47話 七魔神始動
「七魔人?」
「七魔神は我々エージェントが呼んでいる組織名だ。海外ではエンペラーとも呼ばれている。そして今回、大阪本部の所長の首が取られた。」
「大阪本部の所長って、あの佐伯署長が!? そんな事ってあるんですか……」
特殊守護部隊隊長の岩田さんは驚いた表情でそう言った。正直、俺は何が何だかよく分からなかった。
「その七魔神は何が目的なんですか?」
「金だ。」
「金ですか?」
「最近では全世界の名のあるエージェントの首に懸賞金をかけて殺す遊びが流行っているらしいんだ。言ったらエージェント狩りだな。主催者は何を考えているか分からないが、特にここにいる7人は懸賞金は高いと考えていいな。」
「すみません、所長、自分も懸賞金がかけられているんですか?」
「小原、お前の金のアルファマインドがどれだけの価値があるか分かるか? それで本部にお前を置いたというのもある。もしかしたらお前が1番高いかもな。」
「…………え? えぇぇぇぇぇ! 自分殺されちゃうんですか? まだ人生始まったばかりですよ? 」
俺は動揺し過ぎて口から魂が抜けかけていた。
「今川の件、そしてNo.6の件、小原には短期間での試練が多いがエージェントはどんな状況でもその試練を乗り越えなければならない。」
『おいおいマジかよ。次こそ死を覚悟しなきゃいけないのか?』
すると金子さんが俺の肩に手を置いた。
「んまぁ任せろ! 何かあったら俺が守る! お前の上司としても、エージェントとしてもな!」
俺は涙目を浮かべて金子さんに抱きついた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ありがとうございますぅぅ!」
「でも、死ぬ時は一緒な!」
「誰か助けてぇぇ!」
「とりあえずお前らは気をつけてくれよな。」
「はい。」
一方その頃、立川警察署には魔の手が襲っていた。一般警察、そしてエージェントは既に倒されていた。残されていたのはただ1人、俺がお世話になった立川警察署長の荒川さんだけだった。荒川さんは机の影に隠れていた。
『あれが七魔神か。とんでもねぇ奴らだな。一緒で皆やられちまった。見る限りだと敵は6人、聞いた話だと7人だから1人いないのか。皆仮面を被っている。』
七魔神は黒い着物を纏っていて皆違う仮面を被っていた。仮面の種類は、蛇、悪魔、ピエロ、狼、真っ黒い仮面、真っ白い仮面の6種類だった。
「おかしいですねぇ。ここに金の目を持つ者がいるという噂なんですが……」
『あのピエロのやつ、小原の事知っているのか。』
「いいや、それは確かだ。」
「ケテルさん、まさかのミスですか? あぁあ、やっちゃいましたね。はっはっはっは!」
「リュンヌはいい加減リーダーをおちょくるのは辞めましょうよ。今はこの中で1番貴方が弱いんですから。殺されますよ?」
「ロギさんはいつも真面目すぎるんだよ。もっと遊び心を持った方がいいですよ。」
「リュンヌは殺さない。こいつは大事な戦力だからな。」
「そうだぞ! 実際キングエージェントの左腕を持ってきたのは俺だからな!」
「それはウルフモードの時ですよねぇ。でもまさか、あの腕1本で6億もするとは思いませんでしたねぇ。」
『キングエージェントの左腕が義手に代わったって情報はこいつらの仕業だったのか。ってことは、今の小原なら死ぬな。』
「金の目がいないのか、ならここの署長を狩るか。あいつも一応1000万の賞金首だからな。たしか、荒川って言ったかな?」
『俺、懸賞金かけられてたのか……嬉しいねぇ。だがいつ出ようか。今でたら確実に死ぬな。』
「でも、もう見つけた。」
すると、荒川さんの影から黒い仮面の男が出てきていた。
「どんな能力だよ!」
荒川さんは咄嗟にその場から逃げた。
「おぉ、流石賞金首! スピードはキングエージェント並か!?」
「くそっ、完全に馬鹿にされてるな。」
『俺がこの場を乗り切るには全員を一網打尽にするしかないな。逃げるのは簡単だが、部下を置いて逃げる訳にはいかないからな。』
「連撃・早殺石火!」
荒川さんは6人に近づき一人一人に打撃を与えていった。
「うわぁぁ! 見えないし痛いぃぃ!」
「リュンヌうるせぇぞ!」
「だって速くて見えないし、めちゃくちゃ殴られるし、痛いよぉぉ!」
『あの狼の仮面の奴、さっきキングエージェントの左腕を取ったと言ったが、ほんとに強いのか?』
すると、ピエロの仮面の男が前に出てきた。
「ここは私がやりますよ。私一人で十分です。」
荒川さんは足を止め低く構えた。
「お前、一人でいいのか? 1対1なら俺は強いぞ?」
「それは私もですよ、1000万の荒川さん。」
荒川さんは飛び出し、絶対に見えない程のスピードでピエロの仮面を掴んだ。
「取った!」
「あまいですよ……」
『シュンッ!』
どういう訳か、荒川さんがピエロの仮面を掴んでいたのが、ピエロの仮面の男が荒川さんの顔を掴んでいる。
『どういうことだ! 状況が入れ替わったというのが正しいのか? だが、そんなことありえない!』
その後、荒川かんは顔を掴まれ、地面に叩きつけられた。
「シャッテンさん! お願いします。」
真っ黒い仮面の男が右手をかざすと、荒川さんを黒い何かが背中から腹を貫いた。
『グシャッ!』
「ぐはっ! こ、これは……」
「それはお前の影だ。」
「影!? 影を自由に操るということか? こいつら、とんでもない能力ばかり使いやがる! まじでとんでもねぇヤツらだ! こんなの小原じゃ勝てない! 絶対に殺される!」
その瞬間、荒川さんはピエロの仮面の男に顔面を殴られ気絶してしまった。
「今殺さなくていいのか?」
「いいえ、これ程腹を貫けばどの道死にますよ。賞金首には苦しまずに死んでほしいのでねぇ。」
6人は荒川さんを抱えて立川警察署を後にした。そしてその情報は本部にも入っていた。金子さんは俺にその事を伝えた。
「小原、少し話がある。」
「はい、どうしました?」
「それがだな、お前が以前お世話になっていた立川警察署なんだが、その署長の荒川が消息を絶った。」
「どういうことですか?」
「おそらく七魔神だろう。狙いはお前の目だった。」
「じゃあ、俺のせいで荒川さんが……」
「いいや、情報によると荒川は1000万の賞金首だったらしい。だから荒川を連れていったんだろう。」
「じゃあ今すぐ荒川さんを!」
「いや、もう遅い。七魔神は今どこにいるか全く分からない。小原、自分を責めるなよ。」
「……」
俺は自分の周りで人が死にすぎていると思っていた。自分が、この目がいつも災いの元とないっていると。
「お前はまだ強くなれる。No.6の時の鳳や今回の荒川の事は、起こってしまった事はしょうがないんだ。前を向いて歩くしかない。」
「はい……」
その頃、七魔神は換金所にいた。
「これが日本人賞金首の荒川って男だ。」
「うん。間違いないな。確かこいつは1000万だったかな。」
七魔神は1000万を渡された。
「貴方達、日本人を連れてくるということは、いよいよ金の目を狙うのですか?」
「あぁ、それが目当てだからな。それを捉えるのが俺達の目的だからな。」
そう言い残し6人は換金所を後にした。




