21話 罰
「風豪波! っぐぐ、くぉあー!」
その姿は風の塊が風を纏った二重構造になっているような形をしていた。勢いが強すぎで俺も空高くへと飛ばされてしまった。
『バギャーーン!』
風豪波が地面にぶつかると、コンクリートは砕けて、それと同時に風が飛び散り広がっている。気づけば暴力団員は皆倒れていた。俺は地面へと一直線。
「うわっ! 高ぇ! こんなどこらから降りられるのか!?」
俺はアルファマインドを使った。足から着地すると、足がコンクリートにめり込んだ。
「一応助かった……」
「おい! 蓮!」
「後藤! どうだった?」
「どうだった? じゃねぇよ! なんなことしたら危ねぇだろ! 一般市民巻き込んだらどうするんだ!? んまぁ奇跡的に皆避難してたから良かったけどな。」
「わ、わりぃ。」
「しかし、お前いつの間にかこんな技を……」
2人は陥没したコンクリートを見てこう思った。
『工事費いくらかかるのかな……』
その後、流石にやりすぎた為に小原は先輩エージェントにこっぴどく叱られた。
「エージェントが街を壊すなんてありえないぞ!こんな事するのお前で2人目だ! 結果的に暴力団全員を捕らえるとこはできたけどな。」
「え、こんな事する人いたんですか?」
「あぁいるよ。っていうか今もエージェントやってるよ。大体は予想着くだろ?」
『金子さんしか考えられねぇ……』
「お前には何らかの罰が下されるだろう。」
「本当ですか!?」
「とりあえず本部に帰って報告だな。」
俺は「罰」と聞いてとても恐くなってきた。エージェント本部の罰。聞いただけで震えが止まらない。
俺は任務後、署長室に連れていかれた。
「失礼します。」
入ると金子さんもいた。
「今回、歌舞伎町を荒らしてしまったそうだな。明日からはエスパー部隊員と一部の総合格闘部隊員で修復整備を行う。もちろん小原も参加しろ。小原は総合格闘部隊だ。隊長の金子にも責任がある。整備が終わり次第小原と金子には1週間、地下牢獄の見張りをやってもらう。」
「了解しました!」
なぜか金子さんはハキハキした口調で返事をした。
「小原、いいな?」
「了解しました。」
「金子は前にやっているから説明はいらないな?」
「任せてください!」
俺と金子さんは署長室を出た。金子さんはニヤニヤしていた。すると……
「小原! やってくれたな!」
「それは怒ってるんですか?」
「いいや、嬉しいんだ! 俺は地下牢獄が大好きなんだ! 犯罪者が好きな訳じゃないんだが、あそこは落ち着く。自由になった気分になる。」
この時俺は、金子さんは本当に変わった人なんだなと思った。もちろん変わった人だというのは百も承知だ。
「とりあえず修復整備行ってこい。」
「はい。」
俺は翌日、修復整備をするために歌舞伎町へ向かった。
するとエスパー部隊がもう行っていた。
コンクリートの破片やガラスの破片をエスパー能力でどんどん治していっている。
『こんなことも出来んのかよ!』
ふと横を見ると、寮の時にいた同期の清水さんがいた。
「清水さん! 久しぶり、ってか修復整備ありがとう。」
「あんたがやったんだからあんたが率先して治しなさいよ。」
「あ、ごめん。」
『清水さんも本部のエージェントだったのか。』
俺は機材を運んだりしたが、エスパー部隊の活躍ですぐに修復整備が終わってしまった。
「すみません! 本当にありがとうございました!」
俺は大きな声で皆にそう言った。
「次からは気をつけろよ? 俺たちだって暇じゃねぇんだから。」
「はい! すみません!」
そして、俺はこれから地下牢獄の見張りをする事はもちろん忘れていない。金子さんが大好きな所はきっと嫌な所だと思っていた。そして本部に帰ると、金子さんがいた。
「小原! 遅ぇぞ! 早く地下牢獄行くぞー!」
周りのエージェントは金子さんが地下牢獄が好きと知っていたのでクスクスと笑っていた。俺はとても恥ずかしい思いをした。
「金子! 大きな声で言わないでくださいよ!」
「あぁ、わりぃな。とりあえず早く行くぞ。案内する。」
俺と金子さんは本部の地下牢獄へ向かった。本部の1番東の部屋にある扉を開けて階段を降りていった。すると地下牢獄の入口に文字が書いてあった。
「天厳収?」
「この地下牢獄の名だ。」
「うわっ、ここなんか寒いし、ちょっと臭いっすね。」
「でもここは静かでいいだろ? だから俺はここが好きなんだ。それに、100人前後囚人ともお話が出来るしな!」
『なんでそんなに嬉しそうなんだ……』
2人は天厳収の中に入っていった。天厳収は薄暗い場所で、ロウソクだけの明かりだった。
「おぉ、金子じゃねぇか……」
「久しぶりじゃないですか!」
「また金子が来たのか?」
「お久しぶりで~す!」
金子さんは囚人達と普通に会話していた。
「金子さん……なんでそんなに仲がいいんですか?」
「俺は1番ここに来るからな!」
「それ誇れないですよ!」
「とりあえず、この椅子に座ろう。ここに1週間いなきゃいけない。シャワーと食事の時は出れる。30分だけな。」
「ここで1週間も、何もすること無いですよ。」
「ここでずーっと考え事してるのがいいんだよ。俺は結構1人が好きだからな。」
「でも、今回は俺もいるんで2人ですね。」
「あ、確かに。とりあえず昼寝でもするか。」
「昼寝なんてしてもいいんですか? もし囚人が脱獄でもしたら!」
「いや、それは無理だね。この牢獄は絶対に破れない。その前に牢獄の鉄はお前も持ってる能力を制御する素材でできてる。ここにいる囚人はまず能力が使えない。」
「そうなんですね。」
「それに、ここにいる囚人のほとんどが2年前に今川署長が捕まえた凶悪犯ばかりだ。特にここにはNo.5とNo.6もいる。No.6は今川さんが捕まえた凶悪犯だ。No.5は前署長の室田さんが捕まえたんだ。」
「やっぱ今川さんって凄いんですね。」
「でも俺は直接今川さんの力を見たことないんだ。ちなみにNo.5とNo.6は1番奥の収監所にいる。ここは奥に行けば行くほど凶悪犯がいるからな。」
「げ、まじすか!?」
「あと、1つ気になったことがある。俺はここに何回も来ているんだが2人が見当たらないな。ここは釈放が無いから入ったら死ぬまで出れないんだ。」
金子さんは近くの囚人に話しかけた。
「なぁ、53番と71番がいないんだけど。知らない?」
「俺達も疑問に思ってるんだ。就寝時間になったらロウソクが消えるんだが、次にロウソクの明かりが付いた時にはもういなかった。この場所だから脱獄したとも考えにくい。」
「うーん、不思議だな。絶対に出れない場所なんだがなぁ……。もしかして……元々幽霊だったとか!? 怖すぎだろおい!」
「きっと変なものでも見たんですよ。気にしすぎだろ思います。」
俺は金子さんにそう言った。気味が悪い場所だし死ぬまでここにいるという事はここで死んだ人もいるということだから幽霊が出てもおかしくないと考えるのが普通だった。
「怖いから……何か……話しをしないか? な……何か聞きたいことはあるか?」
金子さんは震えて俺に言ってきた。
「じゃあ、前署長の室田 魁心さんについて聞きたいです。どんな人か気になります。」
「なるほどね、お前も室田さんの様になれる器を持ってるからな。いいだろう。」
総合格闘部隊
・・・主に格闘に特化した部隊で特殊格闘部隊と違って体術系の特異体質を活かした部隊。小原は金子さんの推薦の為に総合格闘部隊に入隊。




