第2話
暖かい日差しにゆっくりと起こされ、私の一日が始まります。
昨日の夢が嘘みたいなのんびりとした朝。
とりあえず、昨日の夢を整理してみましょう。
現在7歳。アイデル様と婚約が決定するのは10歳。
それまでに婚約の話をなんとかしないと…
「コンコン」とノックが聞こえる。
「お嬢様、おはようございます」
侍女のソフィーが起こしに来たのだろう
私専属の侍女だ。乳飲み子の時からお世話になっている。
「起きています。」
「朝食の用意が出来ました。お父様、お母様、お坊ちゃまはお揃いです。お着替えをしますので此方へ」
「わかりました。ありがとう、ソフィー」
私はソフィーに促されるまま支度をした。
もう少し大きくなれば侍女たちの今日のドレスはどれだ選手権が始まるのだろう。
お母様が優雅にその様子を眺めているのは何度か見た。
優雅に微笑みながら朝の紅茶を楽しんでおられた。
幸い、私はまだ7歳。まだまだ成長するのでドレスの類はそこまで種類がない。
特別な日には新しく新調したドレスが届くので悩む必要も無い。
子供の特権だろう。支度に時間がかからないのは
何故だろう、精神年齢が物凄く上がっている気がする。
前世の記憶が蘇ったからか、今まで気にならなかった事まで気になる。
ゲームで7歳のストーリーなどなかったからなのか、それともこの世界の知識が流れ込んできたからなのか
そんなことを考えていたらいつの間にか支度は終わっていた
「お嬢様、朝食を食べませんと、皆様お待ちかねですよ。」
優しい顔でソフィーは促す。
「そうね、早く朝食が食べたいわ。」
私の一日はこうして始まる
部屋に入るとお父様、お母様、兄様が揃っていた
そして、なんとも言えない空気を漂わせていた。
私が遅れたからみんな怒っているのかしら…
「おはようございます。お父様、お母様、お兄様」
「おはようリンフィア」
「リンフィアおはよ」
「おはようリンフィア 昨夜はうなされていたそうだが…大丈夫か?」
私がうなされていた?
前世の記憶が戻ったから?
「お気づかいありがとうございます。変な夢をみておりましたの。」
「そうか。」
私が席に着くと朝食が始まった
リンフィアとしての記憶もあるのでテーブルマナーは大丈夫だが…
みんなの視線が痛い…
「お父様、お母様、兄様、どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもない」
「なんでも」
「ふふふ」
上から
お父様
兄様
お母様
お父様も兄様もじっとこちらを見ているし
お母様は含み笑いだし
一体どうしたというのか
リンフィアは構わず食事を続けた
朝食が終わると
「リンフィア、あとで執務室にきなさい」
「わかりましたわ、お父様」
そう言ってお父様は部屋をでていく
兄様は食事を続けて気にしていないようだし
お母様は笑っている
悪いことではないようだが
とりあえず行ってみないとわからないようね
リンフィアは諦めて考えるのをやめるのだった