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【シリアス】幸せな最期
【お題:雪、穏やかな殺人 テーマ:選択 文字数500字】
洞穴の外は猛吹雪だった。
吹き荒ぶ雪の礫。一時避難のつもりが、もうここで一晩明かすより他ないだろう。
傷だらけの身体を抱え、二人の子供が身を寄せあう。
「……寒いね」
「……そうだね」
互いの身体がどんどん冷たくなるのを感じる。
でも……脱走には成功した。もう自分達の周りに敵はいない。
暴力を振るう家主も、身体を壊すほどの激務も、劣悪な住環境も、ここにはない。
それで安心してしまったのか。
少年の首が、こくり、と傾いた。
「……なんだか僕……眠く……なってき、た……」
「っ、ダメ……死ん、じゃ……!」
教育は受けてなくとも、雪山で寝たらどうなるかは知っている。
少女は少年を起こそうとして……ふと止まった。
そして自問する。
ここで生き延びて、その先自分達がどうなるのか。
想像は容易だった。再び奴隷になるか、疫病で悶え苦しむか、難民として惨殺されるか。
その結末は果たして、今より幸せな最期になるだろうか、と。
結論を出すと、少女は少年の肩に頭を乗せて。
「ごめ、ん……私も……眠、い……」
「…………そっ、か……」
少年は少女を起こしたりはしない。
ただ寄り添うように、自分も目を閉じる。
そうして二人は、お互いにお互いを、殺し合った。




