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【恋愛】リボンに込めた想い
【お題:リボン、恋 テーマ:悲しい笑顔 文字数:486字】
「実は私、未来が見えるんだ」
沈む夕日を眺めながら、そう彼女はつぶやいた。
僕が凄いねって言うと。
彼女はありがとうってはにかんだ。
「でも実際はいいことばかりじゃないの」
「どうして?」
「驚きがないから」
「……ふーん」
それなら、飛びっきり驚くことを言ってやろうかなって。
僕は悪戯っぽく、秘密を打ち明けた。
「好きです。美羽ちゃんのこと」
「知ってる」
「……あれ?」
「このシーン、何度も見たもん」
俯いた彼女の瞳は淋しそうで、だけど口元は緩んでいた。
頬は夕焼けでほんのり赤い。
「……ついに、この日が来たんだね」
「え?」
「……すごくうれしい。この瞬間だけは、生きてた中で一番好きなの」
消え入るような声で呟くと、彼女はしゅるっと髪留めのリボンを解いた。
そしてそれを僕に渡す。
「これ。告白の返事」
「どういうこと?」
「メッセージを込めたの。……明日になったら読んでみて」
先読みで言葉を残すなんてまるで手品だなぁ。なんて、能天気に考えてた僕と違って。
彼女の笑顔は、とても幸せそうで。だけどどこか悲しげで。
頬を伝う一筋の涙が、夕日に輝いて、とてもきれいだった。
翌日、彼女は不慮の事故でこの世を去った。




