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憧憬の向こう側  作者: 葉竹ゆり
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アツアツのたこ焼きをほおばって


今夜、「恥ずかし川」を

わたらなければいけないんだからね

ふねが必要とかいって


たこ焼き屋さんの移動販売カーで

10個入のものを1「ふね」買う


それをふたりでわけおうね


「泳げ!たい焼きくん」でも歌えるの?

(恥ずかしいし、

(熱々のたこ焼きを口にしてるので、

(口には出せず

まるまるとした「こころ」のあたし

(カラダじゃないわ、

悲哀をこめて、心の中で、口ずさもうか?

でも、たこ焼きの歌じゃないじゃん、

やっぱ、やめようかな


ほら、

空もてれるくらい美しい満月、

ときもスポーツの祭典東京オリンピック

それから人類の進歩と調和の大阪万国博覧会、

あのころみたいな

とくべつな時代の満月と同じ満月を背景にして

打ち上げられる

花火だとしたらね?


夏の風物詩なんか知らない、

夏は学生時代から「真夏の恋」があればいい


墓参りも終わったし

そろそろ朝顔が咲き始めるかな

どこへ行ってもいいのだから

自由にいきたい


日はまだ沈みきらないなか

うっすらと白い満月が

愛想笑いをしてくれているか?

眼鏡をかけ直して見直すか?


茜色に染まる西のひくい空には

僕らの太陽が眠りにつくまえに

すこし呆れたようすで

そっと『黄昏オレンジ』ていうメロディーを

たえまなく

でもしんみりと

この街へ流れつくように

鳴らしつづけてくれている

魂をエナジーにして



あたしといえば

まだ熱々のたこ焼きで

口中いっぱいにしながら

ハフハフと涙目になりながら

窓ガラスに目を逃がし



吸いとられ、魂のエナジー切れて、

冷たくなった太陽が、震えているのを、

みるでもなく、車の中から見ていた



いまから、

無明の闇に恐れをいだかなくとも

長い夜をバシャバシャと游ぎつづける愛を

少なくともこころの深いところに

探しに行かなくてはいけないらしいね


あたし、さ

満月をみてたこ焼きを連想する

「『花火』より団子」のふりしてさ

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