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8割実話②

作者: 南天杏

 趣味は?と聞かれたら、カラオケ!と答えるくらいには私はカラオケが好きだ。

 人と行くのも好きだけど満足できないので大抵1人で歌ってくる。

 満足できないってなんだって思われるけど、他の人と一緒だと歌い足りなくて後日もう一回1人でカラオケに行くのだ。


 それはさておいて、そんなこんなで1人でカラオケに行った日の夜の自宅にて。


「今日ねー、カラオケ行ってきたの」

「そりゃよかったね。っていうか1人で歌ってるのって楽しいの?」


 一人カラオケ未経験の旦那が首を傾げる。

 確かに数人で楽しむものっていうイメージが強いから、他の人にも同じことを聞かれることがあった。


「あー、私は採点使って前より高得点出たー、とかの自己満足と新しい曲の練習だから。基本的にはストレス発散も兼ねてるし」

「ああ、練習はいいな。採点はともかくだけど」

「高得点出たら嬉しいじゃん?」

「そんなもんか」


 楽しみ方は共感できなかったみたいだけど、持ち歌増やしたかったらしく一人カラオケ自体は興味を持ったらしかった。

 夫婦でお互い一人カラオケってどうなんだって後日友人からツッコミを貰ったけど、一緒に行って別々の部屋で楽しむわけじゃなくて、それぞれの空いている日に勝手に遊んでくるんだからいいんじゃないかと思う。


「でも1人で歌ってたら、曲入れるまで時間かからない?」

「間奏中に何曲か入れておくから」

「マジか」

「だからトイレ行くのと飲み物取りに行く以外ずっと歌ってるよ?」

「…ちなみに今日は何時間歌ってきたの?」

「んー、6時間くらい? 歌って、採点結果軽く見て、歌っての繰り返し」

「マジか…」


 呆れたように言う旦那に、あ、と思い出して声を上げた。


「でも今日さ、なんか納得できないコメントが出たんだよ」

「コメント?」


 使っている採点システムは、細かい点数の他に一言コメントがあるのだ。

 もう少し曲を聴きこんで、とかの辛口の時もあるし、素晴らしいと褒めちぎってくれるときもある。

 褒めちぎられると最初は照れ臭かったが、今では機械に向かってどうもー、と気の無いお礼を言う程度だ。


「何? 自信ある曲だったのに辛口評価だったとかそういう不満?」

「ううん。そういう納得できないじゃなくて、私1人で行ったって言ったじゃない?」

「うん」

「綺麗なデュエットですね」

「は?」


 ぽかんとした顔でこっちを見る旦那に、私はもう一回言った。


「綺麗なデュエットですねってコメントだったの」


 私、1人で行ったのに。


「…どんまい」



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