16話 7対1
「登坂ぁぁ!」
その瞬間登坂は刀を握った為、荒川さんは距離を取った。
『危ない、避けなければ殺られていたかもしれない。』
「荒川。俺とやり合うつもりか?」
『ここで登坂とやり合ってもいいが、俺の背中にはNo.2がいる。だが、なぜNo.2は座っているだけで何も動かない。喋りもしない。』
「そういえば、刀和は警剣部隊のトップ、そして守護警部になったらしいじゃねぇかよ。
あの落ちこぼれの刀和がなぁ……。俺より弱かったのによぉ。懐かしいなぁ。」
「今の刀和はお前より強い。お前なんか足元にも及ばないだろうな。」
「んまぁ、そんなことはどうでもいいか……。
とりあえずてめぇを切り刻んでやる!」
登坂は刀を抜き荒川さん目掛けて走ってきた。刀を振りかざすと荒川さんは簡単に避け空中へ飛んだ。
「お得意のスピードかよ。スピードスターは健在だな。だが、スピードだけだ!」
そして荒川さんは登坂の真下まで一瞬で移動し、登坂の顔面を思い切り殴った。
『こいつ、殴った腕までもスピードを上乗せして欠点である攻撃力を補っている。少しは考えたな。』
登坂は刀を地面に刺し勢いを止めた。するともう目の前に荒川さんがいる。
「やべぇ! 流石だぜ荒川! 早ぇなおい!」
荒川さんはスピードで登坂を圧倒し、登坂の真下から腹を殴って突き上げた。
「ぐはっ!」
荒川さんも飛び上がった。
「連撃・早殺石火!」
荒川は空中の登坂を四方八方から連続で殴りつけた。
1秒間に30回程の連撃だった。
『やべぇ……ずっとこんなの食らってたら死ぬ……。』
「美紅乱舞!」
登坂は刀を握り、刀を振り回した。
振り回しているだけのように見えるが登坂の周りは紅色に染まっていく。
荒川さんは巻き込まれて左腕、左足を合計11箇所切られ、地面へと落ちてしまった。
他のエージェントは隠れて見ていた。
「な……なんて美しい刀さばきなの……。あんなの見た事ない。こんなに暗い場所が一気に明るくなるくらいの紅色。」
鈴木さんは登坂の刀さばきがあまりにも美しかった為そう口にした。
そして登坂も地面へと着地した。
「さっきの連撃、良かったぜ。正直死ぬと思った。
エージェントかぁ、懐かしいなぁ……。
あまりの懐かしさにこんなの持ってきちまったぜ。」
とさかはエージェント用の服装のボタンを持っていた。
「なんだよ、未練でもあんのか?」
「いいや、未練なんてこれっぽっちもねぇよ。
ただ、これは前に殺したエージェントのガキのボタンだ。何が言いたいって? 今のエージェントはこんなにも簡単にボタンが取れちまうってことだよ!」
それは翔の来ていた服のボタンだった。
俺は頭に血が上っていた。そしてアルファマインドも発動していた。
「許さねぇ……。」
「おい、小原やめろ!」
「許さねぇ!!」
多田さんは俺を止めようとしたが、俺は怒りのあまり登坂に向かって行った。
「やっと出てきたか!」
『ズドンーッ!』
勢いのあまり、辺りは砂煙で覆われた。
俺は思い切り殴りかかったが、刀で受け止められていた。地面も砕け散っていた。
「これがアルファマインドか。綺麗な目をしているな。」
登坂は背中に担いでいたもう1本の刀を掴んだ。
「小原! 逃げろぉぉ!」
荒川さんが大きな声で叫んだ。
するとNo.2が口を開いた。
「そいつだけは殺すなよ。」
「分かってますよ! 殺さない程度に切るだけだ!」
刀を振った瞬間鈴木さんが来て自分の刀でガードした。
「おぉ、こいつ警剣部隊か? 面白そうじゃねぇかよ。」
「今だ! お前ら!」
荒川さんがそう叫ぶと一斉にエージェントが飛び出してきた。
多田さんと工藤さんはNo.2を奇襲するが簡単に逃げられてしまった。
菅井さんと玉田さんは荒川さんの前に来た。
「おいおい、7対2かよ……。めちゃくちゃ不利じゃんかよ。でも、こういう状況嫌いじゃないぜ!」
そういうと登坂は片手で鈴木さんを押していた。
『なんてパワーなの! 両手でもここまで押されるなんて!』
俺と鈴木さんは急いで登坂から距離を置いた。
「No.2!どうします? こいつらやっちゃいますか?」
「アルファマインドのガキ以外は好きにしろ。」
「そうこなくっちゃなぁ!」
登坂は俺に走ってきて天井へ蹴り上げた。
天井を突き破り屋根へと着地したあと俺は気を失ってしまった。
「殺さない程度にガキは終わった。あと6人か……
誰から殺しちゃおうかなぁ。」
「荒川さん! 立てますか?」
「あぁ、どうにかな。」
「No.2! こいつらは俺一人でやらしてくれ! 荒川ももうあのスピードは出せないみたいだしな!」
「構わん。」
登坂は6人に1人で向かっていった。
「舐めんじゃねぇぞ!」
多田さんが迎え撃ち、登坂を止めようとした。
「破壊腕!」
右手に力を集中させて右手を倍化させ、登坂に放った。
すると登坂はその右手をかわしながら切り刻んでいき、多田さんの正面に立った。
「くっ、クソ!」
『ズドンッ!』
左手で殴ったが片手で止められた。そして登坂は構えた。
「行くぜ! 瞬舞の技・紫雲英!」
『ヴゥンッ!』
登坂は下から上に刀を振り上げると紫色の残像を写しながら凄まじい音を立て多田さんを一太刀した。
多田さんは吹き飛ばされ、壁を突き破り外へと出された。
「これであと5人だな。」
「菅井、行くぞ!」
「はい、鈴木さん!」
菅井さんは銃を持ち鈴木さんは登坂に向かった。
「2人とも警剣部隊か! やりがいあるなぁ!」
「炎転弾!」
『バンッ!』
菅井さんは火を螺旋状放った弾を放った。
『これは少し厄介だな……』
「薔薇の棘刺!」
登坂は炎転弾を刀の先で突き、はじき飛ばした。
「嘘だろ!? まるで神業だ!」
鈴木さんは登坂に飛びかかった。
「氷焼切!この刀は鉄をも切り裂く!」
刀が氷で覆われ、刀以上の切れ味を出した。
「氷を使うのか! 中々やるねぇ。だが、どちらの刀の方が切れるかな! 天華の技・竜胆! おらぁっ!」
次は上から刀を振り下ろした。青紫色の斬撃が飛んできた。それは鈴木さんの氷刀を貫き、左腕を裂いて壁に激突した。
「うぁぁぁぁ!!」
鈴木さんは左腕を切られた痛みに苦しんでいる。
「鈴木さぁぁん! クソっ! ぶっ殺してやる!」
菅井さんも登坂に銃口を向けて走った。
「最大質力! 炎転弾!」
弾は炎を帯び地面を削りながら登坂に近ずいた。その衝撃で銃が壊れてしまった。
「甘っちょろいな。俺にはスピードもあるのを忘れたのか? 焦ってその距離から打つなよ。馬鹿か!?」
登坂は軽々と避け菅井さんに近ずいた。
「瞬舞の技・延齢客!」
一瞬だった。一瞬で菅井さんを通り過ぎた。
菅井さんは後ろを振り向いた。
「何をした!」
「よく見ろよ。」
菅井さんの左横腹が切り裂かれていた。
菅井さんは吐血し、静かに倒れた。
「よし、これで3対1だな。簡単だなぁ。」
「すまない皆……俺が頼り無いから……」
「荒川さんのせいじゃありません。皆、全力を尽くした結果です。絶対に登坂とNo.2を捕まえましょう。」
工藤さんがそう言うと荒川さんは涙を流した。
「署長さんが頼りないんじゃあ部下がこうなるのは目に見えた事だったんだよ。初めからここに来なきゃ良かったって話しだ。全部お前のミスだ。
俺はお前らが来るって分かってた。
それに勝つ自身もあった。だから逃げも隠れもせずにお前らを迎え撃った。はめられたのはお前らだ。」
「工藤、玉田、ここからは……3人でやるぞ。」




