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憧憬の向こう側  作者: 葉竹ゆり
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こんな私がなりたいもの


ねぇ、あなた


ふたりの誓いが砕けたのが

わたしの心の惨めな愚かさゆえに

空気みたいに正しいあなたの夜を

渡り切ることができなかった

という理由なら


ほんとうに

私の夜は終わってしまった


熱いシャワー、顔に浴びて

飛び散る水滴に涙が混ざるのも

深夜、悲しみを忘れたくて

月の雫をくちびるに寄せてみるのも


あなたの


またたく星々よりも

やさしい

声帯を

破いたと思うから


あなたへの

あの嘘の棘を抜き取ってしまいたい

それでやり直せるものなら


いちばん最初からやり直せるものならば

あなたの隣にただ佇むだけの

私はあなたの薔薇になりたい






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