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22話 室田 魁心とNo.1

室田(むろた) 魁心(かいしん)前署長は3代目新宿本部署長だ。30年間も署長を務めた人だ。30歳の時に署長に就任してから60歳まで、2年前に今川さんが好成績を残した為に去年エージェントを引退。室田さんはとても正義感が強くて、何より部下全員を思いやる心を持った人だった。皆からよく(した)われていたよ。」


「凄いですね! 30年間も署長を務めたという事は、相当強かったんですか?」


「強いも何も、エージェントであの人に(かな)うエージェントは日本にはいなかったよ。ここだけの話、今川さんじゃ心配になるくらい室田さんは強かったよ。」


「ちょっと! そんな事言っていいんですか!?」


「んまぁ、ホントの事だし。しかもここだけの話って言ったろ? ここには囚人しかいないんだから。」


すると奥の方から囚人の声が聞こえた。


「金子! 今度今川が来た時にそれ言ってやるからな!」


「ちょっと! 本当にやめてくれ! もし言ったら俺が死刑執行(しけいしっこう)してやるからな!」


「はっはっはっはっはっは!」


ここにいる囚人達は凶悪犯とは思えないくらい(にぎ)やかな人ばかりだった。金子さんがこの場所を好むのも分かる。それと同時に囚人達も金子さんに心を開いている様な気もした。


「とにかく室田さんはとても強かった。でも、そんな室田さんでも2度も負けている相手がいるんだ。」


「え、負けているんですか?」


「相手はNo.1だ。」


「No.1!?」


「そうだ。No.1はとてつもなく強い。全盛期の室田さんでも負けているからな。俺達もいずれかは戦うかもな。」


「No.1はどんなやつなんですか?」


「簡単に言うと不死身(ふじみ)ってやつだな。本当に存在するんだな、不死身って。だから歳もとらない。」


「そいつ、今どこにいるんですか?」


「それが分からないんだ。あいつがここにいたとかいう痕跡(こんせき)とか、目撃情報とかも全く無いんだ。」


「それじゃあいつ襲ってくるかも分かりませんね。」


「そうなんだ。あいつはジエーネだったが不死身なのは元々の能力じゃないんだ。」


「ん? どういう事ですか?」


「室田さんが署長になる前の署長の戸川(とがわ) 照彦(てるひこ)という人がいたんだ。要するに2代目だな。その人はアルファマインドを持っていて、その能力が不死身の能力だった。もう分かるよな?」


「え!? どういう事ですか!?」


「お前は勘が(にぶ)いなぁ! No.1は戸川前署長の目玉をほじくり自分の目に移植(いしょく)したんだ。だから不死身の能力がNo.1のものになったって訳だ。」


俺は今の話しを想像してしまった。寒気(さむけ)が起き、とんでもなくえげつない行為をするNo.1がどんなに卑劣(ひれつ)な奴かすぐに理解できた。


「No.1が来たら俺たちでも太刀打ちはできない。その時はお前に任せた!」


「ちょ、ちょっと! 何勝手な事言ってるんですか! それでも総合格闘部隊隊長ですか!」


「こんな俺が隊長をやってるくらいだから、今のエージェント界は人手が足りたいんだなぁ。」


金子さんは笑ってそう言った。すると、金子さんは思い出すように口を開いた。


「あ、そうだ。最近はNo.1に兄弟がいるって噂があるんだが……」


「え、まだ何かいるんですか?」


「これは本当に存在しているか分からないんだが、No.0、俺たちはそう呼んでる。んまぁ本当に噂だから! 気にすんな、俺も信じてないから!」


すると囚人がまた話し出した。


「No.0はいるぞ。俺は知っている。」


「はーい、ふざけたこと抜かしてると死刑執行しちゃうぞー。」


「俺はしっかり見たんだ! この目で!」


正直俺と金子さんは信じていなかった。2人で顔を合わせて、何言ってんだコイツ? と言っているように話しを聞き流した。


「とりあえず、そういう奴らがいるから、お前も強くなって力を付ける事が必要なんだ。」


「俺、着々と強くなってる気がします! 性質進化もできましたし!」


「そういえばそうだったな! 性質進化は普通のエージェントなら5年はかかる。 俺とかお前みたいにアルファマインドを持っていればすぐ出来るけどな! そう! それ言うの忘れてたよ!」


「金子さんってアルファマインド持ってるんですか!?」


「あれ、言ってなかったっけ? ってか、そんことより53番と71番がいないよ! 報告しなきゃ!」


金子さんは急いで所長室に向かった。


『ガチャンッ!』

「失礼します! 地下牢獄の53番と71番が脱獄しました!」


「そんな訳ないだろ、天厳収(てんげんしゅう)は脱獄なんて出来ない。」


「そのはずなんですが、本当にいないんです!」


「なら、すぐに捜索願を出す。この件は特殊格闘部隊に任せるとする。金子と小原は引き続き天厳収の警備を続けてくれ。」


「はい、分かりました。」


その後、今川署長によって特殊格闘部隊を53番と71番の捜索願いを要請したが、証拠は跡形もなく消えている。特殊格闘部隊の花川(はなかわ)隊長をはじめ、現場は困惑していた。


「どういう事なの。証拠の一つもないなんて、ありえないわ。」



「花川隊長! ここもダメです。」


「くそ、脱獄なんて、なんでこんなことに。」


特殊格闘部隊は本部に戻り、今川署長にこの事を報告した。


「申し訳ありません。完全に見失いました。」


「それはしょうがないね。全国の警察署で指名手配犯として掲載しよう。絶対に逃がす訳にはいかない。」


新宿本部は全国の警察署に53番と71番を指名手配犯として報告した。それに、天厳収からの脱獄となると重罪人のレベルなので各懸賞金1000万円を提示した。

あれから1週間も経ち、俺と金子さんは天厳収の警備を終え、やっといつもの生活に戻ることができた。


「んじゃ、また遊び来るな!」


「一生来るな! クソ野郎!」


金子さんは囚人とそんな会話を交わして天厳収を出た。すると特殊格闘部隊隊長の花川さんがいた。


「金子さん。すみません、脱獄犯は見つかりませんでした。」


「花川さんのせいじゃないですよ。後は俺に任せてくれ!」


俺の感覚だが、花川さんと話す金子さんはとてもカッコつけているというか、良い男感を(かも)し出していた。でもそれもわかる気がする。なんせ花川さんは背も高くてスタイルも良く、とてつもない美人だ。そして何より強い。


「私も精一杯頑張ります。では。」


クールな花川さんは部署に戻った。金子さんを見ると完全鼻の下が伸びきっていた。そして……


「金子さん。完全に意識してましたよね。そして鼻血出てますよ。」


「出てない!」


そう。金子さんも花川さんを意識する男の1人だった。

特殊格闘部隊

・・・特殊格闘部隊は総合格闘部隊とは別で、体術ではなく自分の能力を優先的に使う部隊。主に能力のレベルが高い者が所属する。能力のレベルが低いものは大抵警剣部隊に配属される。

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