28話 力の差
「やはり来たか……"小原 蓮"!」
俺は黄金に輝くの瞳で署長を睨みつけた。
「なぜあなたのような人がこんなことすんですか!?
なぜ皆の憧れであらなければならない署長が、こんなことをするんですか!?」
俺は皆の憧れであった署長が異常事態の黒幕だと知って激怒した。なぜこんなことをするのか理解出来なかった。
「"1番"になる為にはこうするしかなかっんだ。」
「何を言ってるんですか!?」
「1番。何度この言葉を憧れていた事か……
誰かが1番でいると、それ以外は1番にはなれない。この世界は理不尽だ。1番か、それ以外かで決める。何かを見る時は1番を見る。
だが、今は俺が1番になった! 1番になればなんだって出来る!やっと夢が叶ったんだ! はっはっはっはっは!」
「な、何言ってんだ……」
不気味な笑顔と笑い声。そして理由が分からない今までの行動に嫌な感じがした。それは本来正義である署長が完全なる悪であったからだった。
「結局、目的は何だったんですか!? なんで囚人を脱獄させたんですか!?」
「罪の無い人達を返しただけだ。俺は何も悪いことをしていない。」
「はぁ!? 何を言ってるんですか!? 凶悪犯ですよ!?」
「俺は1番になる為だったら何だってやるさ。今逃がしている囚人は俺が署長になる為に仕立て上げたコマだったんだ。良い能力を持ったジエーネを散々探したよ。
そいつらに賄賂を渡して街で暴れさせたんだ。そして俺が拘束する。これを何度も何度も繰り返せばいいだけだ。簡単な話だろ? そして署長になれば囚人だって逃がせ放題だ。」
「そんなんで1番になって恥ずかしくないんですか!?」
「だから言ったろ? 1番になる為だったらなんでもやるってな。」
「もう話しても意味無いみたいだな……」
俺は抱きかかえていた癒をゆっくり下ろし、戦闘態勢に入った。
「安斎さん、奥の壁まで走って。」
「小原君はどうするの?」
「もう戦うしかない……」
「だめだよ! 殺されちゃうよ! 流石に小原君でも勝てないよ!」
「大丈夫だ。俺は金のアルファマインドだ。この目を抜き取る為に殺しはしないさ。」
そう言うと癒は壁まで走っていった。ふと今川を見ると真っ赤な目で笑を浮かべこちらを見ていた。そして俺は足に風の力を集め、今川目掛けて飛び出した。
『ズドンッ!』
今川を辺りの砂埃が舞うくるい力いっぱい殴ったが片手で止められてしまった。一瞬で今川の横まで動いたつもりだったが完全に見切られていた。
「嘘だろ!?」
「なんだよ、こんなもんかよ。金のアルファマインドを使いこなせるのはまだ先のようだな。なら、おれが貰ってやる。」
「くっ! 離せ!」
今川は俺の殴った右手を離そうとしないまま、目を抜き取ろうとした。
「はっ、やばい!」
俺は咄嗟に左手に風を溜めた。
「くっそ! 風豪波!」
『ブオーンッ!』
風豪波は地面を削りながら壁まで伝った。すると山ちゃんと後藤を縛っていた清水が目を覚ました。
「はぁはぁ、これでやったか!?」
煙が上がっているが、そこから人影が見えた。
「新人なのにもう性質進化技が使えるとはな。センスはあるみたいだな。だが、俺みたいな強者には効かん!」
『ちっ、洗脳が解けたか。』
上着は破れていたが全く効いていない様子だった。
『なんでだよ。あんなにもろに食らっといて傷1つ無ぇよかよ。アルファマインドを完璧に使いこなすとこれだけの耐久性が付くのか!?』
すると山ちゃん、後藤、清水さんの3人も参戦した。
「よっしゃー! 俺達も戦うぜ!」
「4人なら行けそうだ!」
「雑魚に雑魚を足しても雑魚が増すだけだ。3人アルファマインドを持つ者がいても変わらんな。とりあえずあのエスパーは先に潰しとくか。」
今川の両目がまた赤く染まった。
「洗脳!」
山ちゃんが清水さんを思い切り殴った。
『ズドンッ!』「きゃっ!」
不意打ちを受けたせいか清水さんは動かない。
「な、何しやがる! そうか、山ちゃんは洗脳さちまったのか……」
「これで俺が2人になったな。この洗脳という能力は俺の意識ごと相手に入っていく。この間、洗脳を受けている相手の意識はどこにも無い。そのガキの能力、戦法、記憶も全て俺のものだ!」
「厄介な能力だ。」
『だが、洗脳を使えるのは1人までらしいな。複数洗脳されていたら終わっていたな。』
「この能力で天厳収の監視役を洗脳して囚人を逃がしていたということか……」
「おぉ、よく分かったな。とても便利な能力だろ?」
山ちゃんは後藤に襲いかかった。
「おい! やめろ! って言っても無理か!」
「氷形・大蛇!」
沢山の氷を出し、その氷で大蛇を作った。
「で、でけぇ。山ちゃん、こんな技を……」
「後藤!山ちゃんを任せられるか!?」
「あぁ! どうにかな! 」
4対1が1対1同士になってしまった。
『くそ、1人で今川相手にどう戦う。風豪波だって傷一つ付かねぇ。しかも、1番考えたくないのが赤のアルファマインドの第2、第3の能力が発現しているかだ。洗脳だけでも厄介だっていうのによ。』
俺は今川に走って向かった。何度も攻撃を続けるが全て見切られている。戦いの中で倒す方法を見つけるのは難しかった。俺は両腕に乱回転の分厚い風を溜めた。
『くっ、ここまできたら何でもやるさ。』
「風神の拳!」
当てようとするが全く当たらない。全てをかわされてしまう。
『なんで当たんねぇんだ!』
後藤は山ちゃんの大蛇を貫通で避けていた。
『避けるのはいいが、相手が山ちゃんだから攻撃を与えられねぇ。なんて能力だ。』
「金剛石連弾!」
後藤は山ちゃんの氷を削っていく。
『くそっ、キリがねぇ。頼む蓮、早く洗脳を解いてくれ。』
俺はやけくそになり辺りの地面を風神の拳で削り出した。
『ドカドカドカッ!』
「なるほどな。視界を遮るのか。」
『バンッ!バンッ!バンッ!』
俺は宙に上がった岩の塊を今川に向かって飛ばしていった。
「少しは考えたな。」
「ここだ!」
俺は今川の背後を取った。
「風神の拳!」
「ズバンッ!」「ぐはっ!」
俺は今川を吹っ飛ばした。その瞬間山ちゃんの洗脳が解けた。
「あれ、俺は……」
「山ちゃん! 後藤! 今だ! 3人で行くぞ!」
2人は俺の声に従い今川の方へ向かっていった。
俺は風を、山ちゃんは氷の結晶を、後藤はダイヤモンドを拳に練り込み今川に叩き込もうとした。だが今川はすぐに立ち上がる。
「小原! 今の動きは良かったぞ! だが思うように動けなくすればいいだけだ!」
今川の両目が赤く光った。
「やばい! また洗脳か!?」
「いや、この距離だから誰に洗脳してもギリギリ間に合う!」
俺はこの時、洗脳でないと判断できた。
『思うように動けなくすればいいだけだ!』
今川のこの言葉がなによりの証拠だった。
「いいや、違う! 洗脳じゃない! "第2の能力"だ!」
「この距離なら逃れる事は絶対に出来ない!俺の第2の能力! 遅化領域!」
『ブンッ!』
その瞬間3人の動きはゆっくりとスローモーションになってしまった。一歩歩くのに5秒かかる程に遅くなってしまった。
「くっ……そっ……」
『ちっ、話すスピードまでスローモーションに……
意識はあるんだが、なんでこんな……』
「自由が効かないのはどんな気分だ!? よし、3人の目を貰おうかな。その後殺してやる……。」




