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憧憬の向こう側  作者: 葉竹ゆり
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天を欺くプロジェクト(立案者 翼、実行者 すみれ子)

天に向けた糸電話に

天国の扉を

ちからわざでこじ開け

糸のような月を

送り込もうとする企みがあります。


ケイワイプロジェクトと

青空には書いていますが、

信じられない下手な

魚が泳いでいるような字です。


誰にも読めなければ

書く意味がないでしょう?


私が読めなければ

飛行機雲のように消えて終わりでしょう。


訳はあり、


そのプロジェクトの

立案者は私の翼で

あのふたりの部屋で

けっこう笑い合いながら

いろいろと決めたのですが、

それは彼女の死後の企みのことでした。


死を直前にして

あの態度が取れた翼は

本当の本当に

尊敬に値する素晴らしい女性です。

彼女と愛し合えたことは、

私の一生の誇りです。

彼女は、私の、

無二の、宝ものです、当然今もです。


その彼女の生前に決めていた

2人だけの夢のものがたりだから


私にしか読めないのも

ちゃんと理由があって


根こそぎ


妄想発だから。



悲しみ。

まぎらわすための、

優しい、

私だけのための、

「誰にも読めなければ

あなただけのための

青空とラブレターになるでしょう?」


青空に誰も読めない下手な

そのサインの出た夜に、

糸のような月が

私だけのものになるとき、

雲の上にいる彼女の

あの蕩けるハチミツのような声が

私にもう一度届く夢が叶うという、

《叶え、夢》プロジェクト、とか


名づけたのは翼です


自分には

生前に罪がなく

雲の上にいることが

前提の自信とか

自分の声を

蕩けるハチミツのような

とか喩えている真顔は

思い出すたび……

思い出すたび……


名づけたのは翼です


その夢 叶えて いただけなければ

月はお返し 出来ませんよ


そう

取り引きしてくださいね、と

教えてくれたのも翼です


最高の女性です


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