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幕閉じ

ええまぁ強引に締めくくったとw(ぉぃ


もしかしからあの時既に気絶していたのかもしれない。

でなければ何でボクは逃げなかったんだろう。

何から?

おそらく…自制心からボクは逃げていただろう。

感情を(あらわ)にしたくないワケじゃない。

ん〜だけど…なんかこう…肝心なとこだけは…。

クールでいたいっていうのかな?

じゃあ何で今逃げない?

…………わからない。

…いや…、それは多分…。

ボクがワガママだからだ。自分に対して。

…………いや、それこそ嘘かも。

ワガママなのはボクじゃなくて……。

るっちゃんなのだろう。

だから逃げない。

というより、逃げられない。

欲しいものは何でも手に入れる『姫』

それが瑠音なのだ。



るっちゃんの後ろには紅い炎が燃え滾っていた。

静止(というより停止、うん、怖いほど停止)しているボクからゆっくりと離れるるっちゃん。

こめかみに置かれた手もゆっくりと離れていった。

るっちゃんはすぐに立ち上がって炎を眺める。

まるでその動きからして今の行動が無かったかのようだった。

「なん……で…?」

「ん?何が?」

こちらを振り向く。

その表情はほんとに忘れているような…。

それもそれで困るんだけどね。

「何で…あの…その」

「デコチュー?」

「…………そう」

そんな軽く言わんでください。

「んーそうだね…確認…かな?」

「…確認?」

「そ、ミヤが『私のもの』であるかどうかの確認。


私に絶対服従してくれているかどうかの確認。


私の――――」


「もうやめて…もうやめて…!」

もう遮りたくてしかたなかった。

何か主人(マスター)執事(バトラー)みたいになってるね!


とでも言えと?

やだから絶対やだからね?

「あっちゃ〜…これは119だな119」

突然るっちゃんがボクを放って呟く。

そう言っておいてケータイを取り出す気はまったくないらしかった。

というより近くの誰でもいいから119かけてほしいんだけど。

近くに民家とかあるんだけどなぁ…。

場の雰囲気でもかもし出していただいてるとか?

そんな余分はいいので消防車呼んでください…。

くだらないことを考える程度には思考が冴えてきたみたい。

「――ってるっちゃん!!」

「何さ」

「軽々しすぎるよ…ボクだっていちを…」

「成長してるんだからさ!そういうのやめてくれない?

いちいち期待させるようなこととかやなんだよー―――

みたいな台詞をつなげるつもりだった?」

るっちゃんはボクの声を真似て言ったつもりらしいが全然似てない。

第一にボクとるっちゃんでは声帯が違いすぎる。

この人真面目そうな声でケラケラするから怖い。

いろんな意味で。

「いや違うと思う。最初は同じかもしんないけど。…じゃあ話続けるけど。

るっちゃんは結果的にボクをどうしたいの?」

「あぁ…質疑応答ね。うーん…簡単に言えば…Please become my private propertiesってとこ?」

「私有財産……ていねいなのはよし…だけど何で疑問文じゃないの?」

「え?だってミヤに拒否権なんてないでしょ?」

決め付けられますかぃ…。

まぁ何事も断れないのがボクではあるんだけども。

とここであまりにもくだらないことを思いつく。

「じゃあ難しく言うと?」

「Please become a boyfriend.」

るっちゃん得意の英語単語ではやっぱりplease好きなのかな?

だってやたらに乱用するからね。

生徒以外では。

ぅん?

「あのさ、何で難しく言ったほうが聞こえがいいのかな」

「難しく言ってるから意味不明になってスッキリしてるんじゃない?」

「でも別にちゃんと訳せるよ」

「じゃああれだ、難しく言うということは格好が決まるということじゃない?」

「ならそれを簡単に言う方で言ってほしかったよ」

「Not shame woman a do please.」

ん?

何かぐちゃぐちゃ?

恥女性ってなんだ?

………。

何で瞬間的に英文を崩せるんだろう…。

というかややこしいのでそのまま言ってほしかった。

please do not shame a woman.

英語自慢もほどほどにしてよね。

いやこんな訳ではない当然。

「将来はキャビンアテンダントだね」

「話を逸らすな…」

久々にるっちゃんから突っ込まれた。

狙ったことは認めます。

「んで…どっちなの…」

るっちゃんは口を尖らせてボクを見る。

でも目には不安が浮かんでいるようだ。

そういうるっちゃんも悪くない。

「どっちって……選べといわれてもさ、選択肢がないじゃない。毎回pleaseじゃあyesとしか言えないよ。

それにボクが、るっちゃんにNoなんて言ったこと、ある?」


「あると思う、ここ一年を振り返れば」

「………」

失策?

策士策に溺れる?

一年前からこのことを分かってればよかったな…。

失敗した…。

…この空気どうすればいい?

立ち直れないです。

ここでるっちゃんが口をはさむことは計算外でした。


「あはははははっ」

突然るっちゃんが笑い出す。

その場の空気が一瞬にして流れた。

珍しく、純真な笑い声。

なぜだかホッとした。

とりあえず、ホッとした。

「よし!そうと決まれば!」

るっちゃんがケータイを取り出す。

もう誰かに知らせる気か!

3つの操作音。

そして発信した。

いや…3つの操作音がボタンの音ならば。

それは多分消防署。

ふぅ、と安心してペタリと座り込むボク。


暗闇に炎は漂う。


………格好すらつかなかった。

「あ!先生?今すぐいつも来てるとこにバケツ5つぐらい持って来て下さい!

え?理由は来れば3秒で分かりますから!速くお願いします。ええ、あの車で!では!」

なぬ!?

公務員に頼らず……。

いやあれも公務員だけどさ。

専門が違うでしょ専門が。

助けるのと教えるのってまったく違うと思うんだけど。

ああもぅこれだからるっちゃんは…。

もう少し頼る人の領域増やそうよ?

……まぁ何を言ってもムダかな。

今回は諦めよう。

……ふぅ。

さてと。



とりあえず、ほんとにとりあえずだけど

ボクの片思い生活はここで幕を閉じる

誰かを好きになったら、それは向いてる向いてないとかの問題じゃなくて

似合う似合わないとかの問題じゃなくて

そんなのは問題なんかじゃなくて…

よっぽどの問題は気持ちじゃないかな

自分が相手を好きであるという気持ち

あとはほんの少しの勇気

「好きです」といえるだけの勇気

伝えるだけでそれでいい

言えば分かる言わなければ分からない

……まぁ嘘といえば嘘でもあるんだけど

ここはいっちょ決めさせてほしいからね


さぁ行こうか


どこへ行くかはあなた次第だけれども

絶対に走ってください

歩いていては絶対に追いつけないのですから

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