第9話
無詠唱で魔法を使う?そんなことができるの?
驚きと共に目の前の現実を見る
これが…ノエル様の魔法
目の前の光景に私はいきをのんだ
「リンフィア、行っておいで」
「お嬢様、いってらっしゃいませ」
「リンフィアちゃん、行こうか」
「はい…お父様、皆様、いってきます」
ゲートをくぐると一瞬で世界が変わった
向こうからは白いゲートしかみえなかったのに…
「驚いたかい?」
「はい…これが転移魔法…」
「まあ、いくつか種類があるけど、ゲートを開いて複数人で移動する魔法だね」
「他にはどんな魔法があるのですか?」
「僕が背後に現れた転移は瞬間移動のようなものだよ。発動者以外は使えないのが難点かな
あとは触れている者だけを転移させる魔法かな 」
驚いた転移魔法だけでも3種類
私はできるのだろうか…転移魔法は上級魔法だ膨大な魔力と技術が必要とされる
「リンフィアちゃんならできるようになるだろうけどね」
「私には…魔力量が圧倒的に足りてないように思います」
「…7歳でその魔力量は飛び抜けてると思うよ…
魔力がだだ漏れになってるけど」
そんなに魔力があったのか…
ゲームではローズカティス家は魔力の強い者が多く、使える魔法も飛び抜けて多い。それに加えて遺伝による属性のしがらみがないので多種多様な魔力を持っている。
お父様は水魔法 その中でも氷魔法を得意としているし、兄様は火魔法と地魔法の2種を得意としていて、今後ですが天賦を持つ事になるはずです。なんの天賦かは忘れましたが
お母様は嫁いできているので例外とは思うのですが…お母様も風魔法と地魔法を得意としていて、緑の声という天賦をもっているのです
天賦というのはその名の通り産まれ持った才能のことですわ。
ゲームではリンフィアに天賦はなかったので、これからも持つことはないと思われます
「リンフィアちゃんの場合、魔力の制御が先だね
魔力をダダ漏れにてちゃってるのを止めなきゃね」
「はい…止めるといってもどうやって?」
魔法の使い方ならわかりますが正確なコントロールの仕方など前世の記憶を辿ってもありませんし、ダダ漏れになっている感覚すらわからないのでどうしたものでしょうか
「んー、魔力は血液みたいに全身を巡っているから、こう…見えない水が全身から流れてるから…んー」
「全身を水の膜で覆うようなイメージかな!」
「全身を覆う水…」
魔力で全身を覆う…
覆う…
「おお、上手だね。
じゃ、次は膜をしまうイメージで」
魔力をしまう…
魔力をしまう…
「おお、さすがローズカティスの血だ
魔力の制御をもう覚えた」
「…少しでも気を緩めばまたでてしまいそう…」
「じゃあ、しまった魔力に鍵をかけてしまおう」
「鍵をかける…」
カチッ
「凄いな。イメージだけでここまでできる人は少ないよ
ローズカティス家とはいえルークより扱いが上手い」
お父様より…お父様が魔法を使っているところを見たことはありませんが扱いは国内でも上位にいると聞いていますのに…
「あ、魔力はまだダダ漏れにさせておきな
まだ器が完璧ではないからね」
「器が完璧ではない?」
「そう。器というのは魔力を入れられるもので、魔力は年齢とともにゆっくり増えていくものなんだ。魔力の増加とともに器も大きくなる
君の場合は急激な魔力の増加によって器から溢れ出している状態だね。その状態で器に閉じ込めようとすると器に入り切らない魔力が暴走してしまうから非常に危険だ 」
「もれている魔力はそのままでもいいのですか?」
「いいちゃいいんだけど… 魔力欲しさに魔物やら魔獣やらが寄ってきちゃうからね…
まだ幼いから器が大きくなるまでには時間がかかりすぎるし 封印は出来れば避けたい…
君の魔力は特殊だから受けられる妖精も限られるし…」
ノエル様が考え込んでいる…
賢者様でも今の私の魔力は厄介なのだわ…
それにしても…ノエル様の屋敷は何故こうもキラキラしているのでしょう
それとこの視線…何かがこちらを見ているのだけれど探しても姿が全く見当たらない…
妖精…なのかしら…
「…そうだっ!!!!」
突然の大声に私を含め見えないナニカもびっくりしたようで私から視線が離れた
「ノエル様?」
「そうだっそうだっ!あの子なら!あの子なら君の魔力を受け止められるかもしれない!」
それはそれはキラキラした笑顔で「召喚魔法」と唱え始めた