表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/64

45話 美しき愛の形

「こんな能力に頼らず、正々堂々戦うさ!」


「俺も戦う! 愛の為に! あなたの為にも!」


俺とNo.6は全力で戦うことを誓い、俺は(いやし)の為に、No.6は今は亡き真衣(まい)の為に拳を交わした。それは各々の愛の為でもあった。だが、俺はNo.6の力や思いに押されていた。


「おい小僧! アルファマインドを使わないとこんなものか! 俺に殴り殺されるぞ!」


「あなたこそ! 愛があれば、こんなに強いじゃないですか!」


2人は何度も何度もお互いを殴りつけた。


「はぁはぁはぁはぁ……」

「はぁはぁはぁはぁ……」


「なぁ、そろそろお互いの力をぶつけ合おうか。」


「望むところだぜ。」


No.6は身体中の筋肉を増強し始め、身体が大きくなっていた。


「これも想像変擬体(そうぞうへんぎたい)の能力の一つだ。もちろん生命の一部だから命は削ることになるがな。」


俺はアルファマインドを発動し、身体中に風の性質を(まと)った。


「俺もやられてばっかじゃあ、癒にいい所見せられねぇからな! 練習してたんだ、ストームモード!」


2人は勢いよく飛び出し拳と拳をぶつけ合うと、その威力の風圧で癒や木々が飛ばされそうになった。癒は急いで森の木の後ろに隠れた。


「す、凄い。っていうか、全然見えない。特に、蓮のスピードが!」


その後もNo.6の身体に打撃を加えていった。そして俺のアルファマインドとストームモードのコンビは筋肉を増強したNo.6のスピードさえも凌駕(りょうが)していた。


『この筋肉増強は俺の体術モードの中でも1番スピードが速い形態だ。それなのにここまで押されるのか! 一体何なんだ、コイツの力は!』


俺はNo.6を下から蹴り上げ自分も飛んだ。No.6からは俺が下から来るのが丸見えだった。


「空中で動けることは出来ない! ここに来るのは分かっている! 部分最大増強!」


No.6の右腕がまた一回り増強した。


「これをまともに喰らえば全身骨折は(まぬが)れないぞ!」


No.6は拳を振るうが、俺には当たらなかった。俺は空気中をまるで壁があるかのように蹴って移動した。


「なに!? 空気を蹴ったのか!?」


「俺は風の性質だ。こういう事だって出来る!」


俺はすぐさまNo.6の上へと移動した。


「俺も最大質力だ!」


ストームモードの上からまた右手に風を集中させた。


「筋肉増強をしてからまだそんなに時間は経っていない! 防御する物体を出すにはまだインターバルがあるはずだ! 生身(なまみ)の身体で防御してみな!」


「くっ! これはヤバい! あの右腕の周辺の空間、空気を圧縮し過ぎて(ゆが)んでいるようにも見える! 防御しても、俺のこの腕がどこまで持つか!」


No.6が見た通り、俺の拳の周りは空気圧を圧縮し過ぎてモヤモヤした様な、ギザギザした様な、テレビの砂嵐の様な感じだった。俺は空気を蹴りNo.6に向かっていった。


『癒のあの笑顔は、本当にこの状況を(くつがえ)す力をくれた。ありがとう。』


風奏重力波(ふうそうじゅうりょくは)!」


俺は力いっぱいNo.6を殴り飛ばした。No.6も両腕の質量を高めたが、俺の拳が当たった瞬間に両腕がねじ曲がってしまい、あっという間に地面に打ち付けられた。その勢いでその一帯の地面は割れ、木々は飛んでいき、アジトの屋敷も粉々になっていった。俺は瞬時に癒を抱え空へ飛んだ。


「はぁはぁはぁはぁ……勝ったんじゃねぇか?」


「っ!? 蓮、その右腕……」


癒は、俺の右腕が内出血や指が曲がっているのを見て、制御できていないようにも感じていた。


「あぁ、これは大丈夫だ。流石にこれで終わっ!?」


俺の目に映ったのは、瓦礫(がれき)の中から立ち上がるNo.6の姿だった。両腕は黒く変色してブラブラしていた。


「小僧っ! 今の一発で俺を仕留めきれなかったな!」


「癒、次で決める。だから待ってて。」


俺は癒を少し離れた瓦礫の上へ移動させた。


「もう1回ストームモードで行く!」


だが、いきなり風奏重力波を繰り出したせいか、身体が思うようにうごかず、ストームモードも発動出来なかった。そこにNo.6が走ってきている。


『小僧、特に根拠は無いが、お前に会って変われた気がする。なぜかは知らないが、どうして変わったか分からないが、確かに俺の心や身体、そして命を感じる! ありがとよ。やっぱりアイツには人を変える何かがあるのかもしれない。』


No.6は左手に鉄の塊を溜めて拳を振るった。


「限界を超えろ! 風神(ふうじん)(けん)!」


2人の拳は打ち付け合うと、No.6の鉄を砕いていった。


「そんな、馬鹿な! この鋼鉄を砕くなんて普通じゃない!やはりコイツは、金のアルファマインドを持つに相応(ふさわ)しいのか!?」


俺はアルファマインドを発動し空高く飛び上がり、両手に体力の風の性質を集めた。


「俺は癒の為にも、仲間の為にも、これから俺が守る人々の為にも、ここで負けるわけにはいかない! 」


両手の拳を振るい、連続で膨大な風の風撃を飛ばした。


風豪大連波(ふうごうだいれんぱ)!」


「ふっ、こんなもの! っ!?」


No.6は腹から鉄の盾を出そうとしたがその時、先程切らなかった蝶が盾の外側を飛んでいた。それを見て鉄の盾を創るのをやめた。そしてその蝶の先の空に、No.6の目には微笑んだ真衣の姿が映っていた。


幻創(げんそう)、私は信じてるよ。」


そう言って消えていった。No.6は涙を流してボロボロの両手で蝶を包み込んだ。


「俺の中にも、まだ愛はあったのか……真衣は、いなくなっても俺の心の中にいたのか……」


そしてその蝶を包み込んだ手を胸に当てて叫んだ。


「愛とは、愛とはなんて素晴らしく切ないものなんだぁ!」


『ズババババババババッ!』


No.6は俺の風豪大連波を生身の身体で受けた。地面は何ヶ所も陥没し、全身の骨が砕けてしまった。俺の体力にも限界がきていて、No.6の側へ落下し、そこに癒が走って駆けつけた。


「蓮! 大丈夫!?」


「あぁ……」


俺と癒はNo.6の方を見ると、仰向けになりながら包み込んだ両手を上げた。両手を離すと蝶がヒラヒラ空へ飛んでいった。


「命の重さは皆平等だ。俺も、お前も、その女も、そしてこの蝶も。命は(はかな)く美しく(もろ)い。俺が何を言ってるんだと思うかもしれないが、俺もお前と出会って変わった。俺は命を宿す能力だが、お前は俺に命を宿してくれた。本当に情けないよな。」


気づいたら俺は涙を流していた。


「愛を持ったあなたは、とても強い人間でした。」


「人間か……俺もやっと、人間になれたよ、真衣……」


No.6は笑って目を閉じた。俺にはNo.6の目に何が映ったのかは分からないが、愛が宿ったということは伝わった。


「癒、1番良い決着の付け方だと思わない?」


「蓮ならやってくれると思っていた。」


癒は倒れた俺を強く抱きしめた。その後、山梨のエージェントと新宿本部のエージェントが増援に来て、皆を回収してくれた。


「どんな戦いをすればこんな怪我になるんだ。早く医療部隊のいる場所へ!」


「はい!」


山ちゃん、後藤、清水さんは複雑骨折などの怪我で当分の治療が必要だったが(おおとり)は……


「こ、これは、身体の血液や、臓器、骨まで灰になっている。っ! 触ると熱い。なぜこんなことに……」


俺と癒の場所へも助けが来た。


「すみません! こっちです!」


俺は体力を使い切り全く動けなかった。


「すみません、動けなくて。」


「大丈夫だ。じっとしていろよな。」


凶悪犯達も身体がボロボロの状態で搬送された。だが、鳳と戦った只野(ただの)は首を切られていて既に死んでいた。俺は気づくと本部の医療室のベットにいた。


「ここは……本部か?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ