。
「ここが名古屋か。来るのは初めてだな。」
男は名古屋駅周辺を一望した。
「なかなか良い場所じゃないか。明日が楽しみだ。」
夜は明け、朝になると通勤・通学の人々で溢れかえっていた。時刻は8時12分、そこにヤツは現れた。それに気づいたのは電車の運転士だった。
「ん? 線路の上に人が居るぞ! 早く電車を停めないと!」
運転士は必死にブレーキをかけるが間に合わない。
「ダメだ! 間に合わない!」
運転士は電車から顔を出し、大声で叫んだ。
「おい! 早くどけぇ!」
『キィーーー!』
悪魔の仮面の男は右手を前にかざし、真っ暗な空間を電車の前に開いた。電車はその空間に入り込んでしまうと、その空間に繋がるのは上空だった。それも名古屋駅の上に。運転士からしたら目を疑う光景だった。
「ど、どうなってるんだ! このまま落ちてしまう!」
『ズドーーーーンッ!』
そのまま名古屋駅に電車が滝の様に落下し、激突した。既に大惨事だった。辺りは人々の叫びや建物が崩れる音が飛び交っていた。
「ちょっとやり過ぎちゃったかな。エージェントの気を引こうとしたんだが、これじゃあ全員来る程の騒ぎだな。」
すると、エージェントの姿が見え始めていた。
「お、きたきた。」
エージェントは救助活動を行っていて、なぜこのような状態になっているかも分からなかった。
「電車が駅に突き刺さっている? どうなっているんだ!」
悪魔の仮面の男はエージェントの腹を右手で貫いた。その頃、名古屋本部でも騒ぎになっていた。
「失礼します! 署長、名古屋駅の件ですが!」
「あぁ、分かっている。」
名古屋本部署長は署長室のテレビで名古屋駅の中継を見ていた。
「ここまでの騒ぎだ。相当なやり手だろう。守護警部5人を名古屋駅に送ってくれ。」
「はい!」
守護警部5人に要請を伝える為に伝令に来たエージェントは署長室を出ていき、署長1人になった。
「いったいどうなってるんだ。何が狙いで、誰がやったんだ。」
「俺だ。」
署長の背後から声が聞こえ、咄嗟に距離を取り、低い姿勢を取った。悪魔の仮面の男が真っ暗な空間から出てきていた。
「誰だ! ……お前、その仮面、七魔神のメンバーか!?」
「おぉ、知っているのか! 案外有名なんだな、七魔神って呼ばれているのか。」
「どこから入ってきたんだ!」
「俺はどこからでも入れるから関係無い。」
『くっ、そういう能力ってことか。こいつの組織が大阪本部の佐伯さんをやった組織か。そうとうなやり手だが、こいつの目当ては金。ということは俺か。』
「名古屋駅の被害はお前の仕業か。」
「逆に俺以外に考えられるのか?」
「んまぁ、そうだろうな。他の6人はどうした。」
「そんなもんいらねぇよ。俺一人で十分だ。そんな事より金を頼まれているんだ。2億2000万いただくぜ、桐島 修署長さんよ!」
すると、仮面の男は桐島署長に飛びついた。だが、桐島署長は身体を捻り空中に飛ぶように逃げた。
『なんだこいつ、めちゃくちゃ早い。普通のエージェントだったらやられてたな。』
「俺の首に2億2000万もの金がかかっているとはな。光栄じゃねぇか。」
「お前が2億2000万のエージェントか、俺が確かめてやるよ。」
仮面の男は空中にいる桐島署長に向かい手を伸ばした。
「すぐ終わらせてやる。」
その時、桐島署長の身体から電気が発生した。
「っ!?」
一瞬だった。一瞬、署長室内が光り、気づいたら桐島署長が仮面の男の首を絞め地面に叩きつけた。
「お前、珍しいな。雷の属性か。」
「この雷の属性は天性の物だ。雷の属性を操るエージェントは日本では俺だけだ。俺はエージェントの中でも有名な方だと思ったけど、お前が知らないってことはあんまり知られていないんだな。もっと頑張らないとな。」
桐島署長は左手に電気を溜めた。
「意外とあっけなかったが、これで終わりだ。」
左手を振りかざす瞬間、妙な空間が流れた。
「空彈!」
『ズドンッ!』
桐島署長は弾き飛ばされ天井に打ち付けられた。
「ぐはっ!」
『なんだ今のは、急に弾き飛ばされた。これも能力なのか?』
「あーあ、危なかった。雷の能力なんて、聞いてねぇぞ。あんた、知名度が低すぎるんじゃねえのか?」
桐島署長は地面に着地すると仮面の男を警戒した。
「どうした? 雷の属性を持ってるんだからどんどん押してこいよ。」
「くそっ、戦いずらいな。いつもらすぐ終わる相手なんだがな!」
桐島署長は身体全身に雷を纏い、光の速さで署長室を駆け巡った。そのスピードで署長はどんどん削られていった。そして仮面の男に体当たりしようとする。
「このスピードでぶつかれば俺に多少の反動はあるが、ヤツは粉々だ! 電羅荘撃破!」
「別に見えなくても余裕だな。最大質力、陸空彈!」
すると、名古屋本部が署長を中心に建物ごと弾き飛ばした。本部にいた他のエージェントも巻き添いをくらい、建物の外に弾き飛ばされた。桐島署長も電羅荘撃破の勢いまま、陸空彈を受けたせいか、一撃で瀕死状態になってしまった。
仮面の男は桐島署長の胸ぐらを掴み、また真っ暗な空間を出し、入っていった。
「なんだよ、全然弱いじゃねぇかよ。これで良く名古屋本部の署長が務まるんだ? これで、2億2000万ゲットだ。」
仮面の男は真っ暗な空間に完全に入り込んだ後、その空間は閉じた。移動した先は換金所だった。そこには七魔神のリーダー、蛇の仮面を被ったケテルという男もいた。
「ほら、2億2000万だ。」
悪魔の仮面の男は桐島署長を地面にほおり投げた。
「なんだ、まだ生きているのか?」
「なら、あんたが殺してくれ。」
『グシャ!』
ケテルは桐島署長の心臓を貫いた。
「この男、雷の性質だったな。苦戦はしなかったのか?」
「見てわかる通り、服も汚れてない。」
「仮面にヒビがはいっているぞ?」
「あの時の雷か……んまぁこれだけだ。」
「お前はなかなか使えるようだな。新人だからどうかと思ったけど、案外やるな。次は、誰を狙うんだ?」
「それはもちろん決まってる。新宿本部署長、室田 魁心だ。」




