10話 立川警察署エージェント部署
「ほら、そこに空いている席がある。
お前の席はそこだ。よろしくな。」
「よ、よろしくお願い。」
俺は静かにその席まで行って座った。
なんか皆ピリピリしてるっていうか、下を向いている人がいる。あまり良い雰囲気ではない。
俺は隣の人に聞いた。
「何かあったんですか?」
「昨日大物を逃した。」
「大物!?」
「そう、No.2だ。」
「No.2!?」
「お前知らないのか?この日本には沢山の指名手配中の犯罪者がいる。その中でも重罪人はナンバーを付けているんだ。
日本にあるナンバーは6まである。つまりNo.2は上から2番目の重罪人だ。捕まえることが出来れば名誉あることだったんだ。ちなみにNo.5とNo.6はもう捕まっていて本部の刑務所にいる。」
「なるほど、そうなんですね。」
「だけどまだこの立川にいるかもしれない。
俺たちは一般警察の応援要請や本部からの要請が入らないと動けないんだ。
あ、俺の名前は多田。よろしくな。」
「よろしくお願いします。」
「1番前にいるのが立川警察署署長の荒川さんだ。」
「そして前から、工藤さん、鈴木さん、玉田さん菅井さんだ。
基本先輩は前から座るんだ。君が来るまで俺は1番下だったからね。」
「あの鈴木さん、刀持ってますけど、まさか警剣部隊ですか!?」
「そうだよ。女の人って思ってると痛い目見るよ。
あの人とても強いからね。」
「刀って触らせてもらうことってできたりしますか?」
「だめだね。警剣部隊は人に刀を握られるのは死を意味するからね。警剣部隊は元々能力が弱い人が配属されるんだ。あの刀は弱い能力を倍増させる刀だから、刀が無いとどうにもできない。警剣部隊は刀だけってイメージあるけど銃を使う人もいるんだ。
菅井さんも銃を隠し持ってる警剣部隊だ。」
「なるほど……勉強になります。」
「ちなみに僕は君と同じ総合格闘部隊だ。
玉田さんはエスパー部隊、工藤さんと署長の荒川さんは特殊格闘部隊だ。」
俺は多田さんにこの部署の皆の紹介をしてもらった。
俺は皆に改めて挨拶をした。
「皆さんこれからよろしくお願いします。」
「新人は本当に元気だ……
俺も昔はそうだったなぁ……
俺はもう34だぞ!?危機感しか無ぇよ。
No.2とっ捕まえて、こんな狭っ苦しい所から脱出して本部に行けると思ったのによぉ……
ってか、俺もう34!?」
荒川署長は机に足を組みながら乗せて両手を頭に添えてそう言った。すると鈴木さんが口を開いた。
「すみません署長。昨日私が仕留めていれば……
というか署長、34歳の件、昨日も言ってましたよ?」
「あれ、そうだっけ?」
「はい。昨日というか毎日言ってます。」
「忘れっぽいんだなぁ……もう34だからなぁ……」
俺は初めてこの立川警察署に入った時よりイメージが打って変わった。
というか最初の威圧感、あれは威圧感では無く目が死んでいただけだった。
「小原君、この部署いつもこんな感じだから。
別に恐い人はいないから大丈夫だよ。」
多田さんがそう言ってくれて少しホッとした。
というか、俺はこういう感じの部署の方が楽しそうで良いとまで思っていた。
すると署長が俺に話しかけてきた。
「そういえば新人。」
「はい!」
「君、アルファマインドの能力者らしいじゃねぇか。
どんな能力持ってんだ?」
署長は言った。
「すみません。アルファマインドの右目の能力がまだ発現してないんです。」
「ふぅーん。そうか。じゃ、発現すると良いな。
No.2とやり合えば発現するかもな。」
署長は鋭い目付きでそう言った。
『No.2とやり合う!?』
俺はいきなりそんな事を言われて少しドキッとした。
なんせ俺はNo.2と言われてもどんな強さとか、どんな人間だというのは想像がつかなかった。
「署長、新人にNo.2はヤバいですよ。
マジで殺されちゃいますよ?」
玉田さんがそう話した。
「そんなん分かんねぇだろ? 実際この新人アルファマインド持ちだし。」
『って待てよ。この新人、アルファマインド持ちって事は戦力になるじゃねぇか。
この新人使ってNo.2を捕らえて立川警察署が功績を成せば……
俺は34歳でやっと本部に雇われる〜!』
「すみません多田さん。署長、凄い機嫌良さそうなんですけどどうしたんでしょうか?」
「あぁ、署長は今、空想の世界で自分の成功する夢を見てる。あのままにしてあげな。」
すると菅井さんがコーヒーカップを持って歩いてきた。
「署長はこういう所あるから。暖かい目で見てやってくれ。」
そう言うと菅井さんはコーヒーを入れ始めた。
「菅井! 俺のもちょうだい! 角砂糖死ぬほど入れて!」
工藤さんもコーヒーが飲みたかったみたいだ。
『なんだか色々イメージと違うなぁ。』
俺は心の中でそう思った。こういう雰囲気は好きだけど、俺のイメージではエージェントは正義に満ち溢れる真面目な人! ってイメージがあった。
でも、話してみると意外と皆普通の人。
署長は相変わらず頭の中お花畑だ。
俺はLINEで翔に連絡した。
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そっちの部署どう?
なんかイメージと違った笑
だよな笑
意外とやりやすいかも!
俺もそんな感じ!
お互い頑張ろうな笑
おう!笑
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「おい新人!」
署長が急に俺の事を呼んだ。
「そこの緑のファイル、取ってくんねぇか?」
「はい!」
俺は緑のファイルを取って署長に渡した。
署長はそのファイルを読み始める。
「おい工藤。」
「はい署長。」
「そういえば、1週間前に立川駅で爆破予告した奴いたよな?」
「あ、はい。いました。」
「あれ、今日の15時だったよな。」
「はい。そうですけど、爆破予告は大抵嘘が多いので皆信じてませんよ。」
「だが、今はこんな超次元社会だ。本当にに爆破するかもしれない。
一応本部に連絡して立川駅に向かえる許可をとってくれ。」
「え、ほんとですか!?」
「あぁ、なんだかそんな感じがする。
34歳の感ってやつだ!」
大抵皆は署長のこういうノリに付き合わされる事が多かった。なにより署長は功績がほしい。
小さい可能性だって見過ごせない。
そこが荒川署長の正義感溢れる所なのかもしれない。
「署長、許可が降りました。」
「よし!皆は行くぞ!」
「はい!」
「小原君も初日で、こんなのに付き合わされて大変だねぇ。」
多田さんがそう言った。
「いえ、そんなこと無いですよ! 逆にこういうのまってました!」
「新人は元気だねぇ。」
そして立川警察署エージェント部署は立川駅へエージェント専用の車で立川駅に向かった。




