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43話 勝負の5分間

『遠隔攻撃だと、あまり効果が無いみたいだ! 接近戦で行く!』


俺はNo.6に勢いのまま向かって行った。No.6は右腕を刀に変えて俺の方へ伸ばしてきて、腹に刺さってしまった。


「ぐはっ!」

「当たり前だろ! 空中で避けられわけがない!」


俺は右手に溜めていた風刀を折った。腹に刺さってしまった刃も抜き、また前身した。腹の傷もすぐに再生している。


『これ、本当に凄いな。5分で決めるしかない!』


「なんだ、傷が凄い早さで癒えている。あの女の能力か何かか?」


風神(ふうじん)(けん)!」


俺はNo.6の前まで接近した。するとNo.6は腹からはロケットランチャーを出した。


「死にやがれぇ!」『ズドーンッ!』


No.6は俺に向けてロケットランチャーを放った。俺は脇腹をえぐられてしまったが、その場所もどんどん治っている。


「ぐっ、骨の無い場所は再生出来るってことか。それに距離を取られた。あそこまで近づいたのに。」


「蓮! あと4分!」


すると、No.6が左半身から何かを出そうとしていた。


「俺がなんでその女が必要か教えてやろう。俺は創れるのは刀やバズーカ砲といった物体だけじゃない。」


No.6はもう1人の自分を創り出した。


「生命を創り出すことだってできる。ただ、生命を創る時は自分の命を削る事になるがな!」


「そうか、それで(いやし)寿命転生(じゅみょうてんせい)を……」


その瞬間No.6は吐血(とけつ)をした。


「これが、命を削っている事が分かる副作用だ。さぁ行くぞ!」


「あぁ!」


2体のNo.6が俺に向かって走ってきた。


「2対1かよ!」


2体のNo.6は俺に殴りかかってきた。俺は何かの異変に気づいた。


『っ!? なんで物体を出してこない! なんで拳で勝負してくるんだ。これならアルファマインドで!』


俺は最大質力スピードを出し、2人を吹き飛ばした。


「流石に早いな! もうそろそろだ!」


俺は今のうちに2人にたたみかけた。


「風神の拳! おるぁぁぁ!」

『ズバズバズバズバ!』


両手に風を溜め、2人まとめて連打をした。


『ぐはっ! もう少しの我慢だ……』


『そうか! 人1人分の生命を創り出した副作用か! 今は物体すら創れない! 戻るまで時間もかかるはずだ! やるなら、今しかない!』


俺は1人を拘束し、右手に風の刃を作った。


「首をはねれば一体は!」

「舐めんなよ小僧!」


するとNo.6は背中から刃を出し、俺の肺を貫通し森の木まで達した。


「ぐっ、ぐはっ!」


「蓮、早く刀を!」


「逆に拘束してやるよ!」

『グサグサグサグサグサッ!』


No.6は背中から6本の刃を出し、俺の身体中に突き刺さり動けなくなってしまった。


『う、動けないし、肺を刺されて呼吸が……ここまでインターバルが短いとは思わなかった……』


「あと3分!」


『どうしよう……このまま3分経ったら……』


そこに癒が飛び出してきた。


「蓮!」


もう1人のNo.6が来て、癒の顔を殴った。


「お前が行ってどうなる? お前が近づけばあいつは死ぬ。」


「何やってんだよ! お前には(こころざし)は無いのか!? 心が痛くねぇのか!?」


『グサッ!』「ぐっ……」


No.6はもう一本背中から刃を出し、俺の腹に刺した。


「はぁはぁはぁ……やばい……」


「志? そんな言葉はもう言うなと言ったろ。くだらない。その愛や志が時には人を殺すんだ。俺のようにな。」


「どういうことだ。」


「人は皆、愛や志を持ってこの世に生まれてくる。そんなとこは俺でも知っている。俺も過去にはそんなくだらない物を持っていたな。」


「一体何が。」


「俺の中ではそんな記憶忘れちまったな。」


「お前はもう、人じゃない!」


「そうか、そんなこと言われても何も思わないね。俺は俺自身で人だと言うことを忘れていたからな。」


「蓮! あと2分! やばいよ!」


俺は癒が叫んでいる姿をただ見ることしかできなかった。


「お前も愛や志を捨てれば、人間から解放されるぞ? 何をやってもいいんだ。特にお前のその力、何に使いたいんだ?」


「人を助けるために使う! だからエージェントになったんだ!」


「じゃあ、そんなお前に1つ問う。お前はこんな俺を助けることができるのか?」


「え?」


俺はこの時、No.6が言っている事が分からなかった。


「答えはノーだ。1度心を失えば人として生きることは絶対に無い。その証明がこの俺だ! いくら強いエージェントでも心を亡くした人間を決して救うことはできない。」


「あと1分!」


「確かにそうかもしれない。でも、ここで俺が死んだら、お前も含めて、ここに居る全員を助けることができない!」


「っ!?」


「アルファマインド! 第1の能力! 能力停止(ディリート)!」


俺の両目が金色に光った瞬間、No.6の背中の刃が戻っていく。


「どういうことだ!」


「今だ! 風神の拳!」


俺は右腕に(まと)った黄金の風でNo.6の背中を心臓ごと突き破った。その一体は即死した。すると、俺の身体中の傷口がどんどん塞がっていく。


「お前、右目の能力を使えたのか。」


「はぁはぁはぁはぁ……療性(りょうせい)負傷転移(ふしょうてんい)。」


「だが、そうとう体力を使うようだな。まだ慣れていないのか?」


俺は身体の細胞活性が終わるのを感じだ。


「5分経ったのか……」


その瞬間、No.6は手から刃を伸ばした。俺は咄嗟(とっさ)に避けようとするが、太ももを貫通した。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」


「蓮!」


癒は走って俺の方へ向かってきた。俺は刃を折り、太ももから抜き出した。


「ごめん、癒。5分で決めきれなかった。」


癒は俺にしてくれた治癒能力で体力の限界が来ていた。それは俺の目に見えているくらい分かる。


「はぁはぁはぁ、療性(りょうせい)負傷転移(ふしょうてんい)。」


癒は俺の負傷した太ももに手を当てた。


「なにやってんだ! 能力を使い切ると死んじゃうぞ!」


「大丈夫。この能力はほとんど体力を使わないの。」


俺の太ももはどんどん治っていく。すると、癒が俺の太ももを負傷した場所から血が滲んでいるのが分かった。


「こ、これは……」


「私がこの傷を貰う。」


この能力は、人の傷を自分で受け止める能力だった。


「なんで癒がこんなことを! 俺は、なんてことを!」


「いいの。私は蓮を信じてるから。」


No.6はそんな2人を見て何かを思い出していた。


「やめろ……やめろ……俺にそんなものを見せるな。」


俺と癒はNo.6の異変が変わったことに気づいた。その時、No.6の前に、1頭の蝶が舞い飛んでいた。それを見たNo.6は腹を立て、右手にチェンソーを創った。


「ふざけんな! ぶった切ってやる!」


『ウィーーン!』


だが、No.6は蝶を切る寸前でそれをやめた。


「No.6はなにをやっているんだ?」


「俺は人を辞めたんだ……思い出すな! 思い出すな! 思い出すなぁぁ!」

『ズドンッ!』


No.6が1人で(うな)されている間に俺はアルファマインドを使って最大スピードでNo.6の顔を殴り飛ばし、飛ばされた場所まで近づいた。


「お前、過去に何があったんだ。なんで人を辞めるようなことになったんだ。ちゃんと話してくれ。」


それを聞いたNo.6は下を向いたまま口を開いた。

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