表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作り愛スピリット  作者: まい
拠点を確保する
11/13

INU SUGEEE!

※今回はちょっと短いです


 このINU、SUGEEE。


 絶対に犬じゃ出来ない事を平然とやってやがる……(ゴクリ)

1年目 4月23日 開花日



「…………うぅん、おはようございます」


 可愛らしい声で、ベッドからのそのそと上半身を起こして挨拶する少女。


 あくびも1発かます姿を確認した現在、朝。


 ゲームと似た世界へ、クリエイトしたキャラクターの姿で降り立って以降。


 初めて睡眠をとったシオン・クロプダ。


 クリエイトした際に選んだ種族がクリエイト精霊と言う睡眠を不要とする種族であったのだが、前日に飼い始めたINUと呼ばれるモノは寝るので、添い寝をしていたのだ。


 丸太組みの家には、素材がなくて布団等が作れないのにベッドがある。


 それは木で組んだだけの、寝台にすらなっていない寝台。


 そこへ急ぎ用意した干し草やら枯れ草やらをどっさり盛って、INU用臨時(りんじ)ベッドとしたのだ。


 そしてそのINUが見せる寝姿があまりにも気持ち良さそうだったので、つられて添い寝。


 その精霊が目覚めたら感じた違和感を見定めるため、周囲を確認して確信する。


ヘレシュ(INU)がいない」


 見た目柴犬の成犬なINUが、毛は短くともなかなかにモフい毛皮が、ちょくちょくシオンをつぶらな瞳で見上げてくるヘレシュが見当たらないのだ。


 慌てて家を飛び出し、敷地内を見て回ったが影すら見えず。


 それを知ってしまい、とぼとぼと家へ戻り食卓の椅子に座り、ドンヨリ暗い陰を背負って落ち込んでいた。



 昨日の今日で行方不明。



 これはアレか。 昨日シオンへ、べったり張り付いていたのは一夜の宿と、メシをたかるだけだったのか?


 ゲームでは現れてお迎えしたら、2度とプレイヤーの敷地から出ず、完全に飼いINUとなったのは裏で何かしていたからか?


 自慢の動物用ブラシを、木の根っ子を繊維にして作り上げて、ブラッシングしたら喜んでくれたのは演技だった?



 とにかく行方不明になった原因を特定しようと、頭も目もとにかくグルングルン回す事態となった。



~~~~~~



〈ワンッ!〉



 思い詰めすぎて、いっそ人生にリセットをかけるか真剣に考え出した頃。 それは唐突に聞こえた。


 それは屋外からの吠え声だった。 犬と呼ぶには音が響かず、しかし心に響いてくる。


 少し合成音声っぽくて現実離れした、しかし犬にしか聞こえない吠え声。


 それをシオンは知っている。


「ヘレシュの声だ!!」


 そう、家の外から聞こえた吠え声は、いなくなったと思われたヘレシュのもの。


 さっきまでのドンヨリはどこへやら。 ヘレシュの声が聞こえた方向に近い家の裏口から、早く姿を確認したくて飛び出そうとした。


 戻ってきてくれた嬉しさから、裏口の鍵やらなにやらが上手く開かず、手つきが怪しくなってしまってもそれに気付かぬ程に(あせ)ってしまう彼女。



 正常でない思考のまま、なんとか裏口の戸を開け、叫ぶ。


「お帰りヘレシュ! どこへ行っていた……ん?」


 叫びは尻切れとなり、勢いが落ちた。


 なぜなら、裏口を抜けた先にヘレシュがお座りして、得意気な顔をしていたからだ。 可愛い。


 ……いや、正確に書こう。


 口の辺りを赤くしながらお座りするヘレシュの前に、()()()な毛をした羊が横たえられていたからだ。


「野生の羊? じゃないな。 野生じゃあこんなに汚れていない羊はそういない。 って事は、魔獣化した羊だ」



 シオンは気付いたのだ。 ヘレシュがどこからか魔獣を()()()()()事に。


 そしてヘレシュには戦った後の汚れすら無い事に。


〈ワンッ!〉


 この事態をどう受け止めるか、彼女はとても苦労したが、これだけは確認するべきと決め、口を開いた。


「ヘレシュが魔獣を狩ってきたの?」


 これにこのおINU様は尻尾をブンブン。 可愛い。


〈ワンッ!〉


 肯定する様にひと吠え。


「お前は強いんだね?」


〈ワンッ!〉


 シオンは肯定されたと理解し、口許をひきつらせる。


 ゲームはとにかく生産するだけに特化しており、プレイヤーが動物や、それが凶暴化した魔獣と戦うなんてシステムは無いのだ。


 一応として、かなり(まれ)に防衛戦イベントが突発的に発生し、プレイヤーの行動によっては死亡ENDが待ってる。


 だから、そのイベントでプレイヤーをやれる位にエネミーは強いのだろうなと思う程度で、実際の強さは知らない。


 なのになぜ彼女は口許をひきつらせたのか?


「ずっと放っておいても生き続けていたり、家畜の牧羊犬をこなせるのは、この辺が理由なんだろうな」


〈ワン?〉


 キャラクターが寝ている間に、こうやって自力で食べ物を得ていたから。


「ゲーム中に野菜ばかり与えても栄養が偏らないのは、ゲームの都合だからだと思ってた……」


〈ワンッ!〉


 ポツリと()らした言葉もヘレシュは拾い、律儀に吠える。 可愛い。


 そして、なぜこうやってシオンに獲物を見せ付けているかを考えたら、思い付いたことがひとつ。


「もしかしてこの羊魔獣、俺にくれるのか?」


 すこし都合が良すぎるかも? なんて考えながらも、こうして見せ付けてくるならば何か意図があるのだろうと訊いてみたが。


〈ワンッ!〉


「本当にくれるんだ……」


〈ワンッ! ワンッ!〉


 立ち上がり尻尾を振りたくる可愛いヘレシュに、彼女はニヤニヤが止まらなくなる。


「よし! ただもらうのも悪いから、これを解体してお前の為に美味しい料理を作ってやる!!」


〈ワォンッ!〉


 本当にヘレシュの言うことが伝わっているのか怪しい所だが、羊魔獣を【職人の(ふところ)】へ仕舞い、家のキッチンへ向かうシオンの後ろをヨダレをダラダラこぼしながらついていくINUがそこに居た。


「羊だ! 毛も皮も角も、今欲しかった素材だ!! 有効活用してやんぞ!!」


〈ワンッ!〉


「毛を()り撚りして毛糸を作るのも良いし、毛皮でコートかマットか毛布の代用品でも良い。 皮を下地にして鉄を縫い付ければ、簡単な鎧も作れる! なんにしても、作りたい物がいっぱいだあっ!!」


〈ワフン!〉


 ……欲しかった素材を前にして、ヘレシュに負けず劣らずヨダレをダラダラこぼしている精霊の姿もあった。


「……そう言えば【鍛冶】でぼんやりしたイメージのまま熱した金属を叩き続けたら、技能が伸びたんだよなぁ。 今のうちに【錬金術】で鉄より技能が伸びそうな魔銀(ミスリル)へ変換して、叩いておくかあ」



~~~~~~



 次の日。


〈ワンッ!〉


「おっ!? 今日は角ウサギの魔獣か!」


〈ワンッ! ワンッ!〉


「分かってる、美味いの作ってやるさ!」


〈ワオーーン!〉


「数が揃えば、毛皮で毛布とかの寝具みたいな物も作れそうだな」


〈ワフ?〉


「寝床を良くできるかもって話しだ!」


〈ワンッ!〉



~~~~~~



 更に次の日。


〈ボフッ!〉


「……変な吠え声だn…………汚い毛から見て、普通の羊をくわえて引っ張ってきてるけど、それは生きているのか?」


〈ボフッ!〉


「…………牧草地帯に家畜舎を建てるから、ついてきて」


〈ボフンッ!〉



~~~~~~



 また次の日。


「ヘレシュ、それどうなってんの?」


〈ワンッ!〉


「なんでオスメス(つがい)(ニワトリ)を、頭と背中に乗せてるの? っつーかおとなしいな、コイツら」


〈ワンッ! ワンッ!〉


「まあ新しい家畜として、ありがたくもらうけどさ」



~~~~~~



 相も変わらず、シオン達を監視し続けるオババ様。


「あのINU、魔獣や野生の動物を狩るだけじゃないのかい。 とんでもない知能持ちさね」


 柴犬にしか見えないINUの力量を冷静に見定めようと、自身の全力でもって測り続ける。


「普通の家畜をINUが持ってきた時は村の家畜かと慌てたけど、どうやら外にいた奴だし」


 羊とか鶏とか。 急いで村の牧場へ確認しに行ったのだ。


 それで家畜は減ってないと安心。したは良いけど、今度はどこから持ってきたのかと、精霊の家畜が増える(たび)何度(なんど)も慌てることとなった。


「それにしてもあの大精霊よ」


 INUが視界から消えた為、次は精霊について考えたい様だ。


「ありゃ属性持ちじゃないね」


 属性持ちとは、普通の精霊。 火だの水だの、それぞれの属性を(つかさど)る精霊。


「敷地中央の水を産み出す巨石、火をつかって鍛冶もする、野良()仕事だってこなす。 そして、見えない何かへ物を仕舞う魔法。 単体で色々でき過ぎる精霊なんて、特殊過ぎるさね」


 1体で様々な属性を使う精霊なんて、精霊を束ねる存在位しか知らない。


「でも精霊の女王とするには、奴の周りに精霊が(はべ)ってないのがおかしい」


 しかもそんな御大層な存在とするには、漂ってくる気配や力では物足りない……と思われる。


「ああもう、訳が分からないったらありゃしない!」


 顔を手で(おお)い、天を仰ぐ。


 仰いでからしばらく、何かに気付いて頭を振りだした。


「違う違う。 したいのは研究じゃなくて、性格の見極め。 アタシとしたことが、変な精霊に(まど)わされちまってるよ……」


 1度目を閉じ、ゆっくり深呼吸。


「アタシだけじゃダメダメかもしれん。 精霊を視られるお人好しを呼んで(ひと)当て……してケガさせるのは嫌いだね。 ほんと、どうしたモンか」


 ただの生産バカ相手に、えらく(勝手に)振り回されているオババ様であった。

少しの間、シオンのステータスをこちらで。

(前話と今話での変動表示)


シオン・クロプダ

クリエイト精霊・女性型


装備 :初期衣装

装飾品:なし


ステータス


【職人の体つき】:178→192(主要因 畑の収穫)

【職人の魂】  :166→191(動物素材の入手)

【職人の知識】 :93→103(INU関連の知識)

【職人の眼】  :128→149(こまめな鑑定)

【職人の腕】  :170→201(糸よりより)

【職人の指先】 :109→157(隙あらば糸よりより)

【職人のふところ】 :372→405(動物性たんぱく質の定期確保に成功)


 ステータスの具体的な意味は上から順に、

 スタミナ・MP・知性・鑑定力・腕力・器用さ・収納可能アイテム枠数

 初期値はオール10(懐だけ100)だが、種族ボーナスで全てにプラス10。


 現在のカンストは300(懐は999)



技能


【農業】   :100(カンスト)

【布・皮革】 :5→37(羊毛よりより楽しいです(^q^))

【酪農】   :9→22(家畜飼えたよ! INU可愛いよ!)

【鍛治】   :40→71(おほっ、ドラム叩く真似はマジで美味しい!)

【調合・調薬】:18→22(ただの薬じゃ、ダメだ。 魔法薬作らなきゃ)

【料理】   :80→94(ダークマター地獄は後少しで終わる(吐血))

【木工】   :56→63(家畜舎、建てたよ!)

【錬金術】  :72→80(付与に家畜のお世話に魔法の胃薬に(死んだ目))

【装飾加工】 :47→59(ダークマターでなんで伸びるんだろうな(ケイレン))


 技能のカンストは現在100

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 普通の鶏や羊はどこから? 村? それとも……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ