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憧憬の向こう側  作者: 葉竹ゆり
109/138

白いうた《改》


白い顔、しながら

君を探すんだけど


君の顔が見えない

強い雨が目を刺すから

くぐり抜けた街の汚れは

とりかえることもない

白いカッターシャツを

汚し続けているんだ


ため息を

ついたね?

野獣の大きな耳が

もっと大きな

草食獣の敏感な耳になっても

決して聴き取れない

悲しみの白いため息をそっと、ね?


君の顔が見えない

君のあたまが知りえない

そんななか、


ぼくの地獄はほかにはない


君の白い眼、その冷たい眼。


生きていいこと

いっぱい教えてって

それを教えられる資格など

ぼくの中には欠片もないけど

って答えたぼくを

見下すようにみた


君の白い眼、その冷たい眼。


君の顔が見えない

強い雨が目を刺すから

けれど本当は

君の冷たい眼を見返すだけの

強い心を持っていないんだ




残念な

バケモノの物語を

螺旋階段の上から

聞かせてくれた、ね、君


だれにも相手にされずに

でも、裸足で走っている

ぼくのことを憐れんでいる

悪魔の、君。



世界なんて

いつ滅んでも

おかしくないでしょう?


って、


だから

そんな報告書

ぐっちゃぐっちゃに丸めて

スローカーブで

ゴミ箱に捨ててよね!


って、


その刹那なぜか

君はぼくの眼をみて

くすぐったくなるほど

やさしい笑い声を

ようやく与えてくれるんだ



あたまのなかが真っ白になったっていって

忘れていたといってくれてもいいけれど?


って、




ぼくは、そのとき、

心の平行線をにじり寄せて

君の心と交わらせようとする


ぼくは、いま、

どこへ行くあてもなく

漂いつづける自由な孤独を

嫌がった弱々しい白い雲のように

君の眼に映ってくれればいいと思っている




白い顔でも、

色っぽいじゃない?



って、


からかわないで………





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