Mr.ミヤの不思議、発見!
机から生還し、ふぅ、と一息。
窓の外には綺麗な、なんとも見事な満月が理科準備室を照らしていた。
その光は明るいようで暗い、ぼんやりとしたもの。
そこでふと気づく。
今…何時だ?
ポケットをまさぐるが、ケータイは出てこない。
まぁそれはそうだろう。
持ってないんだから。
るっちゃんにもたずねたが、どうやら教室に鞄ごと置きっ放しらしい。
なんという…屈辱?
ただ月光が窓から入ってくることから、おそらく深夜…。
夕方では太陽と月は線でつなぐと地面とほぼ平行になる。
だがしかし、月の光は結局陽の光であるため、夕方の月光はありえない。
ということで深夜という科学的思考から…………。
あ れ ・ ・ ・ 。
深夜?
深夜?
さっきまで夕方じゃなかったっけ?
どうやったら何時間も時を忘れられる?
腕を組んで考えてみる。
まぁ結局これは動作だけに過ぎず、何も浮かばない。
ふたたび月を観察。
大きい月。
でも、ボクの遠近法に異常でもあるのだろうか。
どうみても近い。
何か近い。
何億kmもあるとは思えないほど近く感じる。
手で届くような……。
ボクは窓に手を伸ばした。
当然届かない。
たが窓に触れたときに、何か異変を感じた。
影が…大きくない?
窓に触った手の影が何で部屋を照らす月光をさえぎれる?
おかしい。
あきらかにおかしい。
とボクが真相に近づいてきたとき。
るっちゃんが窓を開けた。
そして月をつかむと…!?
部屋の中へ。
………………。
・ ・ ・ 。
なぬ!?
ボクは言葉が出なかった。
るっちゃんはため息をつくとその月をくしゃくしゃにしてゴミ箱へ。
未だボクの思考回路は復活しない。
状況把握ができない。
いやとっくにできてたのかもしれないけれど。
「今時このイタズラはないな…」
ボクはるっちゃんのその一言で我に返った。
イタズラ。
悪戯。
意た頭ら。
い他ず裸。
本当ならもっと早くに理解できたね。
月をくしゃくしゃにした時点でそれは月じゃないんだから。
どうやら窓についていたの細かく紙に描かれた月と豆電球がぶらさがっていた。
つまり結果論としてこれは月ではなかったということだ。
うん!万事解決!
………………。
でもさ。
あれだよね。
まさかこんな単純なイタズラにあそこまで思考回路を使ったなんて……。
科学的かつ論理的に……。
ふぅ…。
何か…今更になって自分の幼さを感じるよ。
もぅ高校生なのに……。
情けないですホント。
ぁぁぁぁぁぁ……。
ボクはバタリと折れるように…。
挫折して倒れこんだ。
ふとボクを不思議そうに見た、るっちゃん。
そしてその姿を見て可笑しさに少し笑った。