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【日常】あくまで仕事は自分のペースで

【お題:十字架、業務的な運命 テーマ:心の余裕 文字数499字】

 悪魔城の事務係は過酷だ。

 今日もデスクには書類が山積み。(あるじ)の人使いは荒いし、休日出勤は当たり前。悪魔に慈悲なんて求めても仕方ないけど。

 だからか私は、仕事中よく同僚に心配される。


「あんた、少しは休んだら?」

「適度にサボってるから大丈夫よ。ご主人様にバレないようにね」

「……ならいいけど」


 私の飄々(ひょうひょう)とした態度に、給仕係の彼女は嘆息。

 呆れ顔で一杯のコーヒーを差し出してくる。


「はい。これでも飲んで一息入れなさいよ」

「ふふ、ありがとう」


 同僚がコツコツと遠ざかる。彼女も含め、周りのデスクはまだまだ激務で目回し状態だ。

 つまり誰の視線もなし。私は書類を眺めながら、ふわぁ、とあくびした。


 (たずさ)わった悪事は数知れず。一体私は、何本十字架を背負って生きてるんだか。


 世界征服ってそんなに夢のある話かしら。私にはさっぱり分からない。

 まあ正直どうでもいいけど。仕事のやりがいなんて、無理に見出さなくてもいいわよね。

 それはさておき。今月分の会計精算、再開しますか。

 一体何にいくらお金を使ったのかしら。書類を眺めると、


「あら? またサキュバスの増員? ご主人様も好きよねぇ」


 なんて優雅にコーヒーを飲みながら妄想するのが、私流の楽しみ方。

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