20話 性質進化
「おらぁぁ!」
『ズドーンッ!』
「ハァハァハァハァ……。全然上手くいかねぇ。性質に性質を上乗せ? そんなの出来るわけないだろ。何かいい方法は無いのか?」
俺は自分の風の性質を進化させる練習をしているが、全く上手くいかない。まず、性質に性質を上乗せするってどういう事かも分からない。
「小原! 今日もやってるなぁ!」
「金子さん!」
「どうだ? あれから進展はあったか?」
「いいえ、全くです。それどころかコツすら分かりません。金子さんはいつ性質進化をする事か出来たんですか?」
「んー……忘れた!」
「…………」
「俺は気づいたら出来てたからなぁ。あんまり意識した事なかったなぁ。」
『間違いなく金子さんはセンスだけでエージェントをやってるな……』
「そう言えば、俺はいつも無意識だったけどこんな感じでやってるっていうのはあるぞ。」
「え、ホントですか?」
「あぁ、1度殴る右手に性質を溜めて、殴る瞬間にまた同じ性質を出すんだ。それが俺の原理かなぁ。」
「なるほど! ありがとうございます!」
「いやいや、これが理解出来たのと実際にやってみるのとでは全く違うんだ。意味を理解したからってすぐ出来る事じゃない。とりあえず数こなして質も上げる。それだけだな。」
「分かりました!」
「頑張れよぉ~。」
俺はとりあえず今言われた事を振り返り、実際にやってみて出来るかどうか試してみた。
「1度右手に風を集める。そして風伝波の瞬間にまた風!」
『ブワンッ!』
「え? 全然出来てないじゃないか。これじゃあ普通の風伝波だ。金子が実際にやってみるのとは違うって言ってたけど、本当に全然違うな。」
俺はイメージは出来ていたが、やはり完成でいうとほぼ0%くらい。だけど、今回の金子さんの話しは中々の収穫だと思った。
そして今日も1日、性質進化を肌で感じる事無く終わってしまった。
「山ちゃ〜ん。やばいよ〜。俺、全然出来ねぇよ。」
「なあ、蓮。1つ聞いてくれないか?」
「どうしたんだ?」
「俺な、今日任務でスゲーことが分かったんだよ。」
「何かあったのか?」
「性質進化の事なんだけど、俺の性質は氷なのは知ってるよな?」
「うん。」
「俺はどうしても性質進化が出来なかったんだけど、今日の任務でアルファマインドを使用しながら氷を発動したんだけど、もちろん性質進化の意識で使ったんだ。
そしたら……出来ちゃんだんだよ。」
「性質進化が!?」
「そう! 今まで俺たちは普通の身体で性質進化の特訓をしてただったんだよ! そもそもアルファマインドは身体の力を飛躍的に向上させる能力だろ!? アルファマインドの使用中なら意識1つだけで違うはずだ!」
「そういう事か!」
「俺は氷を出した時、最大質力を大幅に超えて少しだけど氷を生き物みたいに自由自在に操る事ができた!
あとは特訓だけだ!」
「じゃあ俺もアルファマインドを使って特訓するしかねぇな! まじサンキューな山ちゃん!」
俺と山ちゃんは演習場に向かった。
「まずはアルファマインドを出そう!」
俺と山ちゃんはアルファマインドを発動した。
「イメージは前と変わらず、性質に性質を上乗せする感じだな。風の性質だから威力は凄いはずだぞ。とりあえずそこの岩に向かって大風伝波を出そう。」
「分かった。」
俺は大きく深呼吸し、右手に風の性質を溜めた。
『性質に性質を上乗せするイメージ……』
俺は大風伝波を放つと同時に大風伝波を放った。
『ブァオーーン!!』
「うわーーっ!」
辺りは風圧で吹き飛びそうだった。そして大風伝波は岩を粉々にしながら演習場の壁を陥没させた。
「こ…これが性質進化……」
「蓮! やっぱ風はスゲーよ! 今の威力、半端じゃなかったぞ!」
「おい! 今の誰だよ! 危ねぇじゃねえか!」
演習場で特訓をしていた他のエージェントが巻き添いになりかけていた。
「すみませーん!」
俺はこの時、どんな事よりも性質進化が自分もできたという第一歩の達成感に浸っていた。
「山ちゃん! これでお互い新技が作れるな!」
「俺も氷を完璧にコントロールして新技を完成させる!」
2人は特訓に明け暮れていた。毎日特訓を続けていて疲れも出てきていたが、何より自分の成長を実感出来ることが心からの喜びだった。数日後……
「小原。 総合格闘部隊での任務だ。お前も行くぞ。」
「はい!」
今回の任務内容は、新宿歌舞伎町で暴力団同士が銃を乱射しているとの事で通報が入った。俺は本部での任務は今回が初だった。
「本部の任務は基本的にツーマンセルで行う。小原らコイツと組んでほしい。」
と、底に来たのは後藤だった。
「後藤! 久しぶりだな!」
「久しぶりだな! 立川での話しは色々聞いてるぜ!
翔の事は残念だったな。」
「翔の為にも頑張っていこうぜ!」
「そうだな! これから俺とお前がツーマンセルのメンバーだ。連携とかもしっかりやらねぇとな。」
俺は同期のメンバーと会えて嬉しい気持ちでいっぱいだった。特に後藤と組むなんて思ってもみなかった。そして俺と後藤、そして先輩エージェントのツーマンセルコンビが2組で歌舞伎町に向かった。歌舞伎町へ着くと、血を流して倒れている人もいた。
「大丈夫ですか!?」
「なんだ、お前らエージェントか……こんなところにくるんじゃねぇ……死んじまうぞ……」
「俺たちはエージェントだ。そんな簡単に死にはしないさ。それより現状を聞こう。」
先輩達が現状を聞いている間に俺たちは連携の対策を取った。
「先輩、ここは俺たちに任せてください。」
「後藤、何か対策はあるのか?」
「俺と蓮なら余裕ですよ。」
現場は俺と後藤の2人で任された。先輩達は怪我人の救助や一般市民の避難誘導を始めた。
「蓮、じゃあ行くぞ。」
「あぁ。」
すると後藤は銃撃戦場のど真ん中に歩いて行った。
俺との連携確認では後藤がおとりになるという作戦だった。
『おいおい、大雑把過ぎないか?』
「おい! ヤクザども! 一般市民の迷惑だろうが! 早く銃を捨てろ!」
俺は開いた口が塞がらなかった。
『なにやってだよあいつ! おとりどころか喧嘩売ってんじゃねぇかよ!』
「なんだこのガキ、エージェントか!? 俺たちに喧嘩売ってんのか!?」
『パンッ!』
後藤が打たれた。だが、全く効いていないようだ。
「そうか、貫通!」
後藤の両目が青く染まっていた!
「なんだ、やっちまえ!」
『パンッ!』『パンッ!』『パンッ!』『パンッ!』『パンッ!』『パンッ!』『パンッ!』
後藤は連続で発砲された。
「へっ! 効かねぇな!」
そして俺はある事に気づいた。
「後藤に弾が通り抜けるって事は……」
全ての弾が俺に襲いかかってきた。
「ギャーッ! 場所考えて能力使えっ! バカヤロー!」
「おい! 奥にもう1人いるぞ!」
「蓮!今だ!」
「くそっ! 危ねぇな!」
俺はアルファマインドを発動し、大きく空へ飛び上がった。
空では暴力団のほとんどを確認できた。
「よし、ここでいいな。右手に風を溜めて、出す瞬間に風を上乗せ!」
俺は地面に目掛けて大きく拳を振るった。
「風豪波!」
警剣部隊
・・・刀や銃などの武器を操るエージェント達。基本的には微小な量の性質しか出せないエージェントが配属される傾向にある。登坂も元警剣部隊で、初期は限警剣部隊隊長の掛橋 刀和より強かった。




