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 静かに布団の中に潜り込む湊。

 いくら莉子の頼みだとは言えども、こんな事をしていいはずがない…そう思っていても気持ちとは裏腹に身体が勝手に動いてしまう。


 莉子の香りでいっぱいになった布団の中で恐る恐る彼女の身体に触れて優しく抱きしめる。

 呼吸の仕方を忘れてしまいそうな位、湊の緊張感が莉子にも伝わってくる。


 いつも堂々として、生徒達の信頼を集めているのに今ここにいる湊は壊れ物をどう扱っていいのか戸惑っているひとりの男性だった。


 自分しか知らない別の湊を見つけられたような嬉しさがこみ上げ、包み込んであげたい衝動に駆られる莉子。愛おしくて吸い寄せられるように湊の身体に密着させる。



「……莉子……。」

 全身に触れる柔らかな莉子の肌が湊の頭を真っ白にさせる。



『この状況で何もしないなんて不可能だろう……!』

 湊はこのままではとても何事もなく朝を迎えられる自信がなかった。



「……な、なぁ…。頼む、服だけは着よう……!!」

 まだ抱きしめただけなのに汗でびっしょりになっている湊の顔を彼の胸の中から、覗き込むように悲しそうな瞳で見上げた莉子は、

「先生……私って…そんなに魅力ない身体ですか…?」

 離れたがっている湊の空気を感じて、つい不安が口に出てしまう。



「ち、違う!!そうじゃないんだ……!……もう俺が限界なんだ…。これ以上このまま莉子を抱きしめたら…きっと最後まで求めてしまうから……。大切にしたいんだ、莉子の事…。」

 真っ赤な顔をして訴える湊を見て、莉子は自分のした事が彼を困らせてしまっていた事に気がついた。



「先生、ごめんなさい…。私自分に自信がなくて……。こんな私の身体でも、先生ちゃんと受け入れてくれるかどうか…確かめたくて…。」

 莉子は自分の浅はかな行動の恥ずかしさに、穴があったら入りたかった。



 頬を赤く染めて涙ぐむ莉子をもう一度強く抱きしめる湊。

「莉子……。莉子だから、俺ここまで来ても我慢できるんだ。大切に思う気持ちがなかったら、きっと本能のままに襲いかかってると思う。誤解しないでくれ。こんなに魅力的な女性が目の前にいて、それを指を咥えて見てる俺は、今まで生きてきて今日が一番の試練だって思うくらい、莉子が抱けない事が辛いんだ。」

 莉子の温もりを噛みしめるように荒ぶる呼吸をひた隠しにしながら言葉にする湊。



「……先生……。」

 莉子の表情から安心感が滲み出るのを湊は確認すると、

「一緒に寝よう。ちゃんと服着て。」

 莉子の頬に優しくキスをする。


「……うん。」

 にっこりと微笑み頷く莉子。



「じゃ、俺部屋出てるから。」

 そう言ってドアの廊下に出る湊。






「はぁ……。」

 危なく欲に任せて莉子を抱いてしまうとこだった…とまだ熱くなっている身体を冷やすように深呼吸をする。

 普段からは想像つかないほどの大人な彼女の身体が頭に焼き付いて離れない。


『ヤバイな……。俺……。』

 予想以上に莉子を求めていた自分が怖くなる。



 気を抜けば浮かび上がってくる彼女の生まれまたままの姿に、いちいち動揺しては消し去る方法を模索しながら真っ暗な廊下でひとり熱を放つのだった。



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