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引きこもり君、ピンチ

そこから記憶がない。一応誰かが助けてくれたみたいだがここはどこだ。やたら固いベッド、そのベッドを囲むカーテン、外からは女医さん?の声。とにかくこの状況を把握できない。


「あのーすいません。ここはどこなのでしょうか。」


「あー起きたの?ここは丹凛高校の保健室だけど…ここの生徒よね?」


保健の先生だろうか。とにかく挨拶。


「はい!二年の十宮宗一郎です。この際はどうもありがとうございました。質問なのですが誰がここまで運んできたかはわかりますか?」


「ごめんねぇ、私が来た頃にはなぜか保健室が空いてるし、君が寝ているし私にもよくわからないのよ。自己紹介がまだだったわね、保健の周防好【すおうよしみ】よ。ところで、二年の十宮って…」


「どうかしました?」


(全然学校に来てないって職員で噂になっている問題児だったきが…高校生で引きこもりなんてダメね)


「ううん。なんでもないのよ。早く授業に行ったら?」


「そうします。失礼しました。」


俺には確かに聞こえた。そりゃそうだよ、学校に来なかった俺が悪いんだ。周防先生に悪気はないはず。


「でも普通に傷つくよな。朝で少し耐性付いたけどやっぱりきつい。」


今は授業中だろうか、今が十時三十五分だから二限目くらいだろう。


「ここか…」


自分の教室である二年二組の前に立つ自分はとても緊張している。どんなことを思われようが平気。そんな自己暗示をかけながら恐る恐るドアを開けた。


「おはようございます。」


「…」


誰もいないのだろうか姿も見当たらなければ、声もしない。


「誰?今授業中でしょ。十宮君?十宮君じゃない。ずっと心配してたのよ。」


「あははは…顔近いですよ杉並先生。」


杉並ちえ。俺の高校一年の時の担任の先生。いじめられているときにとてもお世話になった先生だ。

「ところでなんで先生がこの教室にいるんですか?」


「なんでって私がこのクラスの担任だからよ。またよろしくね十宮君。」


よかった。先生が知っている人でホントによかった。進級してから一度も来てないから知らなかったけど非常に心強い。


「クラスのみんなはどうしたんです?」


「体育よ。十宮君も早く行ったら?どうせ体動かしてなかったんでしょう?」


失礼な。事実だが。


「いえ、次の時間から合流します。次の時間は何ですか?」


「次は、私の担当する音楽よ。楽しみね。」


話しやすいなぁ。ほんとに生徒思いの先生なのだろう。俺がいじめられていた頃も親身になって話を聞いてくれてたっけ。ほんとに感謝しかないな。


「そろそろ授業終わるわね。あとで音楽室に来てね。」


行ってしまった。心細い。そろそろみんな帰ってくるだろう。


「はあーーーーー疲れたねぇ」


女子の声だ。着替えるのかな?隠れて覗ききたい欲を抑えて外に出た。そして音楽の時間がやってきた。


「はーい。今日は十宮君が来ました。なかよくしてあげてね。」


(十宮っていじめられてたやつだろ?なんで今更来るんだよ。馬鹿じゃねぇの?)


(いじめられてたとかウケるわ。やめちゃえばいいのに。)


やっぱりこうなるか。何とでも言え。そんなことよりも授業に集中しようせっかく

今日の音楽は歌を歌うらしい。歌といえば俺は大の得意だ。昔散々歌ってきたからな。


「こんなもんか。」


なんとなく歌っていたらいつの間にか授業が終わっていた。


「案外学校も楽しいな。友達いないし、心の声聞こえるの嫌だけど。だが…」


ここからが本番だ。今日俺はこのために学校に来た。職員室前にある部活動入部届を手に取り、特に急ぐ理由もないが、急いで必要事項を記入して足早に職員室に提出しに行った。


「あら、どうしたの?職員室に何か用?」


「はい。映画部に入部したいので入部届を書いてきたんですけど。大丈夫ですか?」


「大丈夫も何も、もう映画部はないわよ。」


読んでくださりありがとうございます。

最後のセリフの後の主人公の顔は自分の中で最高に笑えますw


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