第5話
休憩が終わるとお勉強が待っております
この世界では4歳から教育を受けます
読み書きや歴史、算数、さっきのようなダンスや礼儀作法に至るまですべて
先生となる人は基本的には使用人として雇い、屋敷で暮らしています
だから、いつでも質問でき、わからないところはすぐに教えていただいております。
「リンフィアお嬢様、始めましょうか と言いたいところですが前の授業ですべて終わってしまったんですよね」
苦笑を漏らすカーチス先生
「いえ、私が暇だからといって辞典や歴史書を読み漁っていたからで、先生に落ち度はありません」
「…本当に7歳なのかな…」
先生、聞こえておりますよ?
にこりと微笑むと乾いた笑いが聞こえてきます
…露骨に目をそらさなくてもいいのに
カーチス=スペーサー
彼はスペーサー伯爵家の次男。20歳にして私の教育係 容姿端麗 成績優秀と文句のつけ所などない男である彼は2年前からここで働いている
…本来なら王城に務めるべきなのだが本人の希望もありローズカティス家の教育係として働いている
ゲームではこの後、私の学園入学と共に学園で歴史を教えることになる
専攻分野で歴史を選択しなければ攻略できない隠れキャラだ
「さて、この時間はどうしましょうか」
「ふふ、紅茶でも飲みながら語らうのはどうでしょう」
「それは名案」
侍女に紅茶を頼み、先生と歴史について語り合う
1時間ほど話しているとふと
「そういえば、昼からは賢者様に魔法を習うそうだね」
「はい、どうやら魔力が増えているようでして…」
「どれどれ……ふむ、確かに増えている
しかも、光の魔力が増えているようだね」
「えっ!?」
「どうやらそれにも気づかなかったようだね」
あははは…
笑うしかないというのはこの事か…
己の不甲斐なさに思わずため息をついてしまう
実のところ、自分の魔力や相手の魔力を探知するのはものすごく高度な魔法で習得できるものなどそういないのだが…
この世界では魔法教育は10歳からと決められており、それまでにやることなど魔力の制御とコントロールの仕方くらいである。
前世の記憶にも、幼少期の事などあまり触れられていないのでリンフィアが知らないのも当然といえば当然なのである
リンフィアは魔力コントロールに関しても他とは比べ物にならないくらい優秀で自己防衛のために多少の魔法は教えられていたので、できないというのは少なからずショックを受けるのである
「まあ、気づかないのも仕方ないのだけれどね。7歳で上級魔法まで使われるとさすがの僕でも驚愕を隠しきれないよ」
「………カーチス先生、いつから7歳児をいじめるような大人になられたのですか……」
笑いながら「ごめんごめん」と謝るカーチスをキッと睨むが7歳児に睨まれても痛くも痒くもないのだろう「可愛い可愛い」と言われる始末
「でも、リンフィアお嬢様の元の魔力は闇なのでしょう?光の魔力が増えるのはあまりよろしくないね」
「?」
「まだ知らないだろうね 魔力にはそれぞれ相性があってね。こういう…」
「空」←×→「地」←×→「水」←×→「火」←×→「風」←×→「空」
「光」←×→「闇」
「それぞれ隣にある属性とは相性が悪いが、他のものとは相性がいい。光と闇はお互いに相性が悪い。相性が悪いもの同士は魔力のコントロールがしずらい」
「…はい」
「賢いリンフィアならもうわかりますよね。」
「…私が賢者様に任されたのは魔力コントロールのため。…コントロール出来なければどちらかの魔力の封印…でしょうか」
「正解。その中でもコントロールが難しいのが光と闇だ。光と闇の持ち主はコントロールできずに封印されてしまうことが多い
というか、そもそも現れることが珍しい」
薄々は気づいていた。ゲームでは2属性持ちはいるのだが封印されているものなどいなかった。
唯一、ヒロインは元が光属性であとから闇属性が現れていた。そこからコントロールするための試練イベントが発生し、すべて成功すれば『妖精の目』という加護が得られる。そこでさすがヒロインと言うべきか、全ての属性の妖精の加護を得て、全属性使えるようになる。
今にして思うが、なんというチートだろうか…
全属性持ちであるが故に平民でありながら第一王子アイデルとの婚姻が認められ、晴れて王妃となれる
ただ、コントロールできなければ能力は封印され、 アイデルルートは閉じられる。
コントロールできない即ち、自身の能力が低いと認識する貴族は多い。自身の恥を知られたくないから隠す、なかったことにする、貴族特有の傾向が強い。2属性ある時点で能力が低いというのはないのだが…どういう訳か弱みとして見なされる
私はきちんとコントロールできるのだろうか…
ゲームでのリンフィアは闇属性ただ一つ。
つまりはコントロールできずに封印されたのだろう。賢者様イベントは3年生の夏休み行われるはずだ。
アイデルルートの最難関として
まさか私もやることになるとは思いもしなかったわ…
もっと詳しい話が聞きたいリンフィアだったがノックの音と共に勉強の時間が終了したためこれ以上の情報は得られなかった
「あとは賢者様に聞いておいで」
そんな言葉を残して彼は部屋を後にしたのだった
ブックマークが増えていて驚きました
亀並…かそれより遅い更新速度ですが気長に待っていただけると幸いです。