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賢者様の仲人事情  作者: 冴條玲
第四章 王子と姫君
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6-5. オレが神に謝ってくる

「ティリス!! ティリス!!」


 撃たれた胸から、血が大量に溢れ出していた。口の端からも、それが伝っている。

 抱き留められたレオンの腕の中、ティリスは懸命に、最後の力を振り絞って、言葉を紡いだ。


「……オレが……神に謝ってくる……だから……だから、レオン、殺さないでくれ……」


 震え、掠れる声が、それでも聞く者に、無視できない何かを残した。


「ティリス!! だめだ、死ぬな、だめだ!!」

「レ……レオン……オレ……おまえのこと、ほ、んとは、ずっ……と……」

「だめだ! 逝くな、逝くなティリス!! 許さない、許さない!!」

「…い、痛て……」


 レオンがあまりに強く抱き締めるから、痛かった。

 なのに、心地良かった。

 この腕の中が、ずっと、好きだったから――

 最後に少しだけ、笑った。


「ティリス!!」


 ――オレ、おまえに会えて良かったんだ――

 涙が二筋、ティリスの頬を伝っていった。


 それきり、彼女は動かなくなった。

 静かに、ろうそくの火が風に吹き消されるように、息を引き取った。

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