決意の後に
俺と先輩は喫茶店をでた後そのまま家の方向へ歩いていた。
「十宮くん、少し買い物に付き合ってくれないか?」
「別にいいですけど」
先輩は、嬉しそうに洋服屋の方へ向かった。正直俺はこういうのよくわからないぞ……
入店し、おどおどしてる俺の手を引っ張って先導する先輩は真っ直ぐ下着コーナーの方へ向かった。
「はやくしてくれ!十宮くん」
「そんな強く引っ張らないでくださいよ!」
ものすごく急かしてくる先輩に若干の抵抗をしながら進んでいった。エスカレーターに乗りまた歩き、その繰り返しだ。
「ここだ、ついたぞ!」
「はえ?ここですか?」
そう今は夏手前。水着のコーナーにきた。よかった。下着じゃなくてよかった!下着だと若干の抵抗あるけど水着なら多少は平気だ。
「じゃ、ここからは別行動だ」
「え?待ってくださいよ!俺海に行く予定なんてないですよ?」
これは嘘、日葵と海に行く約束をしていた。水着を買うために今日、日葵と出掛けようとしていたのだから
「何を嘘ついてるんだ?君は日葵ちゃんと行くんじゃなかったのか?」
しまったぁぁぁぁ!!この人、というか早舩姉弟はうちの家族と仲良かったんだ!不覚。
「そ、そうなんですよぉ~はは……じゃあ俺水着見てきますね」
うまくごまかしたかはわからないが、とりあえず男性用水着コーナーへ逃げた。
まさか知ってたとは……まあ考えないようにしよう。
それにしても日葵との海かぁ、楽しみだなぁ。二人で泳いだり、一緒に昼食べたり、砂で遊んだり、かき氷食べたり……………今から楽しみだなぁ
「どこ見てるんだ?気持ち悪い声だして」
は!?いつの間に!なんてステルス能力の高さだ、俺に気づかれずに背後をとるなんて。侮れないな
「い、いえ。どういう水着が似合うかなと思いまして」
「ふーん。そんなことより聞いてくれ!これ私に似合いそうじゃないか!?」
頬を少し赤くして、黒いビキニを俺の前につきだしてきた。大きな声出さないでくれ……
「ち、ちょっと!なにしてんですか!?わかんないですよ!」
「じゃあ着ればわかるのぉ?」
「まあ、着てみないことにはわから――」
途端に先輩はダッシュしていった。よくもまあ、あんなに恥ずかしいことできるな。
「じゃあ自分のに戻るか」
俺は、また水着選びに戻った。
「十宮くん!どうだ!?」
呼ばれた方に素直に顔を向けるとそこにはさっきの黒いビキニを着て偉そうに立っている。
「なにやってんすか!このやり取り二回目ですよ!疲れるんですけどぉ!?試着室に戻ってくださいよ」
やれやれ。大変だぜ。妹の日葵より先輩のほうが扱いが難しい。
「わかったよ。いけばいいんだろ……」
へそを曲げた子供みたいに拗ねる先輩と共に試着へ向かった。
「で、どうなんだ?」
「大人っぽくていいと思いますよ。先輩のイメージと合致してて、とても似合ってます」
「改めて言われると照れるなぁ、じゃ、じゃあ次は君の水着を選ぼう」
「一人で選ぶのでいいですよ!」
「いや、私の選ぶの協力してもらったし悪いよ。私も協力してあげるぞ!」
めんどくさいなこのこの人……まあ、いいか!こんな機会滅多にないから。
「わかりました。じゃあお願いします」
そして俺たちはまた、男性用水着コーナーへ戻ってきた。
「君はあかの水着とか似合うんじゃないか?」
「いや、そういうのはちょっと……」
「じゃあ、ベターな黒がいいか」
「そうですね。これなんかいいですね」
そういって俺は靴を脱ぎ、試着室に入った。こんなところで小太りなお腹を披露するのはとても恥ずかしいが仕方ない。俺は手っ取り早く着替えた。
「どど、どうですか?」
「おお、決まってるじゃないか!でも――」
でもってなんだ、でもって。
「痩せた方がもっと決まるな!」
笑顔で言うな笑顔で!!きついこと言うな。割りと耐性付いたけど。
「余計なお世話ですよ!じゃあこれにしますね」
「ああ」
俺は、せっせと着替えてレジに向かった。
「今日は付き合ってくれたお礼に私が払ってあげる」
「ありがとうございます!」
ん?まてよ?気前がいいな。裏がありそうな予感。
「払う代わりに今度一緒に海行こうな!」
やっぱりか!
「わかりました。って海行くだけでいいんですか」
「いいんだよ」
そういったときの先輩の笑顔は、俺には、太陽のように眩しく写った。
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