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憧憬の向こう側  作者: 葉竹ゆり
3/138

憧憬 3


じつは貴女に、

あたしのこと、「じつは、好きなのかもしれない」

といってもらったとき、

あたしはあたしで

じつは貴女のこと、

そんなに好きじゃないのかもしれないと、

少しだけ冷めていたんだ

そんな嬉しい言葉、

ぽつりと落としてくれるものだからさ

逆に、あたしが貴女を好きなことを前提に

あたしを利用しようとするにしては

嘘が単純すぎるし、効果てきじゃないし、

だいいち、

なんの要求もしてこないって、おかしすぎるし、

要求するなら、早くしてよねって

じれったくて、イライラしだしたりしてきた


貴女が落とした言葉をわざと無視して

くっだらないふたりのそれぞれの「これまで」を

貴女は愛想よくはなし、聞いてくれたり

していたね、

あたしは、けっこう、ガマンしてたんだ

おもってたようにはなしが進まない

貴女はいったいあたしになにを希んでるの?

あたしの、ないおなか、さぐらないでよね。

なにがしたいのよ、

すべてを貴女に捧げるつもりのあたしに。


「もう、いいよね?」

その言葉をどうとったのか、

急に弱々しく瞳を泳がせ、

オドオドとした表情と口調で

「ちょっと待ってよ、大事なはなしがあるのよ」

うん。

その言葉をあたしは待っていたんだ。

「なに、なんでもいってよ、できるだけのことは

するつもりよ」


(3時間ほどまえ)


こみいったはなしだからと

ホテルのバアを適当な時間に切り上げ

この部屋へ移動してから

これからが本気の飲み直しとばかり

ルームサービスのウイスキーを

貴女はシングルの水割り、

でも、けっこうハイピッチで、

あたしは、オンザロックで、

最後は溶ける氷を邪魔もの扱いして

ほとんどストレートで胃に流しこんでた


「こいばな、でもする?」

貴女の洒脱な会話に流されるように

けっこう陽気に酔っ払ってたあたしを

思いっきり醒めさせた低い声。

完全に表情が無くなったのが

じぶんでもわかるくらい、

酔いで頭もまわらず、作り笑顔も作れない。

気づいた貴女は、急に取って付けたように

じつは、

といったんだ

あなたのこと、じつは、好きなのかもしれない

あたしは、そので、そういう言い方されて

どうすれば、いい?

なにをいえばいいかもわからなかったから

「こいばな、でもしよっか?」


それで、くっだらないったら

これ以上ないってくらい、

くっだらない貴女の過去の惚れられエピソードや

(そりゃそうでしょうよ)

それ以上に心底くっだらないあたしの

疑似恋愛のごみばなしを終わらない悪夢のように

聞かされ続け、はなし続け、

貴女ははなし上手で聴き上手だから

コロコロ笑いながらけっこう楽しそうだね、

あたしは、

時間が経てば経つほど愛想笑いが強張り

なんの職業してんのてくらい

接客能力零点を暴露してしまってた

むろん、いつもはこんなことないのよ

でもさ、

今夜は駄目だったみたい

貴女から見たら

まるで怒ってるように見えたのかな?

コロコロ笑いながらけっこうあたしの顔

気にしていたみたい


もう、目を開けていることも辛くなってきて

「もう、いいよね?」

って聞いたのは、夜も更けて

25:00は回っていたとおもう。


その言葉をどうとったのか、

急に弱々しく瞳を泳がせ、

オドオドとした表情と口調で

「ちょっと待ってよ、大事なはなしがあるのよ」

うん。

その言葉をあたしは待っていたんだ。

「なに、なんでもいってよ、できるだけのことは

するつもりよ」


いったのまでは、ちゃんと覚えてる

あと、ブラックアウトしていって

むかしのことを夢にみたり、

貴女の高校時代の想い出ばなしを

あのころからあたしを愛していた

とかいう「後告あとこく」を

独り言のようにポツポツかたってる声も夢みた

白い鹿のはなしや、

酒造会社のはなし、

立ち入れない山のはなしを

田舎の掘りごたつのなかで聞いている

夢もみた。


ポツポツとかたってる貴女の言葉を

きちんと聞き取ることはできなくて、

でも、あたしのほおにあたたかい水滴が

ポツポツと落ちてくるのは、夢にしては

温度があった

あれ?

泣いて…………?

でも、やっぱりそのまま、

かすかな意識もフェードアウトしていったよう………



…………そして、

夢のなかであたしは、

なぜか、貴女にほんとうに愛されていて

(都合のいいことに)

このホテルのこの部屋で、

おおいかぶさるようにキスをされ、

薄眼をあけてみた貴女の眼には涙がたまり

あけたあたしの眼にたまってる涙に

唇をよせ、スーッとすいとってくれた

あたしは、貴女の涙を右の薬指のはらで掬い、

左てのひらで、

貴女の右ほおから小さなアゴにかけて

この世界に、これいじょう大切なものはない

憧憬と敬意と優しさをこめて

さやさやと さやさやと 撫でてあげる夢…………


すいとってくれた涙が、

嬉しさのあまり、あとからあとから

あふれでて照れ笑いする…………


…………それが夢だとしたら…………

…………かなしすぎる…………

…………夢を、みた…………








3

いや、熱く語りすぎ。

しかもABC判定のSSって、わけわからんし、まぁ、大体いいたいことはわかるけど。世代を超えた名作だといいたいんでしよ。

あ、世代で一応いっとくけど、私はそのマンガをリアルタイムで読んだわけでは、決してないですよ。


そのキャラクターのなかで、かれが一番好きで。

名前も、大好きッてことですな。

ですな、ッて?

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