奇跡
「どこにいるんだ。」
俺は次の日街を探しながら学校に行った。明らかに不審な動きだったがあいにく日糸の姿はなかった。
「いないな。」
とうとう学校についてしまった。そういえば昨日あの子が着ていたのはどんな服だっただろうか。
「どうしたんだ?考え事か?」
会長だ。学年違うのに何で二年の教室にいるんだ?
「会長おはようございます。」
「会長なんて水臭いな。ゆうなせんぱぁ~いとでも呼んでくれてもいいんだぞ。」
「そ、そうですか。」
この人こんなキャラだったか。まあ接しやすい人で良かった。
「そんなことより裕奈先輩がなぜここにいるんです?」
「あ、そうか。君は知らないのか。紹介する。弟の裕信だ。」
「あ?元引きこもりか。よろしく」
「のぶ…お前十宮君にそんな態度をとるのは私が許さんぞ。彼は人の―」
「なんだ?別に嫌ってなんかねえよ」
なんだ?
まあ何でもいいか。
「そろそろ私は教室に戻るとするよ。のぶ、十宮君と仲良くな。」
そういって教室を後にする裕奈先輩を見送り自分も席についた。
「お前席となりかよ。」
「それはこっちのセリフ。」
「お前何かあるのか?」
「何かってなんだよ。」
「ほら、引きこもってた理由というかなんというか。」
「知ってどうすんだよ。」
「いいいや、別に言いたくねえならいいんだけど何か力になりてえからさ。」
こいつ本気で言ってるのか?お人好しすぎる。たしかに心の声は聞こえないし、いいやつなのかも知れない。
「心の声が聞こえるんだよ。」
「は?心の声が聞こえる?ばかか。」
「信じなくてもいいけどな。」
「んまあ、別にいいか。興味ねえし。」
「お前が聞いてきたんだろ。」
なんだかんだこいつとはうまくやっていける気がする。きっとあの子も見つけられるはず。俺は希望にあふれていた。
「ふう~授業終わった。あの子を探すか。」
と、言いつつはや授業が終わっていた。
「見つからないな…」
まあ、自分の学校にいるなんて都合のいいことなんてあるはずがない。また奇跡でも起きないかな。頼む起きてくれ。
「おー十宮、一緒に帰ろうぜ。」
「しょうがないな、一緒に帰るか。」
「朝の都築だけど、なんで学校きだしたんだ?」
「いや、たいしたことじゃないんだけど、ある映画に触発されてね。」
「ある映画ねぇ…」
俺と裕信は家の方向が一緒らしい。そういえば、友達と一緒に帰るなんて何年ぶりだろう。
そんなことを思ってる俺の横を見覚えのあるものが通り過ぎた。
「ッ…」
「裕信、先帰っててくれ。」
「お?どうした?なんだよ。」
これが奇跡というやつか。ありがとう。神様!
俺は、がむしゃらに走った。ただまっすぐに。
「ハア…ハア…ちょっといいですか。昨日の夜、公園にいましたか?」
「…い、いましたけど」
「やっぱり、そうですか。」
俺は、顔を上げたとたん驚いた。
きれいなツインテ―ルの髪の毛、白くてきれいな肌。
その隣に、眼鏡をかけていてポニーテールというよくわからない組み合わせ。どこかで見たことあるな
まさかとはおもうが。
「星宮?」
そう、昨日のあの子の隣に我がクラスメイト星宮皐が立っていたのである。
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