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【自然】静寂に響く咆哮

【お題:鉄砲、熊、男の子 テーマ:神秘 文字数:366字】

 朝靄(あさもや)に包まれた森の中を、息を殺して進んでゆく。

 視界は、さほど悪くない。

 淡い朝日が新緑を輝かせ、辺りは不気味に美しく、そして静かだ。

 サクリ、サクリ、と、草木を踏みしめる足音がやけに反響する。

 まるでここが、どこか結界に囲まれた神聖な領域のようにさえ錯覚してしまう。


 ……いや、ある意味間違いではないのかもしれない。

 ここはもう人間の世界ではなく、獣の世界なのだから。


 と、


『グォ……ォォォ……ゥゥゥ……』


 遠くの方から、熊に似た呻き声が響き、立ち止まる。


 でも、僕は知っている。

 あれは熊なんかじゃない。熊の面を被った――バケモノだ。


 すぅ……と息を吸いこむ。

 どこか甘く、さわやかな空気が肺を満たした。


「……待ってろ、じいちゃんと、親父のカタキ……!」


 呟くと、僕は猟銃を担ぎ直し、再び足を踏み出した。

 吐きだしたこの空気を、硝煙と血の香りで汚すために。


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