24話 異常事態
各部隊の隊長が隊員全員を呼んでいた。
総合格闘部隊隊長の金子さんも隊員全員を呼んだ。
「署長がわざわざ頭を下げて一般市民にお詫びの言葉を言っていた。頭を下げてというか、土下座だったな。署長にあんなことさせて俺達も黙ってはいられない。
これからは命に変えてでも一般市民を守り脱獄犯を見つだすぞ。」
「はい!」
いつもの金子さんとは違く、今回はしっかりこの事態の重要性を分かっているようだった。
「困った時は俺か三井に聞いてくれよな。」
三井 大輔。総合格闘部隊の副隊長だ。俺はあまり三井さんとは絡みが無かったので、見かけたことがあるくらいだった。三井さんはとても目付きが悪く、一部の部下からはあまり良く思われていなかった。
「じゃあ三井、俺ちょっとトイレ行ってくるから後は頼んだ!」
「はい……」
そして三井さんは声が小さいことでも有名だった。
「それではこれから東京全域での捜索をする……。これは総合格闘部隊に設けられた任務だ……。皆それぞれこのホワイトボードに書かれた区域に別れて行動するように……。」
「は、はい。」
皆は耳を澄ませてやっと聞き取れたくらいだった。俺は三井さんと同じ捜索グループだった。三井さんのグループは国分寺市を中心に捜索するグループだった。国分寺市に向かい、到着するそ、先輩エージェントが三井さんに言った。
「三井さん、本当にこんな所に囚人は居るんですか? なんか、全然いそうに無いんですけど……」
「うん……。国分寺市は比較的犯罪はあまり起こらない町だからな……。だからこそ囚人がいるかもしれない……。」
『相変わらず声小さいですね。』
俺は後ろでそんな会話を聞きながら歩いていると、右上後方の家の屋根に何かが動いているの見た。それも一般市民のスピードじゃない。
「三井さん! こっちに何かいます!」
全員でその方向を見ると三井さんは目を疑う光景を見た。
「No.6だ……」
「え!? No.6は天厳収にいるはず……。なんで……。」
No.5はこっちを見てニヤリと笑っているのが見えた。俺はアルファマインドを発動してNo.6の方へ向かった。
「三井さん! 俺、追います!」
「ちょっと待て!」
三井さんと他のエージェントも俺を追うようにNo.6の方へ行った。俺はすぐに追ったつもりだったが既に姿が見えない。
「なんで!? 確かに今通ったはずだろ! なんでいないんだ。能力か!? それとも幻覚!?」
絶対にいるはずなのに何故かいない。やはり見間違えかと思った。この時は……
「三井さんすみません、見間違えかもしれません。」
「いいや、そんなことはない。俺だってしっかりこの目で見た。他の皆も見たよな?」
「はい、見ました……」
珍しく三井副隊長が声を張っていて、それでエージェント達もこの状況がどんなことが予想できた。そこに本部から電話がかかってきた。
「今No.6が……」
「No.6が脱獄しました!」
「そんなことは分かってる! どういう事なんだ。」
「いや、No.6もそうなんですけど……」
「なんだ?」
「28番も脱獄しました……」
「どうなってるんだ! どういうことなんだ!」
「それが分からないんです。」
新宿警察署エージェント部署に異常事態が起きてるのは誰しもが分かっていた。流石に5人も脱獄犯が出ているのはマズイことなのでテレビでの呼び掛けが必要になった。
『ここでニュースです。新宿警察署から5人の脱獄犯を出しているという報告が入りました。そのうち1人は日本指定凶悪犯No.6とのことです。一般警察とエージェントで捜索を行っています。一般市民の方々はくれぐれも外出は控えるようにして下さい。』
『バンッ!』
「こんなの異常だ! どうなってる!」
特別守護部隊の岩田さんが机を殴り壊しそう言った。
「天厳収の警備は何をしているんだ!」
「いや、気づいたら脱獄していて……」
「気づいたら? ナメたこと言ってんじゃねぇぞ? そんな言い訳が通用する訳ねぇだろ!」
「いいや、ホントに気づいたら……というより、気づいたら時間が過ぎてて……」
「はぁ? お前頭大丈夫か!? お前はクビだ! 田舎のエージェント部署に飛ばしてやる!」
「んまぁそんな事を言うな。」
そう言ったのは今川署長だった。今川署長は焦っているような感じは無かった。
「今川さん。こいつがしっかり警備をしていたらこんなことには……」
「もし敵からの攻撃を受けているとしたら?」
「それは考えられません。天厳収は能力が使えない仕組みになっています。絶対にありえません。」
「外からの攻撃を受けているとしたら?」
「それは……」
「これからは本部事態の警備にも力を入れなければならない。それくらいしないとこの異常事態を未然に防げない。」
「なるほど。では天厳収と本部自体の警備を強化しなければなりませんね。」
「そうだな。それは特別守護部隊に任せた。」
「承知しました。」
特別守護部隊は天厳収の警備を3人から10人。本部の警備を5人から15人に増やした。そして署長は何故か俺を署長室に呼んだ。
「失礼します。」
「おう、来たか。そこに座ってくれ。」
「はい。」
すると少しの間沈黙が続いた。それに署長は少し微笑んでいるようにも見えた。
「しょ、署長……どうしました?」
今まで感じたことの無い嫌な雰囲気が広がっていた。すると署長は俺に近づいてきた。
「小原 蓮。お前の金のアルファマインド。能力はどこまで使えるんだ?」
いつもの署長の雰囲気と違かった。近くで見る署長の目はまるで獣を捕らえるような目だった。そして次の瞬間署長の左目が赤く光っていた。
『こ、これが赤のアルファマインド……。まさか今川署長が赤のアルファマインドを持っているんだなんて……』
その瞬間、自発的にアルファマインドを発動してしまった。
「おぉ、すまない。そんなつもりは無かったよ。ただしっかり見たかっただけだったんだ。」
「…………。」
緊張感が走った。
「よし、特に何も無いからもういいぞ。君には期待しているぞ、小原 蓮。」
俺は署長室を後にした。俺はこの時勘ではあったが少し気になる事があった。
「まさか……」




