27話 黒幕
「癒ー!」
「安斎さーん!」
俺と清水さんは2人で癒を探した。すると山ちゃんと鳳が歩いてきた。
「なぁ2人! 安斎さん見てないか!? 」
「見てないなぁ。どうしたんだ?」
「安斎さんの姿が見られないんだ!」
「え!? なんでそんなに探し回ってるんだ? どこかにいるだろ。」
そうじゃない。俺は癒の寿の技・寿命転生を知っていたからとても心配だった。その事は1番仲のいい清水さんも知っていた。だから狙われていると思っていた。すると、角から癒が出てきた。
「おぉ! 安斎さん!」
「癒! 何してたんだ!?」
「なんでもないよ! なんで私の事を探してるの?」
「いや、癒がいなくなるから……」
「と、トイレに言ってたんだよ!先に部屋に戻ってて!」
「分かった。」
俺と清水さんは自分たちの部屋の方へ向かったが、俺はある異変に気づいていた。
「なあ清水さん、なんか安斎さんの様子おかしくなかったか?」
「なにがだ?」
「いつも、俺と話す時は下を向いてモジモジ話してたんだ。なのに今は凄いハキハキ話してて、まるで別人みたいだった。」
「まぁ、言われてみれば。」
すると、癒が後ろからナイフを持って清水さんを刺そうとした。
『パシッ』
俺はそんな癒の手を掴み、犯行を止めさせた。
「なにやってんだ!?」
すると癒は『チッ』と舌打ちをしてナイフを落とした。
「あれ? 私、なんでこんな所で……」
癒は俺に手を握られているのに気づき、顔を赤くした。
「小原君……なんで私の手、掴んでるの……」
「安斎さんが清水さんを後ろから刺そうとしたんだ。」
安斎さんは下に落ちてるナイフを見た。清水さんも振り返ったが、その状況があまり理解できなかった。
「え、私が!? そ、そんなのありえないよ……」
そんなのありえない?そう、俺も知っている。安斎さんが人にナイフを向けるような人じゃないというのは分かっていた。そして舌打ちをした時も、なにか別の人格があるのだと思った。
「癒、これはどういうことだ? なぜ私を殺そうとした!?」
「萌香ちゃん。私、分かんない。なんでここにい?のかも。記憶が……」
「安斎さん!とりあえず部屋に戻って休もう! そんで清水さん!」
「なんだ?」
「その怖い目付きで清水 萌香って名前なんだな。」
「…………」
「どういう意味じゃーい!」
『バシーンッ』「ぶはーっ!」
清水さんは俺の事を力いっぱいビンタした。
清水さんは癒を部屋に連れていき、少し休ませた。俺は自分の部屋で腫れ上がった左頬に湿布を貼った。
「うわーっ、痛いよー。脳震盪起こす所だったー。死ぬかと思ったー。」
すると清水さんが俺の部屋にノックした。
「入っていいぞ。」
すると清水さんはビクビクしながら部屋に入ってきた。
「何してんだ!?」
清水さんは頬を赤くしてした。
「まさか、男の部屋に入るの初め……」『パシーンッ』「ぶはーっ!」
俺は両頬が腫れてしまったので右頬にも湿布を貼った。
「それで、どうしたんだよ。俺にビンタする為だけに部屋に来たわけじゃないだろ?」
「癒の事だが。やっぱりおかしい。」
「そんなの俺にだって分かるさ。あと、1つ思ったことがある。」
「なんだ?」
「安斎さんはナイフを持っていた記憶が無いって言ってたろ? あれに繋がることがあるんだ。」
「どういうことだ?」
「前に天厳収を監視していたエージェントが、確かに脱獄を手伝ったみたいなんだ。でもそのエージェントも記憶が無いって言ってたんだ。今回の安斎さんも同じじゃないか? ナイフで刺そうとしたけど、記憶が無い。」
「そんなことが。確かに似ているな。誰かの能力か?」
「分からないけど、俺の予想では今川署長だ。」
「今川署長!? そんなわけないだろ。あの人は署長だぞ? ありえない。」
皆そういう。だが俺はもう署長しかないと思っている。
「大変だぁ!」
急に部屋の外が騒がしくなった。俺と清水さんはびっくりして部屋の外へ出た。
「何が起きたんだ!」
そこへ鳳も走ってきていた。
「鳳! 何があったんだ!」
「やばいよ!囚人が4人脱獄した!」
「なんだって!?」
「今各部隊の隊長と隊員が署長の指示で追ってるんだ!」
「待てよ、署長の指示!?」
俺と清水さんは走って癒の部屋に行った。
「おい! どーしたんだよー!」
『バタンッ!』
ドアを開けると癒の姿が無かった。
「小原! やばいよ!」
「あぁ!探さないと!」
俺と清水さんは署長室に向かった。署長室の前に着くと中に署長がいるか確認した。
『トントン』
「失礼します。」
ゆっくりドアを開けると中には誰もいなかった。
「やっぱりな、署長多分、安斎さんといる。安斎さんといたら黒幕確定だな。」
「とりあえず二手に分かれるか。」
俺と清水さんは二手に分かれて行動することにした。
「安斎さーん!」
「癒ー!」
すると演習場に署長と癒が歩いているのを清水さんが見かけた。
『小原の言っていた通り、黒幕は署長だったのか!?
とりあえず小原には連絡をする。』
清水さんはスマホで小原に連絡した。そして横を見ると、山ちゃんと後藤がいた。清水さんは小さな声で話しかけた。
「お前ら、何やってんだ……」
「前に小原に署長が一連の犯人だと言っていたから、あまり信用していなかったかど一応署長のことを追っていたんだ。」
山ちゃんと後藤は俺が署長が犯人だと言った時、疑いながらも署長の動向を探っていたのだ。
「それにしても癒のやつ、なんであんなに署長に着いていくんだ?」
「多分、操られているのかもしれない。」
「能力か!?」
「いや、分からない。さっきもそんな風なことがあった。」
すると署長の足が止まった。
「おい、隠れてないで出てこい。」
「ちっ、バレたか」
3人は隠れていた所から出てきた。署長は振り返ると両目が赤く光っていた。
『アルファマインドの赤。両目が光っているということは既に能力を使っているのか。』
「お前たちここで何をしている。早く脱獄犯を捕まえてこい。」
「後藤、清水、3人なら出来るな?」
「あぁ。」
3人は署長の方へ走っていった。
「そうか、俺と戦うか。ならお前達も消さないといけないな……」
すると癒が目を覚ました。
「あれ、私、なんでここに……」
「いくぜ!3人いればどうにかなる!」
すると山ちゃんと後藤の身体が宙に浮いた。よく見ると清水さんが山ちゃんと後藤をエスパー能力で浮かせていた。
「くっ!動けねぇ!」
「何すんだよ清水!」
「うるせぇな!お前らはそこに浮いていろ!」
『どういうことだ!なんで清水が……』
署長の目を見るとアルファマインドで清水さんの方を見ていた。
「清水は署長のなんらかの能力を受けているみたいだな……」
「その様だな……」
すると癒が署長に殴りかかったが力が弱くて全く効かなかった。
『トン、トン、トン』
「辞めて下さい! 皆を殺さないで! 何が目的なんですか!」
『パシンッ!』「きゃぁー!」
署長は癒を手の甲で叩いた。
「てめぇ! 何しやがる!」
「うるさいガキは痛みつけないとダメみたいだな。
だが、大事な安斎家の子孫だ。殺さない程度に……」
署長は右手を振りかぶった。
「やめろ!」
「清水! 何してんだ! 目を覚ませ!」
癒は目をつぶった。
すると、物凄いスピードで演習場に向かう男が1人。
『スタスタスタスタスタ!』
それは後藤と山ちゃんにも伝わっていた。
「誰か来るぞ!」
署長は癒に拳を振るった。
「君は、眠ってなさい!」
だが、拳は空振り。目にも止まらぬ速さで癒を抱きかかえ救った男がいた。
「やはり来たか……"小原 蓮"」
俺は黄金に輝くの瞳で署長を睨みつけた。




