【バトル】大天使のガチョウ狩り
【お題:ガチョウ テーマ:激戦 文字数:477字】
「あの湖に浮かぶガチョウをどちらが早く捕まえられるか勝負しようぜ」
そんな彼の口車に乗せられた俺は戦いが始まって早々に後悔した。
大天使の誇りをかけて。そう言われれば引けるわけがない。奴もそれが分かっていて、絶対に勝てる勝負を吹っ掛けたのだ。
「くそ、止まれ!」
「甘いな」
水面を滑るように飛ぶ奴の脇腹に蹴りを入れる。が、ひらりと避けられ距離が開いた。空中での奴の動きは抜群に素早い。このままじゃ追いつけない!
俺は弓矢を番えると奴の背中に向けて放った。しかしそれも旋回で躱される。
しかも、
「な!?」
外した矢は水面を打ち、驚いたガチョウがバサバサと飛び立った。
奴が振り向き、にやりと嗤う。そのまま一気に上昇。あっという間にガチョウとの距離を詰める。やられた、これが狙いか!
もう飛んで追いつくことは不可能。なら――
「最終手段!」
俺は水中にダイブすると体内の魔力を拡散。爆発により水柱を打ち上げた。
「ウソだろ!?」
水柱がガチョウを飲み込み、湖へと引き戻す。
「これで、俺の勝ちだ!」
「させねえ!」
ガチョウを掴んだのはほぼ同時だった。そして仲良く落下。湖に水飛沫が舞った。