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46話 進むべき道

「ここは……本部か?」


俺が目を覚ますと、本部の医療室のベットで寝ていた。隣を見てみると山ちゃんもいた。その奥には後藤と清水さんの姿もあった。3人とも酷い怪我のようだ。


「相手は凶悪犯だから、ここまでの怪我はしょうがなかったのか? いや、もっと良い方法もあったはずだ。それに、(おおとり)がいない。流石だな、あいつはもう復帰しているのか。俺もこのままじゃいられな……いてっ!」


「じっとしていなさい。」


俺がベットから立ち上がろうとすると、誰かの声が聞こえた。奥から1人の女性が歩いてきた。


「あなたは?」


「私は特別医療部隊隊長の安斎(あんざい) 治美(なおみ)よ。」


「ってことは、(いやし)のお母さんですか?」


「えぇ、そうよ。小原君、今回の事は本当にごめんなさい。」


「いや、いいんですよ! 癒は仲間ですし、何より皆無事な訳ですから!」


すると、治美は下を向いて険しい顔をした。


「あのね……」

「癒はどこにいるんですか?」


「あぁ、癒は今家にいるのよ。」


「そうなんですか。んまぁ、無事みたいだし良かったです。」


その時、山ちゃんも目を覚ました。


「蓮、大丈夫か!?」


「おぉ! 山ちゃん、起きたか! 俺は大丈夫だ!」


「後藤と清水は見る限りだと相当酷い怪我みたいだな。復帰するのに時間がかかるな。そして、蓮がここにいるってことは癒を連れ戻したんだな。」


「あぁ、しっかり連れ戻した!」


「No.6に勝つなんて、蓮凄いな!」


「スゲー強かった。でも、そのおかげで俺も強くなれた。皆もそうだと思う。今回みたいな困難を経験してこそ強くなれると思った。」


「俺もそう思うよ。」


俺と山ちゃんはそこから3日間で退院。そして癒の状態が気になったので、癒の家を訪ねることにした。インターホンを押すと癒が出てきたが、様子が変だった。目の下にはクマがあり、全く元気がない。


「癒、どうしたんだ?」


すると、癒は突然泣き出してしまった。


「おいおいどうしたんだ? 何かあったのか?」


「私の……私のせいで……」


「俺たちの怪我の事は気にすんな! 皆無事だから!」


「私のせいで、鳳君が死んじゃったの……」


「え……」


俺はこの時、癒が何を言っているか分からなかった。俺は鳳は無事に凶悪犯を捕まえて今も任務に出ていると思った。


「癒? 何言ってるんだ? 鳳は今任務に出てるんだ。まさか死んでるなんてそんなこと……」


「じゃあ、鳳君、蓮とかのお見舞い来た?」


俺はこの時、確信に変わってしまった。鳳が生きているのなら、一緒に癒を奪還した仲間ならお見舞いに来ていたはずなのだ。


「鳳が……死んだ?」


「くそっ! あの時俺が只野相手に2人で戦ってたら!」


俺は泣き崩れ、過去を悔やんだ。


「いいや、私が捕まったからこんなことに……」


すると山ちゃんが言った。


「2人とも、自らを責めるな。鳳は望んでこの奪還任務に参加した。凶悪犯と対峙(たいじ)し命を落とすことはエージェントとしては本望(ほんもう)だ。そしてその命は俺たちに繋がったんだ。」


山ちゃんは自分の心臓を握るかのように服を掴んだ。


「泣くんじゃない!胸を張れ! 前を見ろ! 後ろを振り向くな! それでも俺たちは生きていく、明日(あす)へ向かわなければいけない! 鳳の命は俺たちの心の中にある! 決して死んでなどいない!」


俺は山ちゃんの方を見上げた。


「無理すんなよ……お前が1番辛いんだろ!」


山ちゃんは胸を握り締めながら大量の涙を流していた。それもそのはず、俺達の中でも鳳と1番仲が良かったのは山ちゃんだったのは間違いない。辛いに決まっている。


「癒、俺も翔を失ってる。俺も山ちゃん頑張るし、癒も前を見よ。鳳は癒の為に戦ったんだ。悔いは無いと思う。」


「うん……」


俺や山ちゃんは鳳が死んだのは癒のせいじゃないと言い聞かせたが、自分を責めるのは無理もない。俺や山ちゃんでさえ自らを責めるのだから。俺はそれを意識を戻した後藤と清水さんに言いに行った。


「おぉ、蓮! やったな! 癒を連れ戻したんだな!」


「あぁ。」


「小原、お前を信じてよかった。本当にありがとう。」


清水さんは涙を浮かべて俺に感謝を伝えた。


「鳳の事なんだが……」


2人は鳳の事を伝えられ、放心状態になっていた。


「おいそれ、まじかよ……」


「……」


特に清水さんは目を見開いて瞬きすらしない。


「そうか、馬鹿やってるアイツと話すことも無いのか……」


数日後、俺の部屋に誰かがノックをしてきた。俺はドアを開けると目の前には警剣部隊(けいけんぶたい)隊長の掛橋(かけはし) 刀和(とうわ)さんがいた。直接会うのは初めてだった。


「か、掛橋さん! お疲れ様です!」


「小原、お前に話しがある。10分後に会議室に来てくれ。」


「はい。」


俺は10分後に会議室に行くと、そこには掛橋さんがいた。


「小原、今回のNo.6の件だが、よくやってくれたな。」


「はい。ありがとうございます。」


「鳳の事は残念だったな。」


「すみません。鳳は警剣部隊でも戦力になったと思います。自分があの時一緒に戦っておけば……」


「自分を責めるな。確かに鳳は新人であの強さは天才的だった。将来の隊長格になる器でもあったが、それはあいつが進んで選択した道だ。それがあいつの生き様なんだ。」


「はい。」


「話しを変えるのは申し訳無いんだが、お前はNo.6と対峙したんだよな?」


「はい。」


「No.4の事を何か言ってなかったか?」


「No.4ですか? いえ、特に。」


「そうか、俺は長年No.4を追っていてな。全く情報が掴めないんだ。No.6と繋がりがあればと思ったんだが、ないならしょうがない。すまんな、それだけだ。」


「あの、No.4ってどんな人か分かりますか?」


「俺もよく知らないが、直々に弟子にならないと会えないんだ。それに警剣部隊の中では"神の剣士"とも噂されている。」


「神の剣士!?」


「んまぁ、噂だがな。時間貰って悪かったな。」


掛橋さんが会議室を出ようとすると、そこへ金子さんも来た。


「金子さん、どうしたんです?」


「掛橋、ここにいたのか。小原もちょうどいるじゃないか、今から所長室に一緒に来てくれ。」


俺と掛橋さんは金子さんに連れられ所長室へ向かった。少し嫌な予感がしていたが、それは的中していた。


「失礼します。」


「おう、来たか。」


そこには既に守護警部達と室田所長がいた。


「あの、俺って必要なんですか?」


「蓮、お前も重要だ。」


「君たちに話さなければならない事がある。ついに七魔神(しちまじん)が動き始めた。」


「七魔神!?」

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