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事の発端は鬼畜女王瑠音から

午後11時13分―――――


 「ふぁぁ」

気が緩んでかあくびがボクの思考をかき消す。

普段23時に寝ているボクにとってこの時間まで起きているのは正直苦痛だ。

でも布団があるわけでもなく、床に寝るワケにもいかず…。

ちなみにるっちゃんは雑誌詰まったゴミ箱から数冊のほそっぺらいのを取り出し読書中。

いや、読書というよりは、暇つぶし、とでも言うべきかな。

ペラペラめくってはつまらなさそうに読み進める。

おもしろいのかつまらないのか…まったく分からない…。

とりあえずボクに今るっちゃんがやっているような読書はできない。

せめて小説の一冊でも持ってくるべきだったかな。

普段時間を有効に活用しようとがんばっているボクにとってこの時間はどうしようもない。

どうにかしたいけど、どうしようもない、そんな感じだ。

暇だけどその暇を埋める(すべ)すらボクは知らない。

長谷先生は読書が大の嫌いで、担当になった教室では読書はできないとのこと。

そんな先生がこの部屋に本1冊でも置いているとは思えない。

…………成人雑誌は別として…あれは…生徒の誰か……だし?

…と、とにかく、この部屋にボクの暇をつぶせるものはないということなんだ。

気づけばボクは床でゴロゴロしながらずっとそんなことを考えていた。

ふとこちらに気づいたるっちゃんが一言。

「そんなに欲求不満ならオ――」

「何言おうとしてるの!!」

ボクは思わず怒る。

るっちゃんがケラケラと笑いながら言った。

「まだ「オ」までしか言ってないじゃん。続き言ってほしい?」

「いいよ…言わなくても…るっちゃん…ほんとに女の子なの?」

ボクはため息をついて言う。

するとるっちゃんはそれに少し(しゃく)に障ったのか回転椅子から立ち上がった。

そしてそのままボクと交差するように倒れこむ。

楕円(だえん)をえがくようなゆったりカーブの背中反り。

最初ボクが感じたのは羞恥よりも…痛。

それも激痛。

るっちゃんはドミノ倒しのように倒れてきたのが影響したらしい。

もしその時うつ伏せでなく仰向けだったらボクは確実に呼吸困難になっていただろう。

だがしかし、背中にも相当のダメージを負っていた。

「魔人瑠音…恐る…べし…」

ボクは反りが終わると同時にそういい残すと、ぐったりと。

・ ・ ・ 何も話そうとしないるっちゃん。

若干の冷や汗と共にるっちゃんは再び回転椅子へ座った。

それでもボクの『ぐったり』が戻ることはない。

一瞬背中折れちゃったのかな…?とも思ったがそんな音はしなかった。

高く、脆く、危うい音。

そんな音がボクの背中からはしなかった。

その点からしては安心できるだろう。

だが背中の激痛は治まることを知らない。

動けない…というか立ち上がれない。

「これはもしやヒビ?ヒビなのかね?答えたまえ〜〜」

るっちゃんがわざと椅子に座ったまま片足でボクの背中をたたく。

なんとも言えない激痛、この人はボクが痛いのを見て楽しんでるのか…Sなのか!?

「痛い痛い!痛いですって痛いですから!」

「ふふふ…」

ニヤニヤしながら鬼畜攻撃をやめない瑠音女王様。

確かにるっちゃんはSであるけれど…こんな攻撃は初めて…だっ。


昔からSだったるっちゃん。

冷恐の姫の名は伊達じゃあない。

小学校4年のころからSに目覚めていたるっちゃん。

周りの生徒をいたぶっては(いじめているワケじゃあない…多分)先生に呼び出し。

だがしかし、数学担当のロリコン先生はMに目覚めてしまった。

彼女、冷恐の姫のせいで…。


 そんなことを考えていたせいか、

たった今、ふわっと飛んだ意識が、戻ってきたような気がする。

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