プロポーズ
「先生、着替えたよ。」
ドアがガチャリと開いて明るい光が廊下に差し込む。
女子高生っぽい可愛らしいパジャマを身に纏い笑顔で覗き込む莉子。
これはこれでまたドキドキと心臓が高鳴り出す湊は、
「お、おう。」
と息を呑み込みながら返事をする。
「じゃあ、寝ましょうか!」
さっきの出来事はなかったかのように、普通に布団に入る莉子。
少しホッとしながら、
「じゃ、お邪魔します。」
そう言って一緒のベットに再び入る。
「……。」
二人で天井を見上げながらぎこちない時間を無言で送る。
「莉子。」
ふと声をかけると、
「は、はい!!」
ひっくり返った声で返事をする莉子に、この時初めて莉子も緊張しているのだと理解する湊。
「腕枕、していいかな?」
優しく声をかけ包み込むような眼差しを向ける。
「はい、…お願いします…。」
腕枕に『お願いします』って…!と可笑しくて吹き出しそうになったが、差し出した腕に莉子の頭が乗り湊の方を向いた瞬間、彼女の火照った顔が湊の視線を掴んで離さない。
「あの…、腕痛くないですか?」
心配そうに声をかける莉子。
「………。」
ギュッと莉子を抱きしめる。
「先生…。」
温かい湊の腕の中で言葉など必要もない、ゆっくりと穏やかな時を過ごす。
誰かの目線や限られた時間を気にすることなく、こうして愛する人の温もりを感じながら抱きしめ合えることが二人にとってどれほど貴重な事か……。
お互いの体温や匂い、息遣いを余すことなく記憶に刻み込む。
湊は莉子の顔を至近距離でじっと見つめる。
優しい湊の眼差しに捕らわれたように、莉子は視線をそらすことが出来ない。
莉子はどうしたらいいかわからなくて頰を赤く染める。
「せ、先生…電気消しましょう?」
耐えきれなくなって自分の顔を照らす光をなくそうとお願いする。
「もう少し、莉子の顔見てたい…。ダメか??」
普段まっすぐ見つめる事のできない彼女の顔をこれでもかというくらい見ておきたかった。
「こんな顔見ても……。すっぴんだし……。」
もじもじする莉子。
「いいんだ。凄く可愛い。」
ボッと火がついたように莉子の顔が赤くなる。
莉子も負けじと湊の頰にキスをする。
ドキリと一瞬目を外した湊を今度は莉子が眺める。
自分を見つめながらうっとりとする彼女の瞳に、湊はまた心を奪われる。
「莉子……卒業したら…結婚しないか……?」
莉子はびっくりして目を丸くする。
「誰にももう、莉子の事取られたくないんだ……。
返事はすぐじゃなくてもいいけど…考えといてくれないか?」
瞳を逸らさず莉子に気持ちを打ち明ける。
なかなか莉子を確固たる自分のものにできないもどかしさから、ずっとまだ早いと思っていたプロポーズの言葉が口から滑り出す。
また、莉子を戸惑わせることになるか…そう思いながらも、走り出した気持ちは抑えられない。
「先生…私を先生のお嫁さんにしてください。」
湊の頰を莉子のふわふわした手のひらで包み込む。
「莉子……。」
すんなりと受け入れてくれた莉子の言葉が湊の心を嬉しさでいっぱいにする。
二人はそのまま想いを確かめ合うようにキスをした。
何度も何度も…。




