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【シリアス】未完のフェアリーテイル
【お題:天使、ミカン、魔法 テーマ:捨てられた物語の願い 文字数:491字】
その物語は天使の少女から始まる、甘くて切ないおとぎ話。
一人の少年と出会い、魔法の国を旅するメルヘンチックなストーリー、
……のはずだった。
『……どうして?』
天使の嘆きが、時間の止まった世界にこだまする。
最後に彼女が訪れたのは、一面お花畑の素敵な楽園。
なのに今そこは、行き場のない牢獄でしかない。
始めは小さな綻びだった。
作者のやる気、心境の変化、設定の矛盾。
だがそれは、まるで腐ったミカンの喩え話のように、世界を汚染し始め、
この物語を凍結へと導いた。
今はもう、パソコンの「没フォルダ」の奥底。
誰にも読まれず、もう何年も開かれてすらいない。
『ねぇ、私の人生ってもう終わりなの……? こんな終わり方、嫌だよ……!』
彼女の叫びは、この世界の総意だ。
だが外の世界に響くことはない。ましてや作者に届くことなど、あるはずがない。
不格好でもいい。面白くなくてもいい。破綻していてもいい。
ただ最後まで物語を完成させてほしかった。
それが彼女たちの、たった一つ残された願いだった。
『……いつまでも待ってるから』
それでも天使は、少年は、魔法の国の人々は、作者を信じ続ける。
いつか描かれるハッピーエンドを夢見て。




